文化発信センターGINZA KABUKIZA
グランドオープン。

(2013.05.01)

新開場した『歌舞伎座』、併設のオフィスビル『歌舞伎座タワー』を合わせて『GINZA KABUKIZA』。歌舞伎をはじめ日本の伝統文化を世界に伝えていく新たな文化発信センターです。4月24日にはギャラリー、写真館などもオープン、ついにその全貌 があらわに。

photos / Lica Kakizawa
世界へ向けての文化発信を目指す
『GINZA KABUKIZA』
1889年、明治22年に誕生して今年で125年目を迎える『歌舞伎座』。外観は洋風、内部は和風だった第一期からかぞえて今回のリニューアルで第五期歌舞伎座ということになりますが、この第五期歌舞伎座、登録有形文化財でもあった第四期の唐破風屋根を受け継いだきわめて和風ルックス、桃山様式の劇場部『歌舞伎座』と、その後ろにそびえる地上29階のオフィスビル『歌舞伎座タワー』を併設して『GINZA KABUKIZA』という名称に。世界へ向けての日本文化発信を目指しているのだ。

『歌舞伎座』は4月2日の新開場から連日観客が詰めかけ、東銀座界隈はちょっとした「歌舞伎フィーバー」。メトロ東銀座駅3番出口と『GINZA KABUKIZA』地下2階は直結、劇場エントランスまでエスカレーターで行けるというアクセスのよさがうれしい。地下2Fの広場『木挽町広場』には、歌舞伎座の座紋である鳳凰丸の大提灯が下がり、待ち合わせの目印にはぴったり。『TULLY’S COFFEE』や『歌舞伎茶屋』の飲食店、『かおみせ』『やぐら』といったおみやげ処、お弁当処もある。

気になる5月の『歌舞伎座』公演は、「歌舞伎座新開場杮葺落五月大歌舞伎」として第1部『鶴亀』、『寺子屋』、『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)』、第2部『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』『廓文章』、第3部『梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)』、『京鹿子娘二人道成寺(きょうかのこむすめににんどうじょうじ)』が5月3日(金祝)〜29日(水)まで上演される。『歌舞伎座』公演詳細はこちら


地下鉄東銀座駅3番出口に直結、アクセスが便利に。地下2Fの広場『木挽町広場』には食事処『歌舞伎茶屋』、お弁当処『やぐら』、お土産処『かおみせ』などが。

劇場部は1〜4F。1Fの大間の赤絨毯は、第四期歌舞伎座にあたってあつらえられた絵柄を再現したもの。写真 / 松竹株式会社

また、4月24日には『歌舞伎座タワー』5Fに『歌舞伎座ギャラリー』がオープン。衣裳や小道具を公開、トークショーなどのイベントで歌舞伎の世界を紹介するギャラリーのほか、歌舞伎の扮装で記念撮影できる写真館、歌舞伎に関する書籍やDVD、歌舞伎アイテムを販売するショップなど、劇場のみならず歌舞伎の世界に触れられるスポットが登場した。

歌舞伎の世界を体感
『歌舞伎座ギャラリー』

『歌舞伎座ギャラリー』は歌舞伎を中心に日本の伝統文化の魅力を世代や国境を超えて発信していこうと新設された世界初の歌舞伎の展示空間。季節に応じたテーマで、年3〜4回の企画展を予定しており、6月30日までは「歌舞伎の美 春」。春の情景が描かれる歌舞伎の演目から絢爛豪華な舞台衣裳、舞台大道具、小道具、桜の名場面の映像、道具帳などが公開。

ギャラリー奥手には80〜100名収容できる会場『木挽町ホール』があり、今後は歌舞伎俳優や演奏家など、舞台作りに関わる人物によるレクチャーや実演も行われるという。現在は『春爛漫「京鹿子娘道成寺」』と題して舞台で使われる衣裳『赤綸子雲霞垂枝桜繍振袖着付(あかりんずくもかすみしだれざくらぬいふりそできつけ)』など6点が展示されている。

道具帳を展示している点は興味深い。道具帳は歌舞伎の舞台を作るベースとなる画で、いわば舞台の設計図。代々歌舞伎大道具方の職を受け継ぐ長谷川勘兵衞(当代17代目)に伝わるもので、現在でも手描きで作られているという。ふだんはなかなか見ることのできないレアなものだ。現在は石川五右衛門の「絶景かな」のセリフで知られる『楼門五三桐』の道具帳が公開中(展示入れ替えアリ)


「歌舞伎の美 春」と題しての展示がはなやかな『歌舞伎座ギャラリー』。歌舞伎の大道具のひとつ「桜の吊り枝」が下がる。

ギャラリー併設の『木挽町ホール』、舞台は第四期歌舞伎座の舞台板を再利用したもの。

桜といえばやはり『助六由縁江戸桜』。揚巻の衣裳『黒繻子地門松に羽子板注連飾繍裲襠(くろじゅすじかどまつにはごいたしめかざりぬいうちかけ)』。

舞台で実際に使用される扇子づくしの一角『春風そよぐ』。舞扇、中啓、檜扇ほか。

今だに手描きする道具帳を展示している『道具帳コレクション』。道具帳とはいわば舞台の設計図。石川五右衛門の「絶景かな」で有名な『楼門五三桐』(さんもんごさんのきり)。

『京鹿子娘道成寺』より『黒綸子糸巻に垂枝桜繍振袖着付(くろりんずいとまきにしだれざくらぬいふりそできつけ)』。白拍子花子の鬘。写真 / 松竹株式会社
歌舞伎の小道具を
実際に手にしてみる。
ふだんは遠目からしか見ることのできない衣裳や小道具を至近距離で見ることができるのが、このギャラリーの魅力のひとつ。歌舞伎の舞台上で使用されている鳴物楽器の展示もある。歌舞伎では舞台下手の黒御簾の中で、演奏家たちが、黒御簾音楽と呼ばれる劇中に流れる音楽、効果音、を演奏しているが、それらの楽器、効果音を出すための鳴物の展示だ。その中のいくつかのものは手にして、実際に音を出してもよい。

