ボジョレー・ヌーボー解禁
今年のお味は?

(2013.11.20)

11月も第3週に入りました。いよいよ今年もボジョレー・ヌーボーが解禁となりますね。

今年のフランスは春先が寒くてぶどうが熟すのが遅く、収穫期に雨に見舞われた産地が多かったのですが、ボジョレーでは晴れの日にすっぽり収穫期が重なった生産者がほとんどでまずまずの出来。私も解禁に先駆けて20種類をテイスティングしてみたところ、かなり満足できるお味でした!今回は今年のボジョレー・ヌーボーについてご紹介しますね。

私がテイスティングをしたのは、フランス醸造家連盟が主催するボジョレー・ヌーボー唯一の公式コンクール(品評会)。毎年フランス国内外から100人あまりワインの専門家を招いて、解禁日4日前に1000本ほどの出品ワインをブラインド・テイスティングします。

評価は合議制でテーブルあたり5~6人の審査員がまずは各自で色や香り味わい、全体の特徴を評価して100点満点で得点を付け、その後テーブルの全員で1本ずつ平均点を出してそのワインが本当に受賞に値するのか審査していきます。

今年の私の隣の席は、ボジョレーの生産者組合委員長のフレデリック・ラヴールさんでした。試飲の合間に今年のボジョレーについてお話を伺ってみると……

「ボジョレーでもフランス各地同様に春が寒くて今年の開花は6月末から7月上旬、例年から3週間くらい遅れました。さらに花が咲いてからも寒くて受粉がうまくいかず、収穫量は15~20%くらい少なくなりました。でも、これはぶどうの粒も房も小さいということで、ワインの品質にはラッキーなことなんです。粒が小さくて水分が少ない分、果実の味わいは凝縮しますからね。量が少ないと私たちのもうけは少なくなるけど(笑)。

春が長くて寒かったのに対し、7~8月は好天に恵まれました。9月中旬から雨も降りましたが、ボジョレーの収穫開始公布日から2週間ほどの間、ほとんど雨が降りませんでした。ちょうど終わったころから降り始めてくれたので、本当に恵まれていましたね。

今年の収穫開始公布日は9月24日で、1983年以来、30年ぶりくらいの遅さです。しかし遅いからといってそれがそのまま品質に結び付くわけではない。83年もいい年だったし、ここ10年くらい暑い年が続いただけで20年前はいつもこれくらいの時期に収穫していたものです。」

でも、収穫が後ろにずれ込んでも解禁日は毎年11月の第2木曜日と決まっていますから、醸造以降は時間がなくて大変だったんじゃないですか?

「そう!寒くて発酵が進まないと間に合わないのでタンクを温めて酵母の働きを高めたり、醸造が終わってからは瓶詰めラインをフル回転にして。ヌーボーの瓶詰めをしているころ、ボジョレーでも熟成型のモルゴンなんかは発酵が終わってなかったです。瓶詰と発酵が同時進行なんで、もう1ヶ月も土日返上してずっと働いていますね」

でも頑張っていただいたおかげで、今年はヌーボーらしい爽やかな酸味と、この酸味に溶け込んた果実味のバランスが優れているのが特徴です。タンニンもキッチリとありながら非常にキメが細かくて、ワインに骨格を与えつつ渋みが全然口の中で引っ掛かりません。

ボジョレー・ヌーボーと合わせるお料理は、定番のサラミはもちろんのこと、同席した醸造家の方々は「日本人なら生ガキもいいんじゃない?」と言っていました。うーん。日本人としてはお醤油よりも挽きたてのブラックペッパーを振ったカキなら合うかな、と思いました(生カキとブラックペッパーの組み合わせ、一度試してみてください。ワインに合わせやすくなります)。

また、コンクールの前夜祭でリヨンの名物である内臓料理をボジョレーワインと一緒にたくさんいただいたのですが、酢で味付けしてある料理は日本のモツの酢味噌和えに近い味わいでした。和食のモツやぬたでもいけそう。

日曜の午前中いっぱいをかけ審査した結果はサイトに掲載されています。日本はボジョレー・ヌーボーの最大の輸入国。毎年多くの受賞ワインが日本の店頭に並びますから、どれかはきっとお近くで手に入ると思いますよ。

金賞
http://www.trophee-beaujolais.com/palmares-grande-or.php

銀賞
http://www.trophee-beaujolais.com/palmares-argent.php

銅賞
http://www.trophee-beaujolais.com/palmares-bronze.php

では à votre santé ! (皆さまの健康に乾杯!)