クオリティワインを生む首都、ウィーンで、ワインカルチャーを体験。その3お部屋でもワイン三昧、ワイン専門ホテルって?

(2014.12.22)
オーストリアは、有機農地率20&%とヨーロッパ一の自然な農法で知られており、肉も野菜もとびきり美味。
オーストリアは、有機農地率20&%とヨーロッパ一の自然な農法で知られており、肉も野菜もとびきり美味。
 
ワイン専門ホテルへ。

さすが、ワインの街ウィーン。なんとワイン専門ホテルを見つけました。市庁舎(Rathaus)のほど近くにある、その名もラートハウス・ヴァイン・アンド・デザインは、39室それぞれが、オーストリアを代表するワイン生産者とのパートナーシップで運営されているホテルです。

ワインラベルを象った客室の扉を開けると、そこここに生産者たちの写真が飾られ、ミニバーすなわちワインセラーには彼らの自慢のワインが(有料ですが)ずらり。

生産者たちのラインナップは、とてつもなくゴージャスです。ウィーンからはフリッツ・ヴィーニンガー、ツァーヘル、その他のニーダーエスタライヒ州からはブリュンドルマイヤー、F.X.ピヒラー、ヒルツベルガー、ブルゲンラント州からはクラッハー、トリーバウマー、ハイディ・シュレック、シルヴィア・プリーラーなど日本でも有名な大御所ばかり。

ワインバーは24時間オープンで、月代わりの「ヴィントナー・オブ・ザ・マンス」の生産者のワインは、グラスでサービス。生産者が訪れてイベントが開かれることもしばしばです。

「もともとバックパッカー向けの宿だったんだけど、場所がよいこともあり、2004年、何か面白いことをしたいと今のオーナーが買い取った。彼らはザルツブルクでレストランを経営しているので、ワイン生産者たちとは信頼関係があることから、ワインに特化したホテルを思いついた。ワインはウィーンの財産だからね」と、マネージャーのコンラッド・シュレーペル。

いまでは、ウィーンのワイン産地を回る人たちに大人気。実は39の部屋のほか、屋根裏部屋があり、そこはオーナーおよびコンラッドがこよなく愛するドイツ・モーゼルの、エヴァ・フリッケ、ヴォン・ヴィニンク、アレクサンドル・ダウネスの3人の生産者たちに捧げられています。

そうそう、ここはレストランはない代わりに、朝食は大充実。すべてオーガニック、ローカルな食材ばかりで、ヨーグルト、フルーツ、ハム、ソーセージ、スモークト・サーモン、鰊の酢漬け、さまざまなペーストに、たっぷりお野菜。ウィーン名物のケーキもいろいろ。平日は11時まで、週末は12時までオープンで、宿泊客以外も大歓迎だそうです。

Hotel Rathaus Wein & Design
Lange gasse 13, 1080 Wien €160〜(2名利用) 朝食€18

ワインバーでは、セミナーなど生産者を交えたイベントが随時開催されている。 
ワインバーでは生産者を交えたイベントが随時開催されている。 
入り口にはパートナーである39人の生産者のポートレイトが。  
入り口にはパートナーである39人の生産者のポートレイトが。  
部屋に、パートナー生産者のワインがずらり。
部屋には、パートナー生産者のワインがずらり。

マネージャーのコンラッドはドイツ出身だが、ウィーンワインのサポーター。
マネージャーのコンラッドはドイツ出身だが、ウィーンワインのサポーター。
モダンだけどホスピタリティあふれる「ザ・ゲストハウス ウィーン」。

オペラ座ほど近くに2013年暮れにオープンした〈ザ・ゲストハウス ウィーン〉は、オーストリア人がよく言うところの「ゲミュートリヒ(くつろいで!)」をテーマにしたホテルです。

〈ラートハウス〉同様、学生向けの安ホテルだったのですが、ブティックホテルの先駆けである〈ホテル・トリエストTriest〉や、アーチストやジャーナリストが集うことで知られるカフェ〈ドレクスラーDrechsler〉のオーナーであるマンフレット・シュタールマイヤーが購入、建築はサー・テレンス・コンランに依頼しモダンなスタイルに仕上げました。

このホテル、箱はたしかにモダンなのですが、実にホスピタリティにあふれています。

「客室を自分の家のように使ってほしい、たとえば部屋にお友達をよんでゆったり食事ができるように、ホテルのレストランのお料理はすべてルームサービスで楽しめます」と広報担当のデニース・ブリントホファー。なんと、ワインセラーにあるワインも自由に飲めるのです(無料)。オーナーのマンフレッドが、赤ワインの名産地ブルゲンラント州出身で、帰省のたびに面白い生産者のワインを発掘してくるそう。
「ワインは飲み残したらぜひ持ち帰って、私たちのことを思い出しながら楽しんでね」とデニース。

ワインのお供には、ウィーン一おいしいと評判のベーカリー、グラガーGraggerのレシピを使って館内で焼きたてを提供するパンや、総料理長シュテファン・グラッスルが、おいしい乳製品で知られるフォアアールベアク州の信頼する生産者から仕入れる農家製チーズをぜひ。コーヒーも、ウィーンのサードウェーブともいうべき、ナバ・カフィーNaber Kaffeeのスペシャル・ローストがお部屋で淹れられます。

レストランは、ウィーンのカフェ、パリのブラッセリー、ニューヨークのダイナーのいいとこ取りを目指しているそう。

「シュテファンの料理は、私のおばあちゃんが作るような、コテコテの伝統料理ですが、素材はオーガニックでローカル。そして気軽に食べられる軽食も幅広く用意しています。とくに栄養バランスのよい朝食は24時間召し上がっていただけます。ヨーロッパの他の都市は、最高級ホテルはレストランも有名ですが、ウィーンは例外的に、ホテルのレストランの評価が低いんです(笑)。私たちがおいしいレストラン@ホテルの先駆けになれれば」。コチラすでにグルメな人たちの話題の的になっています。

The Guest House Wien
Führichgasse 10, 1010,Wien 1泊(2名利用)€230〜。朝食€8〜。 交Karlsplatzから徒歩3分。

アルベルティーナ美術館やオペラハウスのほど近く。窓辺のコーナーには、英語とドイツ語の本が用意されている。
アルベルティーナ美術館やオペラハウスのほど近く。窓辺のコーナーには、英語とドイツ語の本が用意されている。

ワインバーだけの利用客も多いそう。
ワインバーだけの利用客も多いそう。

広報担当のデニースは、ウィーン1区出身の生粋のウィーンっ子。
広報担当のデニースは、ウィーン1区出身の生粋のウィーンっ子。

協力:WienTourismus