ほろ酔い倶楽部 - 6 - 山梨ワインツアー 3/3 〜 細田結佳里 レポート 〜

(2010.01.14)

 

 

『酒折』と『BEAU PAYSAGE』訪問レポート

今回は、主催者である小松さんの「そろそろサントリー・山梨ツアーを企画しようと思うのだけど、どお?」という言葉から、「是非、シャトー酒折も一緒にどうですか?」という具合でお願いして弊社のグループ会社への訪問となったのでした!

でも結局サントリーさんの予定が合わず、パンの高橋先生のご紹介で、ヴォー・ペイサージュさんとの組み合わせとなったのですが、これがまた規模を感じる酔い訪問となりました!

いつもの新宿西口のいつもの場所に待ち合わせ。いつも通りハプニングがあって、出発は少し遅れる。でも、最初の到着にはスケジュール通り間に合うから、いつものドライバー佐藤さんの凄腕には、毎回関心と安全を感じる。

まずは自己紹介が続くが、今回は現役ツアーコンダクターの宮林さんもいるかた心強い。

山梨へ向かうバスの中では、予習が始まる。スプマンテが手渡しされていくが、それだけであればただの酒飲みツアーである。次に手渡されたのは、エチケットの無い瓶に入った紫色の液体。東急本店の藤巻マッキーからその液体が2本立て続けに渡される。小松さんからの突然の質問には、あーだ・こーだと真剣に物申す。

マスカット・ベリーAだと思ったが、少しメルローのニュアンスを感じたから、ブラインドは難しい。正解は、more Treesの丹波ワインと、カタシモワイナリーのマスカット・ベリーA。
http://www.nigoriwine.jp/r3project.html

では飲み比べとばかりに、シャトー酒折のマスカットベリーA樽熟成2007を袋に入れて渡してゆく。濃厚な果実味で人気だったのは、嬉しかった。そんなこんなで1件目到着。

 

1.『ヴォー・ペイサージュ』

まずは、岡本さんと畑で待ち合わせ。そして、畑見学〜ワイン産地に来たとは思えない、一面ブドウ畑では無く、寒ざむしい畑。隣の畑は、フィアット製のトラクターがブーンと耕しているから余計に、ここは何処? と、聞きたくなる。

山梨県須玉町は標高700mもあり、冬場は特に冷え込みが厳しい。ぶどう栽培は冬場の気温が低すぎて難しいといわれていただけあって、近くにワインメーカーは当然ない。でも、当時はインターネットが普及しておらず、何度も気象台に通いコピーは許されない環境で、手書きでの情報を収集。この地を選んだ理由は、ワイン用のブドウ作りに適した土壌と思ったのと、春夏の気象データがカリフォルニアのナパヴァレーに近かった事。そして、何よりその当時25歳の岡本さんを快く迎えてくれたのが、この須玉町の親切な役場の方々。そこに縁を感じ、何度もこの土地を訪ね、土地の提供をお願いし、確約がとれていない中でスタートさせたという。

桔梗ケ原 メルローに魅せられて、ワインは基本的な醸造の知識と一生懸命造ればある程度良いものができるが、その上を目指すと、農業(ぶどう作り)を自分でやる他ない。と、創めただけあって、現在はメルローが5割と大半を占めるが、最近はシャルドネに適していると分かってきたとの事。時期外れのたんぽぽが一輪だけ咲いている生命力、畑の力を感じたからこそ、手探りの中のワイン造りでなく、ブドウ栽培が余計に今後を期待させる。

そして、BUメンバーの質問が飛び交うが、質問した本人はきちんと聞けたのだろうか? 私はブーン・ブーンしか聞こえなかった。ブドウの垣根越しに、岡本さんの口に注目するが……。後半は、フィアットの赤いトラクターを睨んでいた事しか覚えていない。

小松さんへの電話が鳴る。ある方が近くの消防署付近にいるそうだ。岡本さんの案内のもと、登場したのはカーブ・ド・リラックスの内藤さんご夫妻だった。この日、他の訪問先もあり先を急いでいたにも関わらず拉致同然でバスに同乗させて醸造所に移動する。内藤さんご夫妻は、また醸造所に来てしまったらしい。

