TOTOSK KITCHEN Vol. 26
ピンクペッパー
ピンクペッパーソースでつくる2種のタルティーヌ。

(2014.06.03)

写真/黒澤義教 撮影協力/東京西海陶器 Common
 

みなさん、こんにちは。先日新しいテーブルウェア「Common」の発表会へ行ってきました。Commonは波佐見でつくられるスタンダードな食器で、国やスタイルの垣根を超え、時代にも左右されないテーブルウェアとして誕生しました。飽きのこないシンプルなデザイン、実用性と機能性、フレンドリーな価格と毎日の食卓で活躍しそう。

そして、国籍にこだわらず自由な発想でつくっている私の料理にもピッタリだ〜!と思ったので、Commonをつくる西海陶器さんにお願いして食器をお借りすることとなりました。見た目は重量感のあるお皿ですが、実際に手に取ると軽く、お片付けもらくらくです。

さて今回のテーマは、スパイス界でもひときわキュートなピンクペッパー。仕上げの飾りつけに使うことはあってもなかなか主役になれないピンクペッパーちゃんを主役に抜擢して、忘れられないような華やかな香りをお届けできるソースをご紹介します。カラフルなお皿にほんのりピンクのソースのタルティーヌ、香りもいっそう映えるような気がします。

♠ピンクペッパー料理に合うエフェメラの音楽

ペッパーなのにペッパーじゃない!!?

鮮やかなピンク色をしたピンクペッパーは、お料理が華やかでおいしそうな印象に見せるので、仕上げに数粒だけ振りかけられることが多いスパイスです。黒や茶色の地味なスパイスが多い中、ダントツでキュートな色ですね! スパイス界のプリンセスだわー!! とはいえ、日常的には出番の少ないピンクペッパーちゃん。店頭に並んでいないこともしばしば。その理由は白や黒のコショウと比べると香味が弱く、加熱すると色が変わってしまうため、サラダやカルパッチョの仕上げに振るという使い方しかされてこなかったのかもしれません。

ペッパーと名前がついているのだけど、ピンクペッパーは黒や白のコショウとは別のスパイスなんです。実が熟すとともに緑、(ピンク)赤、黒と皮の色が変化し、皮をむいたら白と4色混じっているコショウの赤色はコショウの実であることも多いのですが、一般にピンクペッパーと呼ばれているものはほとんどがコショウと関係は無く、ウルシ科植物の「コショウボク」という植物の実を乾燥させたものです。色がピンク色でコショウと形が似ていたので、ピンクペッパーと名づけられたようで、コショウと違って辛さは無く、コショウに似た繊細で甘やかな香りがします。ゆっくり味わえば独特の苦味や渋みも楽しめます。

ただサンショウモドキの木の実であるブラジリアンペッパー、バラ科のセイヨウナナカマドの実や、前述のようにコショウが熟して赤くなった完熟コショウ(黒になる前)のこともピンクペッパーと呼ばれるので、ぱっと見て区別するのは少し難しいようです。

材料
ピンクペッパーのレモンクリームソース 4人分
ピンクペッパー 6g(大さじ2弱)
バター 20g
コンソメ 100ml
生クリーム 100ml
レモン 1/2個
塩 適宜

キャロットラペ 4人分
にんじん中サイズ1本
《ドレッシング》
ピンクペッパーソース20g
オリーブオイル 大さじ2
白ワインビネガー(又は酢) 小さじ1
メープルシロップ 小さじ1
塩 適宜

プチトマトのタルティーヌ 2人分
ピンクペッパーソース 適量
プチトマト 適量
ベーコン 4枚
卵 2個

サーモンのタルティーヌ 2人分
スモークサーモンのスライス4枚
ピンクペッパーソース 20g
お好きなクリームチーズ 100g
(今回は北海道月のチーズさんのフレッシュクリームチーズ)
赤玉ねぎ 1/4個
オレンジ 1個
ケーパー 8粒

(材料写真は、右矢印をクリック/スマホの方はスワイプして見てください)

  • ピンクペッパーソースのレモンクリームソース(4人分)
    ピンクペッパーソースのレモンクリームソース(4人分)
  • キャロットラペ(4人分)
    キャロットラペ(4人分)
  • 2種のタルティーヌ(各2人分)
    2種のタルティーヌ(各2人分)
作り方
ピンクペッパーのレモンクリームソース
1.小鍋にピンクペッパー、バター、コンソメを入れ弱火で25分煮る。
2.1に生クリーム、レモンの絞り汁を入れさらにとろりとするまで10分ほど弱火で煮詰める。
3.2を火から下ろし氷水などで粗熱をとったらミキサーで攪拌して完成。

キャロットラペ
1. ピンクペッパーレモンクリームソースとドレッシングの材料を全て混ぜ合わせる。
2. にんじんを千切りし、(スライサーでOK)1と和えて完成。

プチトマトのタルティーヌ(2人分)
1. 沸騰したお湯1ℓに白ワインビネガーかお酢を大さじ5入れてお玉でかき混ぜ、卵を静かに割り入れ2分半茹でてポーチドエッグを作る。
2. ベーコンを半分にカットしたものと、塩、こしょう、オリーブオイルを垂らしたプチトマトを天板に並べ、180℃のオーブンで10分焼いておく。(フライパンでもOK!)

