TOTOSK KITCHEN Vol. 24
ローズウォーター
にんじんのローズグラタン

(2014.03.20)
  • 写真/黒澤義教
     
  • 写真/黒澤義教
     
みなさん、こんにちは。梅も咲き始め、街を歩いていると、ふとよい香りにやっと来た春を感じます。桜ももうすぐですねー。この季節はサクラやローズを使った華やかなスイーツやコスメが出回るので、おのずとテンションが上がっちゃいます。

以前、お土産にバクラバというトルコのお菓子をいただきました。それはもう頭が痛くなるほど甘いお菓子なのですが、不思議となんだか食べてしまいました。この魅力はなんだろう?と思い調べてみると、焼き上がったパイにたっぷりとローズのシロップをかけるそうです。ローズの魅力的な香りについつい食が進んでしまったというわけ。

中東やインドではデザートにローズウォーターで香りづけするのはポピュラーとのこと。今回は、ローズの魔法でおいしくなるレシピをご紹介します。

♠ローズの香りのお料理に合わせたいローズの音楽

バラの香りのお姉さんになる。

ローズオイルやローズウォーターは、観賞用として栽培されるバラの花びらからが作り出されています。最近では、加齢臭や体臭に効果的とドラッグストアや美容コスメ売り場などでよく目にします。

今回使ったローズウォーターは、単にバラのエキスを水で薄めたものではないのです。バラの花弁を水蒸気にあて蒸溜して抽出したもので、一滴一滴にバラの香りがギュッと閉じ込められているのです。2万種類以上あるバラの中でもブルガリア原産のダマスクスローズは最も香りが高く、バラ界の女王と呼ばれています。ブルガリア・バラの谷と呼ばれている場所は、酸性度が低く水はけもよく、バラを育てるのに最高の土壌だそうです。このバラは観賞用とは形が異なり、カーネーションのような優しいピンク色をしたかわいらしいお花です。4月頃から咲き始める春の花ですが、商業的なダマスクスローズちゃんは、香りが命なので開花したらすぐ摘まれて蒸留所にもって行かれてしまうのです。咲きほこるバラと蒸留所から立ち上る湯気とバラの香り…。なんて素敵な光景なんでしょうか。この時期に一度はブルガリアを訪れてみたいものです。

バラの香りの成分の中には、抗菌作用や皮膚の弾力を回復させる作用があるといわれています。体内に吸収されると汗腺から汗とともに放出されるそうなので、毎日摂り続けることで、体の内側からダマスクローズの香りがほのかに香ってくるかもしれません。目指せ! バラの香りのするお姉さん!

バラの香りは安らぎをもたらすとともにちょっぴりリッチな気分にさせてくれます。脳がリラックスし気分が高揚するので、月経前のイライラや更年期障害の症状を和らげてくれるようです。

また女性ホルモンのバランスを整え、殺菌消毒作用や抗炎症作用、血行促進作用に優れているのでお肌の調子がよくなるとのことです。美容だけでなく、健康にもいいということを、クレオパトラは知っていたのでしょう。ダマスクローズをお風呂や床に敷き詰め芳香を楽しみ、ローズエキスを飲み美肌をキープしていたそうです。これは取り入れるしかないですね!

ローズウォーター
ローズウォーター

にんじんのローズグラタン 材料4人分

ローズウォーター 大さじ2
にんじん(今回は金時にんじん)
じゃがいも 中1個
玉ねぎ 1/2個
ほうれん草の葉 20枚〜30枚
卵 4個
ヨーグルト(水切り)150g
バター 25g
小麦粉 大さじ2
牛乳 150ml
塩、こしょう 適宜

  • にんじんのローズグラタンの材料
    にんじんのローズグラタンの材料
  • コーヒーフィルターやキッチンペーパーなどでヨーグルトを一晩水切りしておく
    コーヒーフィルターやキッチンペーパーなどでヨーグルトを一晩水切りしておく
作り方
1. 小鍋に水をたっぷり入れ沸騰したら、お玉に卵を入れて一つずつ静かに入れ4個入れ終わってから4分茹でる。すぐに氷水で冷やす。
2. 玉ねぎをスライスし、フライパンにオリーブオイル(分量外)と塩少々を入れ、あめ色になるまで炒め耐熱皿に底に敷くように入れる。
3. フライパンにバター(分量外)を入れ、ほうれん草の葉をしんなりするまで炒め、塩、こしょうで味を整え、さきほどの耐熱皿の玉ねぎの上に並べる。
4. フライパンにバターを入れ弱火で溶かし、小麦粉を一気に入れへらで混ぜる。
5. 4に3回にわけて牛乳を入れながら(だまになっても混ぜ続けるとなじむ)、へらでその都度なめらかにする。最後に水切りしたヨーグルトを加える(ヨーグルトホワイトソース)。
6. 皮をむいたじゃがいもとにんじんをスライスし、鍋に入れ、ひたひたにかぶるくらいの水と塩少々入れ一旦沸騰させてアクを取り、中火で20分ほど柔らかくなるまで茹でる。
7. 6のお湯を切り、にんじんとじゃがいもを潰しながら中火で水分を飛ばし、ローズウォーターとヨーグルトホワイトソースを混ぜ塩で味を整える。
8. 準備しておいたオーブン皿に、半分にカットした半熟卵を並べ、全体を覆うように7を流し入れ、200℃のオーブンで30分ほど焼く。