少し離れている醸造所兼岡本さんのご自宅は、ご近所も知らないらしく、誰に聞いても到着できないらしいが、近くにマスカットベリーAが植えられているのを見つけるとその付近と分かるらしいから覚えておこう。でもそこからは、誰に聞いても分からないのだと内藤さん談。

醸造所は、昨年出来たばかりと新しく、こじんまりと少量生産&入手困難を物語る。器具も少しづつ増えてきたらしい。少人数づつ中に入れていただき色々と見せていただいた後、醸造についての質問が飛び交う。補酸も補糖もしない理由は、ブドウがきちんとしていれば、美味しいと話す岡本さん。醸造の話もほとんどが、畑の話に戻る。2009年は収量が多かったそうなので、再来年のリリースを心待ちにしよう。

ワイン造りでなく、農業と物作りをしたい人がパートナーなのだと、改めて、ワイン造りは農産物なのだと感じた。

内藤さんご夫妻とは、つかの間の時間でしたが、先日行ったと言う南アフリカについて、日本のワイナリーについてそしてワイナリー相関図についてミニ講座を開いていただいた。

 

2.『おいしい学校』

岡本さんの畑からすぐ近くのおいしい学校へ移動。学校というだけあって、駐車場のグラウンド・校庭には記念碑。まさに学校の跡地に建てられた「ぼのボ〜ノ」でランチへ。

さすがに参加者18名とドライバーの佐藤さんと大人数では、予約してもすんなり入れる訳の無い人気店。学校内には広々としたこだわりの売店があるが、畳に机と座布団だけの待合室? で、紙コップとワインが到着し、いつの間にか寄り合いとなる。ここで持参したシャトー酒折の甲州飲み比べが始まる。

(1) シャトー酒折・甲州にごりワイン2009「酒折地区」
(2) シャトー酒折・甲州にごりワイン2009「穂坂&八幡地区」
(3) シャトー酒折・甲州ドライ2005
(4) シャトー酒折・甲州ドライ2007

(1)と(2)は、地区と収穫時期が違うだけであるが、味わいの違いの違うこと。
酒折地区はほんのり甘口、穂坂&八幡地区は辛口でテロワールのお勉強。次いで(3)と(4)甲州ドライのヴィンテージ違いであるが、2006年から醸造を一部変更。その一つに酸化防止にドライアイスの使用を始めた年。
NZのヴィラマリア社・白ワイン世界一にも輝いたMW・アラスターから学んだ技術で、ワインの品質をいつでも最高の状態に保つための酸化防止剤である亜硫酸の添加(世界基準のワイン酸化防止方法)を極力減らすため、シャトー内でつくる自家製のドライアイスを使い始めた。よって、ヴィンテージもあるが、よりフルーティーさが感じられた。

そんなこんなで、シャトー酒折の予習をした所で席が空いたとの事。
「ぼのボ〜ノ」でランチ。入手困難なボーペイサージュのワインもここにはリストオンで2007のシャルドネ9,000円をオーダー。皆でありがたく頂く。色からして日本のワインらしくなくとても濃く、グラスを近づけると遠くから香るのは、ロマネコンティ級の勢い。味わいもふくらみのある噛み応えのある果実味。ブラインドで日本のワインと思う人がいるだろうか? 味わいはまさに自然派の生産者フランス・ロワール地方を思い浮かべる。美味しいお食事は続く・・・途中、こっそり先ほどの酒折ワインが注がれる。甲州ドライとタラのパスタにマッチングと覗かせる。そして、先ほど醸造所で分けて頂いたボーペイサージュのメルローをヴィンテージ違いで、TUGANE le montagne 2006と2005

どちらも凝縮感あふれる濃厚な味わいが印象的で、シャルドネと同じく香りと味わいは別世界。初めて飲んだボーペイサージュのワインの人気っぷりを体感した!

 
次ページへ