from 大阪 – 4 - ビストロやワインバーで、
夜な夜な開催されるワイン勉強会。

(2013.06.10)

ワインをもっと知りたい、勉強したい、というアツい気持ち

「お疲れさまです~」
「今日もよろしく~」
飲食店の営業が終わり、街が深夜の静けさに包まれ始めたころ。一軒のレストランに集まってきたのは料理人、パティシエ、ソムリエ、そしてワインショップの人たち。

この日は心斎橋『DAIGAKU』で他谷シェフ主催のワイン勉強会。もともとはお店のスタッフ向けに始めた勉強会だったそうですが、マニアックなテーマで貴重なワインが開くということもあり、同じ飲食業仲間のシェフやソムリエも参加するようになりました。もちろん、貴重なワインが飲めると聞いて、ワインショップに勤める私も参加せずにはいられません……。

およそ月に一度のペースで24時過ぎにスタート。最初は10人くらいでしたが今では20人近いときもあり、お店のジャンルもイタリアン、中華、和食、フレンチ、バーと多岐にわたります。みなさん仕事でワインを扱われているのは共通なのですが、料理やお客様によって選ぶべきワインは様々。ただワインに詳しくなりたいだけなら本を読んでテイスティングを重ねることで一定のレベルまではいけますが、勉強の目標を「ご来店いただいたお客様にいかに喜んでもらうか」に置いたとき、話はそう単純ではなくなります。

一対一でワインに向き合うだけではなく、ワインを取り囲んで、みんなで意見をいいあう。どのくらいの温度でどんなタイミングで提供したらいいのか。合わせるお料理は? ソースは? 順番は? そしてどのようなお客様に、どのワインをお勧めしたらいいのか。またどんな雰囲気で、どのようなストーリーを添えてこのワインを提供したら喜ばれるだろうか。リピートしていただけるだろうか。一人で考えるよりも、同じ目標をもった仲間同士で意見をいいあう方がより刺激的で、視野が広くなり、学べることも多いと思うんです。


最初はみんな寡黙なブラインドテイスティング


大人数だからこそ普段飲めない高級ワインも

先入観なしにワインを味わう

最初はテーマを決めて、それにそったワインを準備してみんなでテイスティングしていた勉強会ですが、ここ最近はすべてブラインドテイスティング(ボトルをアルミホイルで包み隠した状態)にて行われています。漫画やテレビドラマ、ソムリエコンクールなど華々しい場面で行われているのを見たことがあるかもしれませんが、ブラインドテイスティングの主旨は銘柄を言い当てることではないんです(もちろん、あのシーンがカッコいいのですが・笑)。

なによりも大事なのは先入観を持たず目の前の液体に向き合うことができる、ということ。少しでもワインを勉強して知識があると、ラベルからの情報、ワイン名、地域、ヴィンテージなどから味わいを想像してしまい、無意識のうちにそれをなぞるようにテイスティングしてしまいがちです。つまりブルゴーニュのピノノワールだと分かったうえでテイスティングをすると、最初から木いちごの香りを探したり、酸味とミネラルに注目して味わってしまうわけです。


ワインだけでなく日本酒も。油断なりません(笑)

微妙な違いを感じ取る。第一印象が大事

それはそれでワインの素性を掘り下げてさぐるのには有効なのですが、無心でワインをテイスティングしたいときの、自分の感覚を磨くためにはやはり先入観を排したブラインドテイスティングが有効です。それも銘柄当てに終始するのではなく、なぜそう思ったかの過程こそが重要。そしてその仮説をもとに相性のいい料理や素材、調理法を考え、自分なりにプレゼンしてみる。

結果、ブルゴーニュのピノノワールをたとえロワールのガメイと間違えたとしても、柔らかく赤い果実や花のニュアンスを感じ、それに沿うような料理やサービス方法が思い浮かべばそれでいいのではないでしょうか。またそう感じるにいたった自分の感覚は軌道修正されながら、より磨かれていくのです。

徹底して比較してみる

4月某日。谷町六丁目からほど近いワインバー『ヴァンヴォヤージュ』さんにも、0時を回ってからシェフやソムリエ、サービスの方たちが集まりました。こちらもブラインドテイスティング方式なのですが、あらかじめテーマが決まっていて、2択ないし3択から比較してそのワインの個性を探っていくというもの。

あるときは酸化防止剤の有無について。同じ生産者、そしてできれば同じ年の同じワインで、酸化防止剤の有無もしくは含有量が大きく異なるワインを用意しての比較試飲でした。

ここはワインバーなので、どちらかというとワインが主役。ワインについてより深く多角的に掘り下げ、その情報をお客様と共有することで満足度を高めていこうという考え方。

しかし酸化防止剤の有無の違いって、難しかったです。今飲んでどっちが美味しいか?という問いに意見も割れていましたね。


比較してみてはじめて分かることも


海外で購入した素敵なボトルサック

前回はオーヴェルニュ地方のワインがテーマでした。白はシャルドネ、赤はガメイとピノノワールが主要品種。それぞれオーヴェルニュ地方のワインを用意し、それと他産地の同品種を比較試飲してみるというものでした。そのなかからオーヴェルニュ地方の個性というのは浮かび上がってくるのか、それとも造り手の個性が勝っているのか。それとも…。

今月も、あるいは今夜もどこかで行われているワイン勉強会。とくに大阪は飲食店同士横の繋がりが非常に強く感じますし、ライバル関係というよりは同じ業界の仲間として、お互い切磋琢磨してレベルをあげていこう、という気概が強く感じられます。先日も77会という500名規模の大きな屋台イベントがありましたし、各店のコラボや飲食店主導のイベント、夏のシャンパーニュ祭りなど楽しい仕掛けには事欠きません。

そしてその恩恵を受けるのは、そのようなお店でワインをいただくお客様たち。「大阪に遊びに行ったけど、夜はワインが美味しくて、楽しかったよ!しかも大阪でワイン造ってるんだって*。」関西以外の方からそんな言葉が聞けるととっても嬉しい、大阪はミナミに住んで2年半になる僕でした。

【Information】
*6月16(日)12:00~14:30「大阪ワイナリー協会・第1回ワイン会」が開催されます!
天王寺都ホテルに大阪の6つのワイナリーが集結、ビュッフェスタイルでお楽しみいただけます。
詳しくはブログをご覧ください → ブログ

Bistro a vin DAIGAKU
大阪市中央区東心斎橋1丁目4-22
TEL:06-6241-5431
営:12:00~14:00(LO)、18:00~22:00(LO)
定休日:月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日休業)

vin voyage(ヴァンヴォヤージュ)
大阪市中央区谷町7-1-34 Y’sパレス谷町1F
TEL:06-7172-7669
営:18:00~翌2:00(L.O.01:30)
定休日:火曜日