(作り方写真は、右矢印をクリック/スマホの方はスワイプして見てください)

  • 1. 小鍋に水をたっぷり入れ沸騰したら、お玉に卵を入れて一つずつ静かに入れ4個入れ終わってから4分茹でる。すぐに氷水で冷やす。
    1. 小鍋に水をたっぷり入れ沸騰したら、お玉に卵を入れて一つずつ静かに入れ4個入れ終わってから4分茹でる。すぐに氷水で冷やす。
  • 12. 玉ねぎをスライスし、フライパンにオリーブオイル(分量外)と塩少々を入れ、あめ色になるまで炒め耐熱皿に底に敷くように入れる。
    2. 玉ねぎをスライスし、フライパンにオリーブオイル(分量外)と塩少々を入れ、あめ色になるまで炒め耐熱皿に底に敷くように入れる。
  • 3. フライパンにバター(分量外)を入れ、ほうれん草の葉をしんなりするまで炒め、塩、こしょうで味を整え、さきほどの耐熱皿の玉ねぎの上に並べる。
    3. フライパンにバター(分量外)を入れ、ほうれん草の葉をしんなりするまで炒め、塩、こしょうで味を整え、さきほどの耐熱皿の玉ねぎの上に並べる。
  • 4. フライパンにバターを入れ弱火で溶かし、小麦粉を一気に入れへらで混ぜる。
    4. フライパンにバターを入れ弱火で溶かし、小麦粉を一気に入れへらで混ぜる。
  • 5. 4に3回にわけて牛乳を入れながら(だまになっても混ぜ続けるとなじむ)、へらでその都度なめらかにする。最後に水切りしたヨーグルトを加える(ヨーグルトホワイトソース)。
    5. 4に3回にわけて牛乳を入れながら(だまになっても混ぜ続けるとなじむ)、へらでその都度なめらかにする。最後に水切りしたヨーグルトを加える(ヨーグルトホワイトソース)。
  • 6. 皮をむいたじゃがいもとにんじんをスライスし、鍋に入れ、ひたひたにかぶるくらいの水と塩少々入れ一旦沸騰させてアクを取り、中火で20分ほど柔らかくなるまで茹でる。
    6. 皮をむいたじゃがいもとにんじんをスライスし、鍋に入れ、ひたひたにかぶるくらいの水と塩少々入れ一旦沸騰させてアクを取り、中火で20分ほど柔らかくなるまで茹でる。
  • 7. 6のお湯を切り、にんじんとじゃがいもを潰しながら中火で水分を飛ばし、ローズウォーターとヨーグルトホワイトソースを混ぜ塩で味を整える。
    7. 6のお湯を切り、にんじんとじゃがいもを潰しながら中火で水分を飛ばし、ローズウォーターとヨーグルトホワイトソースを混ぜ塩で味を整える。
  • 8. 準備しておいたオーブン皿に、半分にカットした半熟卵を並べ、全体を覆うように7を流し入れ、200℃のオーブンで30分ほど焼く。
    8. 準備しておいたオーブン皿に、半分にカットした半熟卵を並べ、全体を覆うように7を流し入れ、200℃のオーブンで30分ほど焼く。
デザートにもローズウォーター。

このグラタンはにんじんの煮物が苦手な友人に絶賛されたレシピです。茹でたり煮ると出るにんじん独特のにおいが、ローズウォーターによってうまく抑えられます。消臭効果のあるローズウォーターの効果の現れかもしれません。

ローズは、砂糖と相性がとってもよいのでスイーツに使われることが多いので、今回はデザートとして、文旦をローズウォーターと砂糖で和えてみました。文旦の優しくさっぱりした味とバラの香りがベストマッチ。爽やかさに華やかさがプラスされ上品なデザートとなりました。

ローズウォーターは、料理だけでなく化粧水としても使えます。スプレーボトルに入れておけばお部屋にスプレーするだけでまるでブルガリア・バラの谷!? お風呂に入れるのも幸せかも。

そうそう、意外にもコーヒーに入れてみたらおいしかったですよ! お試しください。

  • にんじんのローズグラタン
    にんじんのローズグラタン
  • ローズの香りの文旦のデザート
    ローズの香りの文旦のデザート

ほのかに香るローズの音楽

rose_15

どこからともなくローズの香りが漂ってくると、あたりは華やかな空気に包まれます。南フランスのニース出身のシンガー・ソングライター、ローズのジャケットのポートレイトからもほのかなローズの香りが漂ってくるかのようです。

ロング・レザー・ブーツにチェックのウエスタン・シャツを着て微かに笑顔を見せるデビュー当時のローズの姿には素朴さを感じますが、その眼差しや表情にはどこかアンニュイで艶っぽい雰囲気があります。

ROSEの名前は、彼女が愛するシンガーのジャニス・ジョプリンをモデルにした映画のタイトルからとられました。アコースティック・ギターを抱えながら歌う彼女は、曲想から浮かびあがるニュアンスを大切に歌い、その吐息まじりのハスキーな歌声は、フォーキーなサウンドととても相性よく響きます。

それにしてもフランス語の響きは柔らかくて素敵ですね。ローズウォーターをガス入りのミネラル・ウオーターに注いで、その香りとともに窓辺のテーブルでちょっと遅いランチをはじめましょう。

文/吉本 宏

Rose / Rose