2014年 10大ニュース・テーマメディアが追いかけた
ヒトと事件の総まとめ

(2014.12.15)

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思えば、昨年は政権交代で幕を開けた1年であったが、今年も引き続き、安倍政権が台風の目であったことは間違いない。年末の忙しい最中にいきなり打ち上げられた「解散総選挙」は、今年の諸々のニュースを吹き飛ばす勢いで日本列島を縦断した。
 
とはいえ、じっくり振り返ってみれば、改めて思い起こされる騒動やニュースの数々。「週刊誌はこの1年、なにを報じてきたか」をひもとき、特集として取り上げられたテーマの頻度をランキング化した。来年はどんな1年になるのかと思いを巡らすその前に、今年1年をしばし振り返ってみよう。

2014年10大ニュース・テーマ・ランキング

朝日新聞『慰安婦記事』誤報で大騒動
大変な隣国?「反日」「嫌韓」報道、相変わらずの過熱ぶり
安倍内閣、年末いきなりの解散総選挙
小保方氏「STAP細胞」ねつ造疑惑
「舛添」「細川」「宇都宮」役者の揃った都知事選
愛子さま学習院女子中等科へ入学、変わらぬ注目集める皇太子一家
中国からの期限切れ食肉発覚でファストフード界に激震
佐世保高校1年生が同級生を惨殺
巨星堕つ!高倉健さん、菅原文太さんの相次ぐ訃報
佐村河内守ゴーストライター発覚、聴覚障害もウソ

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朝日新聞『従軍慰安婦』誤報で大騒動

今年8月、朝日新聞は「慰安婦問題を考える」との特集を2日にわたって掲載、過去に記事で取り上げた、慰安婦の強制連行に関わったと告白した日本人男性の証言に虚偽があったと判断し、82年から90年代にかけて16回掲載した男性の記事を取り消すと発表し、物議をかもした。同紙に連載コラムを持っていた池上彰氏が「なぜ報道から訂正まで32年もの長い年月がかかったのか、検証が必要ではないか。訂正するならば、お詫びも必要ではないか」との趣旨で原稿を書いたところ、朝日がこのコラムを不掲載にするという事態まで起こり朝日の対応は迷走を深めた。朝日に対する批判が殺到し、朝日は不掲載の判断を一転させて同コラムは掲載された。

こうした一連の騒動によって「従軍慰安婦は存在しなかった」あるいは「強制連行はなかった」と主張する人たちによる朝日バッシングが加熱した。週刊誌も「朝日新聞メルトダウン」(週刊文春)「『朝日新聞』偽りの十字架」(週刊新潮)「慰安婦の嘘『朝日新聞の重罪』」(週刊ポスト)と、ここぞとばかりに書き立てた。一方で、コラム不掲載で騒動に巻き込まれた形になった池上さんは、「慰安婦と呼ばれた女性たちがいたことは事実。これを今後も報道することは大切なこと」と冷静な議論を呼びかける姿勢を変えていない。

同時期、福島第一原発事故に関して「吉田所長(当時)の命令に違反して社員らが第二原発に撤退」と「吉田調書」のスクープを報じた朝日新聞の記事が問題視される。その後、「吉田調書」が全面公開されると同時に朝日新聞社は記事の取り消しと謝罪を発表。これら一連の騒動の責任を取る形で、12月に木村伊量(ただかず)社長が辞任を表明した。

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大変な隣国?「反日」「嫌韓」報道、相変わらずの過熱ぶり

朝日新聞の「慰安婦誤報」騒動は、当然ながらお隣韓国をも巻き込んだ。メディアは「『慰安婦報道』で韓国を増長させた朝日新聞の罪と罰」(週刊現代)「『嫌中憎韓』が売れるのは朝日新聞のおかげです」(週刊ポスト)とぶち上げた。日韓関係をこじらせた張本人が「『慰安婦報道』をねつ造」した朝日新聞だというわけだ。
実際のところ、安倍首相と朴槿恵大統領との日韓首脳会談は今年も実現せず、日韓関係は相変わらず冷え込んだままの一年だった。

さらに今年の朴槿恵政権は国内問題で大きな難題を抱え込むことになった。4月16日、修学旅行中の多くの学生を乗せた大型フェリーが珍島沖合で沈没し300名にのぼる死者・行方不明者を出したのだ。フェリーの過積載が常態となっていた事実が明るみに出て、韓国社会は国際世論から厳しい目を向けられてしまう。日本のメディアも「韓国沈没船300人を見殺しにした朴槿恵」(週刊文春)「政治も経済も大混乱 韓国・朴槿恵は『密会男』に操られていた!」(週刊現代)などと書き立てた。