現在展示されているもので触れてよいものは、雨の音を表現する「雨団扇(あめうちわ)」。漕ぎだす舟の音を再現する「櫓の音(ろのおと)」、カエルの鳴き声を表すのにこすり合わせて使う貝、「鈴(れい)」。歌舞伎ならではの楽器に触れられるチャンスだ。

『歌舞伎座ギャラリー』
電話番号:03-3545-6886(10:00~18:00)
開館時間:10:00~18:00(最終入館は17:30まで)
入場料 一般:500円(小学生未満無料)、団体:400円(20名様以上)
会期中無休
*『歌舞伎座』の当月のチケット(幕見は除く)で100円割引 
*歌舞伎座ギャラリー オープニング企画展「歌舞伎の美 春」は~6月30日(日)まで


黒御簾の中で使用されている楽器の展示。実際に手にして音を出してよい物もあり。

劇中で雨の音を表現するための楽器「雨団扇(あめうちわ)」。

「平釣太鼓(ひらづりたいこ)」。太鼓はそのほか「締太鼓(しめだいこ)」、「大皷」、「小鼓」など。

『木挽町ホール』ではレクチャーや実演も開催される予定。写真は内覧トークショーに登場の中村梅玉。
歌舞伎の衣裳で
記念撮影できる写真館。

『GINZA KABUKIZA』5Fにできた『スタジオアリス 歌舞伎写真館』。歌舞伎の衣裳、メイクで写真が撮れるいわば歌舞伎コスプレ写真館だ。子供の写真撮影スタジオとして知られる『スタジオアリス』の提案で今回のオープンに至ったという。

メイク、着物、鬘とな歌舞伎の衣裳を身につけ、歌舞伎の背景さながらのセットの中で記念撮影できるのが『歌舞伎なりきりプラン』。レギュラーメニューの「若侍」「町娘」「羽衣新造」(花魁見習い)の扮装のほか、4、5月の期間限定メニューとして『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子、『三人吉三巴白浪』のお嬢吉三がある。

メイク+撮影料+送料で18,550円が基本価格。これに購入する写真の代金が加わるが、価格は写真の大きさや額装や台紙などの仕様によって違ってくる。プリクラ風シールや絵葉書、データにすることもできる。迷ってしまった場合は『歌・舞・伎セット』の3つのセットどれかから選ぶのがよいだろう。「歌セット」は「歌セット」はメイク+撮影料+送料+四切2面台紙+フォトホルダー(5cm四方の写真が2枚入った携帯台紙)で通常価格38,830円のところが35,000円だ。支度にかかる時間は3〜4時間。

そのほか、着物で歌舞伎を鑑賞しようという『着物で歌舞伎観劇プラン』コースもあり。着物レンタル+着付け、ヘアセット+写真プリントで15,000円。電話にて予約してから行こう。

『スタジオアリス 歌舞伎写真館』
電話番号:0120-137-753
営業時間:10:00〜19:00


歌舞伎の独特な白塗りのメイク&衣裳を体験できる。写真は白拍子花子に変身中。

お化粧、着付けが終わったら、いざ撮影! 舞台さながら黒衣(くろこ)さんがお直ししてくれる。
休憩はパリで大人気の和カフェ
『寿月堂』で、屋上庭園を眺めながら。

同じく5F にオープンしたカフェ『寿月堂 銀座 歌舞伎座店』。『ミシュランガイド東京』の3つ星獲得寿司店御用達の老舗海苔問屋『丸山海苔店』がパリに出店した『寿月堂 パリ』に続き出店した日本茶に特化したカフェで、店舗デザインをパリ店と同じく隈研吾が手がけている。

寿月堂のお茶はその上質さと、繊細な味わいがパリでも高く評価され、セレクトショップ『コレット』のウォーターバーでもサーブされているほど。

一服するなら、屋上庭園を眺めながら抹茶+和菓子のセットをいただこう。抹茶セットは濃茶2,100円、薄茶1,400円。和菓子は塩瀬の季節の和菓子。おみやげには『歌舞伎座おもたせバッグ』1,550円がおすすめ。海苔、お茶、お菓子のセットで、フィナンシェ2種、海苔3種、日本茶1種入り。そのほか『寿月堂』×『八竹』のコラボお弁当 サーモン寿司950円、三色大阪寿司1,100円も。


『寿月堂 銀座 歌舞伎座店』

電話番号:03-6278-7626
営業時間:10:00〜19:00


『寿月堂 銀座 歌舞伎座店』では屋上庭園を眺めながら抹茶や軽食がいただける。

ほどよい広さの屋上庭園。銀座中央通り、新橋、築地方面がぐるりと見渡せる。

***

そのほか5Fには歌舞伎関連のアイテムが購入できるおみやげ処『楽座』がある。前月行われた興行で撮影されたブロマイドは1枚500円(4月公演は5/3〜販売)、市川猿翁、猿之助、中車など歌舞伎俳優のご祝儀手ぬぐい 1,000円、歌舞伎名場面54図トランプ 1,500円、歌舞伎名作選DVD 4,935円、歌舞伎関連書籍など。『GINZA KABUKIZA』地下2階、『歌舞伎座』1、3階にもおみやげ処はあるが、こちらは歌舞伎俳優関連の商品が多い構成となっている。歌舞伎の観劇のみならず『GINZA KABUKIZA』のすべてを満喫したい。


『GINZA KABUKIZA』