サーモンのタルティーヌ(2人分)
1. ピンクペッパーレモンクリームソースとクリームチーズを混ぜる。
2. カンパーニュをトースターなどで焼き、1のクリームを塗り、スライスした赤玉ねぎとオレンジをトッピングしケーパーをのせてできあがり。

(作り方写真は、右矢印をクリック/スマホの方はスワイプして見てください)

  • 【ピンクペッパーのレモンクリームソース】小鍋にピンクペッパー、バター、コンソメを入れ弱火で25分煮る。
    【ピンクペッパーのレモンクリームソース】小鍋にピンクペッパー、バター、コンソメを入れ弱火で25分煮る。                                                                              
  • 【ピンクペッパーのレモンクリームソース】生クリーム、レモンの絞り汁を入れさらにとろりとするまで10分ほど弱火で煮詰める。
    【ピンクペッパーのレモンクリームソース】生クリーム、レモンの絞り汁を入れさらにとろりとするまで10分ほど弱火で煮詰める。                                                                              
  • 【ピンクペッパーのレモンクリームソース】火から下ろし氷水などで粗熱をとったらミキサーで攪拌して完成。
    【ピンクペッパーのレモンクリームソース】火から下ろし氷水などで粗熱をとったらミキサーで攪拌して完成。                                                                              
  • 【キャロットラペ】ピンクペッパーレモンクリームソースとドレッシングの材料を全て混ぜ合わせる。スライスしたにんじんと和えて完成。
    【キャロットラペ】ピンクペッパーレモンクリームソースとドレッシングの材料を全て混ぜ合わせる。スライスしたにんじんと和えて完成。                                                                              
  • 【プチトマトのタルティーヌ】沸騰したお湯1ℓに白ワインビネガーかお酢を大さじ5入れてお玉でかき混ぜ、卵を静かに割り入れ2分半茹でてポーチドエッグを作る。
    【プチトマトのタルティーヌ】沸騰したお湯1ℓに白ワインビネガーかお酢を大さじ5入れてお玉でかき混ぜ、卵を静かに割り入れ2分半茹でてポーチドエッグを作る。                                                                              
  • 【プチトマトのタルティーヌ】ベーコンを半分にカットしたものと、塩、こしょう、オリーブオイルを垂らしたプチトマトを天板に並べ、180℃のオーブンで10分焼いておく。カンパーニュをトースターなどで焼き、プチトマトを敷き詰め、ベーコン、ポーチドエッグをのせ、ピンクペッパーレモンクリームソースをかけてできあがり。
    【プチトマトのタルティーヌ】ベーコンを半分にカットしたものと、塩、こしょう、オリーブオイルを垂らしたプチトマトを天板に並べ、180℃のオーブンで10分焼いておく。カンパーニュをトースターなどで焼き、プチトマトを敷き詰め、ベーコン、ポーチドエッグをのせ、ピンクペッパーレモンクリームソースをかけてできあがり。
  • 【サーモンのタルティーヌ】ピンクペッパーレモンクリームソースとクリームチーズを混ぜる。カンパーニュをトースターなどで焼き、1のクリームを塗り、スライスした赤玉ねぎとオレンジをトッピングしケーパーをのせてできあがり。
    【サーモンのタルティーヌ】ピンクペッパーレモンクリームソースとクリームチーズを混ぜる。カンパーニュをトースターなどで焼き、1のクリームを塗り、スライスした赤玉ねぎとオレンジをトッピングしケーパーをのせてできあがり。                                       
ピンクペッパーの香りを楽しんでください。
タルティーヌは、バケットやカンパーニュに食材やペーストをのせたオープンサンドのことです。語源はフランス語の「タルティネー=パンに塗る」から。タルティーヌはフランスでは日常的なレシピで、朝食やランチはもちろん、おやつやアペリティフのお供にと朝から晩までいろんなところで登場するようです。みんなが集まるホームパーティではいつも大人気。手軽でおいしく、いろんな組み合わせができるのでわくわくするフードアイテムです。

今回ご紹介したソースはピンクペッパーをこれでもか!とふんだんに使ったソースです。ペーストにするためピンクペッパーを時間をかけて柔らかく煮たので、ピンク色は少し弱まっています。また焦げてしまうとピンクペッパーの風味が消えてしまうので、弱火でじっくり煮るのがポイントです。

ピンクペッパーはいつも彩り役で、味もよく分からない方も多いと思いますが、これは優しく華やかな風味をしっかり味わえるソースです。

付け合わせのキャロットラペは、定番のオレンジジュースとオリーブオイルのものとはひと味違うピンクペッパーソースを元にしたオリジナルドレッシングで和えています。香り立つような華やかなピンクペッパー独特の風味を感じることができるのでぜひ一度お試しください。

  • ピンクペッパーのレモンクリームソース
    ピンクペッパーのレモンクリームソース
  • プチトマトのタルティーヌ
    プチトマトのタルティーヌ
  • サーモンのタルティーヌ
    サーモンのタルティーヌ
  • キャロットラペ
    キャロットラペ

ふわふわキラキラ、キュートに輝くエフェメラの音楽

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もっともキュートなスパイスともいえるピンクペッパー。その鮮やかな色とかたちは、料理の色あいをチャーミングにひきたてます。

そんなふわふわのポーチドエッグとキラキラのサーモンに彩りを添えるキュートなスパイスを思わせるのが、90年代半ばに北欧ノルウェーの港町ベンゲルで誕生した可愛らしいティーンエイジャーのグループ、エフェメラです。クリスティーン、インガー、ヤニックの3人の女の子による、その可愛らしいコーラスとアコースティックなサウンドは、北欧の港町に吹く潮風のように清々しく爽やかに響きます。

アルバム・タイトル曲でもある「Ballon And Champagne」は、ふわふわと浮かぶ風船ときらめくシャンパンの泡のようにドリーミーで、まるで彼女たちの大切な宝物をそっと見せてもらったような親密さを感じてしまいます。

エフェメラはいまはもう活動はしていませんが、彼女のたちの印象的な歌声は、ささやかで小さなスパイスとしていつまでも心に残りつづけます。

文/吉本 宏

Ephemera / Ballon And Champagne
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