と、相変わらず隣国との友好ムードを築けずに終わった一年ではあったが、そのアジア外交に大きく関わってくる決断を、7月1日に安倍政権は下している。集団的自衛権の行使を閣議決定で容認したのである。個別的自衛権を超えた一歩を日本が踏み出すということは、裏を返せば同盟国のために血を流すということである。そこで出てくるのが「自衛隊は反日・韓国のために本当に血を流せるのか」(週刊ポスト)といった疑問である。
 

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安倍内閣、年末いきなりの解散総選挙

11月に入って毎週各号が大特集を組み、一気に3位にランクインしたのが、年末の衆院解散総選挙ネタである。まさかとささやかれ始めてから、あれよあれよという間に現実味を帯びた「解散総選挙」を首相がはっきりと首相官邸で公言したのが11月18日。それに伴い、翌年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを1年半延期することを決めた。

週刊誌は当初「自民『50議席減』で一気に倒閣へ」(週刊現代)「安倍・自民『実は弱かった』惨敗データ」(週刊ポスト)と、各誌自民苦戦を予想。さらに「血税700億円投入でなぜ今?『大儀なき解散』全内幕」(週刊文春)「安倍『今ならまだ勝てる解散』で隠したかった『4つの大失敗』」(週刊ポスト)とこの時期に解散を言い出した安倍政権のご都合主義を厳しく追及している。

今回の選挙に伴い自民党が「公平中立」を求める文書を各社マスコミに送付したことが影響したのか、選挙関連の報道が例年になく減少、週刊誌は「安倍自民は北朝鮮、中国と同じか『メディア統制で一党独裁』選挙戦」(週刊ポスト)とその選挙戦略を批判した。選挙を終えてみれば、自民党は議席数を減らしたものの単独過半数の議席を維持。一方で批判票の受け皿となった共産党は議席を倍以上伸ばして21議席、民主党も11議席増やして62議席を獲得した。保守勢力を狙った次世代の党は大幅減のわずか2議席しか獲得できず、最高顧問の石原慎太郎氏はついに政界から退いた。

また、与党(自民・公明)は改選前の3分の2議席を維持したものの、普天間基地の移転問題が大きな争点の1つとなった沖縄の4選挙区全てで敗北し、安倍政権の今後の舵取りは「圧勝安倍晋三を待ち受ける『年金破綻』『インフレ』『沖縄』の三重苦」(週刊文春)と困難が予想されている。

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小保方氏「STAP細胞」ねつ造疑惑

「リケジョの星」と理化学研究所の研究ユニットリーダー小保方晴子氏を時の人に押し上げたのは、2014年1月末に発表された万能細胞「STAP細胞」の研究結果。<夢の細胞>と割烹着姿で実験を行う美しい<才女>の登場に、「〈一途なリケジョ〉小保方晴子さんの『初恋』と『研究』」(週刊文春)など、世論は浮き立った。ところが、翌月には、その論文に数多くのデータ改ざんやねつ造の疑いが浮上、さらには博士論文における無断転載疑惑なども持ち上がり、「リケジョの星」は一転、疑惑の渦の中に叩き込まれる。

「関係者たちが固唾を呑む『STAP細胞』捏造報道  小保方晴子さんにかけられた『疑惑』」(週刊現代)「『小保方博士』が着せられた『灰色割烹着』徹底検証!」(週刊新潮)と、疑惑が疑惑を呼ぶ騒動に発展、ついに小保方氏は4月に記者会見を開いて釈明の場を設け、涙ながらにこう繰り返した。「STAP細胞はあります!」しかし「涙の会見で巻き起こる“擁護論”に異議あり!」(週刊文春)とマスコミの追求はゆるまなかった。

その後、監視カメラが2台設置された実験室において理化学研究所が指名した人間の立ち会いのもと、小保方氏はSTAP現象の再現実験を2カ月にわたって行ったが、ついにSTAP現象を再現することはできなかったのである。理研は12月19日に実験の打ち切りを発表した。

この騒動の最中に、STAP論文の指導を行い共著者でもあった理研「発生・再生科学総合研究センター」副センター長・笹井芳樹氏が自殺する。「小保方晴子さんと理研上司の『失楽園』」(週刊文春)「『小保方博士』と直属上司の異様な『タクシー空間』」(週刊新潮)など、実験内容とはおよそ無関係なスキャンダルの暴露競争が過熱していた最中のキーマンの自殺に関係者は衝撃を受けた。

