ブルゴーニュからも応援の声
アルベール・ビショーの支援ワイン

(2011.04.18)

このたびの東日本震災において被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。

今回はブルゴーニュのネゴシアンが、日本支援のためチャリティ・ワインを発売する話題をお届けします。

フランスでの震災に対する反応は早く、直後からリアルタイムでニュースが流れました。しかもテレビをつければ一日中ずっと日本の映像を流しっぱなし、という日がしばらく続き、自分のいる国がフランスではなく日本のような錯覚に陥りそうでした(言語こそフランス語ですけど)。

フランスが震災に対して関心が高いのは、人口当たりの原子炉設置数が世界最多で事故に敏感なためと思われますが、やはり衝撃的だったのが津波の映像です。震災後、「外国で日本を想うと心細いでしょう」と心配してくれた周囲のフランス人の友人たちに、代わる代わる家に招かれました。そこでフランス人と一緒に何度も津波の映像を目にしましたが、何度見ても誰もが固唾を呑んでテレビ画面を見つめていました。

「信じられなかった。まるで映画のセットを見ているかのようだった」。沈うつな表情で語ってくれたのは、ブルゴーニュの名門メゾン、アルベール・ビショー社のアルべリック・ビショー社長です。1831年創業のアルベール・ビショー社が日本市場に参入して90年近くたちますが、特に現社長のアルべリック氏は1990年から40回以上来日し、日本に対して強い思い入れがあります。

「40回の来日を日数に換算するとほぼ1年に相当します。90年の最初の訪問の際、『日本で研修したい』と輸入元のメルシャンに伝えると、早速2ヶ月の滞日スケジュールを組んでくれました。この2ヶ月滞在というのは貴重な体験です。その後も年に何度か日本に出張していますが、1週間の滞在ではセミナーなどでどうしても駆け足になりがち。2ヶ月滞在したときは、日本各地のお得意先を回って土地勘もできましたし、最後に2週間の休暇も取ってプライベートで日本の夏を満喫しました。メルシャンの社員が家族と一緒に花火大会に連れて行ってくれたり、海水浴に出かけたり……。ビジネスはビジネスだけど、それを超えた友人が私にはたくさん日本にいます。」

被災者に自分ができることはないか? ビショー社ではフランスのワイン業界で一番早く3万ユーロ(=約366万円)の支援を名乗り出ました。震災の翌週、3月20日にオスピス・ド・ニュイの競売会で落札した2樽を、チャリティ・ワインにすることを表明したのです。

「あまり派手にしたくなかったので、チャリティをすることは旧知のフィガロ紙の記者にそっとメールで知らせただけです。日本の輸入元にも知らせませんでした。オークション後にフィガロを見て驚いて連絡をもらったくらいです。」

落札した「ニュイ・サン・ジョルジュ、プルミエ・クリュ、レ・ミュルジェ」はマグナムに瓶詰めし、288本を1本120ユーロ(税込み)でインターネットにて限定販売します。4月30日まで受け付けていますが、予約を開始してから10日で既に2/3が売約済みとなりました。日本からも予約が入っているそうです。合計3万ユーロ(=約366万円)の売上金は在仏日本大使館を通して日本赤十字に寄付されます。

「3万ユーロ程度では、被災者のかたがた全てを救済することはできないけど……。日本赤十字には震災孤児の支援に充ててもらうつもりです。ビショー家では伝統的に恵まれない子どもたちの支援をしているんですよ。母も以前からボランティア活動をしています。これは会社とは関係なく、家族の伝統の話なので書かかなくていいからね(←すみません、いいお話なので書いちゃいました!)。」

ワインは約1年樽熟成し、リーフレットを添えた特製木箱に入って2012年の春に配布される予定です。

個人的な話で恐縮ですが、叔母が被災したこともあり、お話を聞いている間にちょっとウルウルきそうになりました。日本での思い出をたくさん語ってくれた時のアルベリック氏、もその時は沈痛な面持ちでしたが、チャリティの話に移ると「さぁ来週から協賛企業を探さなきゃ!」といつもの前向きな笑顔に変わりました。

日本の皆さん、頑張りましょう。ブルゴーニュからも皆さんを応援しています。

『ニュイ・サン・ジョルジュ、プルミエ・クリュ、レ・ミュルジェ』

マグナムに瓶詰め、21本120ユーロ(税込み)
http://www.hospices-beaune.com/commandejapon/
2011年4月30日(土)まで受け付け