ほろ酔い倶楽部 - 15 - 話題のお店『Cristiano’s』へ。

(2011.02.01)

2011年最初のほろ酔い倶楽部は、昨年12月15日にオープンしたばかりの話題のお店、『Cristiano’s(クリスチアノ)』さんにお邪魔します! 目印は赤い扉とニワトリ。

安くて気合の入ったポルトガル料理店として情報通の間では「人に教えたくない店」のひとつとして噂になっているとくれば期待が高まります!

ところで皆さん、ポルトガル料理と聞いて何かピンときますか? カステラや天麩羅のふるさとだということは多くの方がご存知だと思いますが、具体的に何か料理といわれると私はさっぱり検討も付かず、よく考えてみたらポルトガルワインも飲んだことがありません。

一体どんなお料理がいただけるのでしょうか? 難しいことは後にして、早速いただくことにしましょう!

まずは乾杯ですね。

ポルトガルには「ヴィーニョ・ヴェルデ」(緑のワイン)という定番のぶどう酒があるそうで、アルコール度数も9~10%程度と低く、微発泡なのが特徴です。今回飲んだのは猫のラベルがかわいいGatao。フレッシュで爽快感のある味わい。そして何といってもリーズナブルなお値段。とってもおすすめです!

さて、ポルトガル式の小皿スタイル料理をPetiscos(ペティシュコシュ)というそうですが、あまり馴染みのない国の料理だから気軽に色々なものを少しずつ楽しめるようにと、『Cristiano’s』さんでも多くのメニューがPetiscosスタイルで提供されています。

それならせっかくなので私たちも色々な小皿料理をいただこうと、メニューの上から順番に注文することに。

最初は「自家製バカリャウのコロッケ」

ちなみにバカリャウとは魚を塩漬けして干したもので基本的には干し鱈をさします。

本場では一年中食べても尽きないように365種類以上のバカリャウ料理があるといわれていて、まさにポルトガル料理に欠かせない食材なんですね。『Cristiano’s』さんでは自家製バカリャウの熟成庫を持ち、様々なメニューに対応できるようにと数種類のバカリャウが作られています。

一口で食べられるサイズのコロッケの中に自家製バカリャウの旨味がぎゅっと詰まっていますよ。

続いて「築地宮川鶏のレバーハツ、砂肝のソテー ポルト酒漬け」

築地といえばお魚やお鮨のイメージが強いのですが、明治35年創業の宮川食鳥鶏卵さんは肉の旨味が濃いと評判の老舗の鶏肉屋さんです。築地という場所柄、歌舞伎役者のお使い物に使われることもあるとか。

さすがに新鮮でおいしい!
「自家製サーモンバカリャウのナタ(ホワイトソースのグラタン)」

このグラタン、コクがありとってもクリーミーなのにしつこくなくてさっぱり。絶品です! もちろん自家製サーモンバカリャウがいい仕事しています!

「ポルトガル式バーニャカウダ」

お皿の上の山盛りの野菜は千葉県で栽培されている有名な作り手の有機野菜なのだそうです。多くの有名店のシェフからラブコールがかかる野菜たち。手に入れるのが難しい珍しいものも含まれます。どれも甘くて味が濃くて新鮮。女性のみならず男性も満足の一品です。バーニャカウダソースにはパプリカが使われていて、他のお店でいただくものよりさっぱりしている印象。でも充分にコクがあります。

このバーニャカウダの有機野菜や自家製バカリャウ、宮川鶏からもおわかりいただけるように、Cristiano’sさんのお料理にはおいしさとこだわりがいっぱい詰まっているのです。

店主の佐藤幸二さんは渋谷松涛の『AROSSA』で七年間シェフをされていらっしゃいました。

新しいジャンルにチャレンジしたいと思われていたときに、以前住んだことのあるポルトガル料理に挑戦することを決められたそうです。本場の365種類以上あるバカリャウ料理を目標に、何年かかけても自家製バカリャウのオリジナルレシピを365種類以上開発したいと意気込んでいらっしゃいました。季節を感じる自由な発想の料理からポルトガルの定番料理まで、訪れるたびに新しい出会いがありそうです。

