TOTOSK KITCHEN Vol. 15 クレソンクレソンでつくる
酸辣湯とぴりから中華ソース

(2013.06.24)

写真/黒澤義教 うつわ/HASAMI PORCELAIN


みなさん、こんにちは。
最近、だんだんと蒸し暑さが増してきましたね。
エアコンを使い始めた方も多いのではないでしょうか?
この時期は熱中症にもなりやすく、急に食欲が落ちたりします。
今月のクレソンの「酸辣湯(サンラータン)」には夏バテ予防効果のあるお酢が入っています!
お酢の酸味が臭覚や味覚を刺激し、食欲を増進するので、食欲が無いときにもってこい。
このスープを食べて、だるさを吹き飛ばそう!!

♠クレソン料理に合わせたい「ルカス・ハインの音楽」by 吉本 宏

クレソンは、アブラナ科の多年草です。和名オランダガラシといい、実はよく聞くクレソンはフランス語なのです。フランスでは14世紀、ドイツでは17世紀ごろから栽培利用が始まったといわれています。日本には明治3~4年にオランダからやってきたそうです。辛みのある菜という意味で、オランダガラシと呼ばれたようです。きれいな渓流や池などに野性化して、大きな群落になっているところが多く、水生植物だと思われていますが湿った畑で簡単に栽培できるそうです。またベランダのプランターでも育つようです。

先日プランターに植えてみましたが、水が少なかったせいか葉がバリバリした丈夫な子に育ってしまいました。でも、病害虫に強いので無農薬で育てられますよ。ハウスだと一年中収穫ができるのですが、自生のクレソンが収穫できるのは初夏だけ。8〜10㎝ほどの大きさが風味があって歯触りもいいそうです。これからクレソンの季節到来ですね。

葉は、卵形または楕円形の小さな葉が3〜9枚羽状に集まって1枚になっています。5月ごろ、茎の先に白い小花を咲かせ、その後細いさや状の種子をつけます。ワサビにも似た爽やかなピリッとした辛さが特徴。これはワサビや大根、ルッコラなどと同じシニグリンという物質で、この成分が食欲を増進させたり、胃もたれ解消効果があるということです。

油っぽさを和らげてくれるので、よくお肉に添えてありますね。お肉をたくさん食べる人は血液酸化防止のためにもクレソンを一緒に食べて下さいね。また鉄分も豊富なので貧血気味な方にもおすすめです。

ヨーロッパでは正式に薬効が認められいて、糖尿病、神経痛、通風に効くといわれています。消化促進、解熱に利用されているそうです。栄養価も高く中でもカルシウムが多く含まれているので、現代人のカルシウム不足を補うにはもってこいなんですって。やはり食べない手はないですよね。


クレソン

クレソンの酸辣湯


とろみをつけてから卵をまわし入れる。

材料4人分
クレソンの中華ソース(下記) お好みの量
豚バラ肉 80g(千切り)
(下味調味料:しょうゆ・ごま油・酒・片栗粉 各小さじ1)
ゆでたけのこ 80g(千切り)
キクラゲ 80g(千切り)
えのき 1/2本
鶏ガラスープのもと 大さじ1.5
干し貝柱粉 大さじ1.5
水 1500ml
卵 2個
片栗粉 大さじ3(水大さじ6で溶いておく)

作り方
1.豚肉を細切りにし下味調味料をもみ込んでおきます。
2.大きな鍋に、鶏ガラスープと水を入れ煮立たせ、1の豚肉を入れ灰汁をとり、半分に切ってほぐしたえのき、千切りしたたけのこ、キクラゲを入れ再び煮立たせる。
3.クレソンの中華ソースを好みの分量入れる。
4.水溶き片栗粉を回し入れとろみをつけから、溶き卵を流し入れ、火を止めて完成。お酢がお好きな方は、お酢(分量外)を好みで足してください。

クレソンの中華ソース

材料4人分

クレソン 1束(100g)
しょうゆ 大さじ1
酢 大さじ2
ラー油 小さじ2
ごま油 少々
こしょう 
ねぎ 大さじ2(みじん切り)
しょうが 大さじ1
塩 小さじ1
オリーブオイル 適宜(今回は使用していませんが、入れるとマイルドな味になります)

作り方
1.クレソンを洗って根元をカットし、細かくみじん切りにしボウルに入れる。
2.ねぎ、しょうがも細かくみじん切りにし1に入れる。
3.2に全ての調味料を入れ混ぜ合わせ完成。マイルドにしたい場合はオリーブオイル(分量外)を混ぜる。

近ごろ手軽に手に入るクレソンをサラダ以外の食べ方で。

一束100円ちょっとで簡単に手に入るようになったクレソンはいまではすっかり身近な存在に。でも普段は付け合わせにかサラダにしてそのまま食べている人が多いのでは? 今回は細かく刻んでソースをつくってみました。ごま油をベースに、EVオリーブオイルを加えるとクレソンの青臭さが消えて風味が強調されます。

ソースは冷や奴の薬味としてかけてみました。クレソンのさわやかな香りとぴりっとした辛味が利いていてビールのお供にもなります。麺つゆで食べるおそうめんに飽きたときに、つゆに足したり、そのまま冷たいおそうめんと絡めるとピリ辛麺ができあがり。クレソンはそのほかにも、さっとゆでておひたしにしてもおいしいですよ。

クレソンは買って来たらすぐ冷水に茎の部分のみをつけます。全体に水をかけてしまうと痛んでしまうので、葉の部分にはくれぐれも水をつけないようにしてください。そして、濡らしたキッチンペーパーで根元を包みビニール袋に入れコップに立てて冷蔵庫で保存するといいと思います。横にしておくと茎が曲がってきてしまいます。曲がっているクレソンは収穫後時間が経っているということですね。


クレソンの酸辣湯

クレソンの中華ソース

けぶるようなテナーの音色を聴かせるルカス・ハインの音楽

 
野生のクレソンをかじると、自然の辛みと一緒に香り高い青さを感じます。クレソンはいつ食べても本当に美味しいと思える、お気に入りの香草です。

そんなクレソンの辛みと香りにも似た、けぶるようなテナー・サックスを鳴らすのが、オレゴンのサキソフォン奏者のルカス・ハインです。まるで、スタン・ゲッツのように流麗な音色を響かせるのですが、ゲッツよりもさらに落ち着いたトーンで、息をこぼすような繊細さでボサノバを奏でます。

ゲッツとボサノバといえば、ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンとともに録音した『ゲッツ/ジルベルト』を思い出しますが、あの時代のゲッツは、ボサノバの繊細さとは異なる音色で吹いたため、ジョアン・ジルベルトはゲッツのテナーを受け入れられなかったといいます。もし、ルカス・ハインのように吹いていたなら、また違ったアルバムになっていたかもしれません。

ルカス・ハインは、リオデジャネイロに赴き、ブラジルのミュージシャンをバックに、アリ・バホーゾの「E Luxo So」などをカバーしていますが、ジョビンの知られざる名曲「Look To The Sky」を採りあげているところがまた渋いですね。夏の蒸し暑さも、彼らの音楽の前では、きっと少しおとなしくなってしまうことでしょう。

Lukas Hein & Dialeto Brasileiro

文/吉本 宏