小さなお店だと伺っていましたが店内は思ったよりゆったりとしています。ゆくゆくはポルトガルの民族歌謡であるファドやブラジルのボサノバの生演奏も楽しめるようにしたいとか。楽しみ。ファド演奏者として有名だったアマリア・ロドリゲスのポスターもありますよ。

店内の様子はこんな感じ。

まだウィークデーなのにいつの間にか満席です。

今回いただいた他の料理たち。

「自家製バカリャウとひよこ豆のサラダ」

「豚バラ肉とジャガイモのイカスミ煮込み」

「アサリのアルガルヴェ風鍋蒸し」

「白身魚のポルトガル風天麩羅」

「タコと白いんげん豆のピリピリ煮込み」

「真ダコのフリット」

「アンコウ肝の香草オイル煮のオーブン焼き」

「鯵のポルトガル風リゾット」

ポルトガル料理は本当にスローフードの宝庫です。まさに家庭的で素朴という言葉がぴったり。

ワインはこちら。

少しご紹介します。
「キンタ・ド・コーレイヨ ダン レッド」
やや軽めの味わいながらしっかりとした果実味があり、ソフトな口当たりと心地よい余韻が残るバランスの良いワイン。伝統と革新の見事なバランスを誇るワイナリー。

「ルイス・パト バガ」
鮮やかなルビーレッド。タンニンは柔らかく、滑らかでさわやかな味わい。現代ポルトガルを代表するワイナリー。

「ニーポート ヴェルテンテ」
深く濃いルビー色。スパイシーな香り、樽熟成による燻された香り。伝統のスタイルを守り続けるクオリティー重視のポートワインメーカー。(資料:東京木下商事株式会社)

ポルトガルは今最も注目されるワイン産地なのだそうです。安くて美味しいワインの生産国ということだけではなく、世界の銘醸ワインに勝るとも劣らない素晴しいワインを生み出す産地として認められています。

ポルトガルワインを多く扱う東京木下商事株式会社さんより、今おすすめの2本がこちら。

「キンタ・ドス・ロケス スパークリング ロゼ」
チェリーやイチゴの香りが心地よい、ドライで切れ味の良いスパークリングワイン。先程ご紹介した「キンタ・ド・コーレイヨ」と同じワイナリー。

「バーベイト マルヴァジア シングルカスク」(マデイラ)

ナッツやキャラメル、蜂蜜のような香り、豊かな酸味。まさにマデイラワインの傑作。マデイラワインは紹興酒のような味わいで、中華にも合うワインです。

そうそう、マデイラワイン品揃え世界一として昨年末にギネスブックに認定されたお店が、大塚のカフェ&バー『レアンドロ』。何と173種類ものマデイラワインが揃っています!

最後に日本酒の「初孫スパークリング」もいただきました。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。皆さん、そろそろお開きですよ。

最初はポルトガル超初心者だった私が、一晩ですっかりとりこになってしまいました。

『Cristiano’s』さんで野菜たっぷりの家庭的で素朴なおいしいポルトガル料理をいただけば、きっとあなたもポルトガルの新鮮な魅力に惹かれるはずです!

 

 

Cristiano’s(クリスチアノ)

住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-51-10 プリティパインビル1F
Tel:03-5790-0909
ホームページ:http:/www.cristianos.jp/

筆者プロフィール

則竹 正子(のりたけ・まさこ)

ソプラノ。愛知県立芸術大学卒業。モーツァルト『フィガロの結婚』スザンナ、ロッシーニ『ブルスキーノ氏』ソフィーア、ペルゴレージ『奥様女中』セルピーナなどを得意としている。近年はオーケストラとの共演など、活躍の場を広げている。