12月15日に小保方氏は理研に退職願を提出、21日付で小保方氏は正式に退職した。それに先立ち10月には早稲田大学が2011年に付与していた博士号の学位取り消しを発表している(ただし1年の猶予付き)。万能細胞の作製という世紀の大発見に沸いた1月から11カ月後に「リケジョの星」は完全に失墜、あっけない幕切れとなってしまったのである。

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「舛添」「細川」「宇都宮」役者の揃った都知事選

2013年末、猪瀬直樹東京都知事が、徳洲会グループから5000万円の資金提供を受けていた問題で辞任し、2014年は都知事選の選挙戦スタートで幕を開けたといっても過言ではない。各誌も年明けから「小泉がまた動いた! 都知事選には『あの人』を担ぐ」(週刊ポスト)「都知事選全内幕 舛添都知事なら東京は変わる。細川・小泉なら日本が変わる」(週刊現代)と都知事選情報全開。

与党が推し石原路線を継承する舛添要一候補に対し、原発の即ゼロをシングルイシューとして掲げた細川護熙候補を小泉純一郎元首相が応援するという「元首相連合」、そして共産党が推薦し反原発を訴える元日弁連会長の宇都宮健二候補が激しく競り合った都知事選。細川氏と宇都宮氏の両候補に脱原発票が割れてしまうという危機感から、ギリギリまで一本化を模索する動きもあったが、結局一本化はならず、三者がガチンコでぶつかり合った。

投票直前には「舛添要一投票直前スキャンダル!『政党助成金で借金2億5000万円返済』元側近議員が告発」(週刊文春)といったスクープも出たが、前日の記録的大雪が残る中での投票となり、史上3番目に低い46.14%という投票率ながら、舛添候補が211万票以上を獲得し、他の2候補に大差をつけて圧勝した。

ちなみに、2位が宇都宮候補の98万2594票、3位が細川候補の95万6063票と、細川氏は宇都宮氏にも惜敗。この2人の得票数を併せても舛添候補の得票数にはわずかに及ばなかった。

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愛子さま学習院女子中等科へ入学、変わらぬ注目集める皇太子一家

皇太子徳仁親王と雅子妃の長女・愛子さまはすくすく成長し、今年4月に学習院女子中等科に入学した。入学式当日、マスコミ陣からの問いかけに「楽しみにしています」と答えた様子などが報じられて話題になったが、その後は、愛子さまのスキーの腕前が「2級」レベルであることや、学校生活に馴染み切れていない様子など、各誌それぞれの角度で愛子さまの新しい学校生活の様子やプライベートの過ごし方などを取り上げた。

一方、長期療養中と報じられる雅子妃だが、10月29日にオランダ国王夫婦の歓迎行事として、11年ぶりとなる宮中晩餐会に出席し話題となった。今年も皇太子一家への注目度の高さが揺るがなかった一年だったといえよう。

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中国からの期限切れ食肉発覚でファストフード界に激震

今年7月、アメリカの食品会社OSIグループの中国法人である食肉卸会社「上海福喜食品」が、消費期限切れの肉を加工して出荷していることが上海のテレビ局のスクープにより発覚。日本マクドナルド社は国内のチキンナゲットの2割を同社から仕入れて関東や甲信越、静岡の店舗で販売していた。また、コンビニチェーンのファミリーマートも同社製造の「ガーリックナゲット」と「ポップコーンチキン」の2商品を販売していた。マクドナルド社はナゲットのサプライヤーを他社に切り替え、ファミリーマートは該当商品の販売を中止にするという騒ぎに。

食の安全への信頼が失墜する中、「中国チキンの恐怖〈上海マクドナルド〉食肉工場従業員の告白」(週刊文春)では、腐った手羽に消毒スプレーをする現場の報告のみならず、抗生物質漬けになっている養鶏の現場、発がん性物質の混じった飼料など、中国産鶏肉の危険性にクローズアップ。週刊新潮は「緑色の鶏肉も氷山の一角 中国から来る『汚染・腐敗』食材から身を守れ!」(週刊新潮)「中国毒食品工場元従業員が告白『床に落ちた肉は使う』」(週刊ポスト)など中国食品の衛生状態への関心が一気に高まった。

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佐世保高校1年生が同級生を惨殺

今年7月、長崎県佐世保市で、女子高校生が同級生の友人を自宅マンションで絞殺し、遺体を切断するという衝撃的な事件が起きた。2人の間に特にトラブルはなく、被疑者は「誰でもよかった」「解体してみたかった」などと供述していること、被疑者の母親が前年に病死し、事件2カ月前に父親が再婚していること、被疑者は家を出てマンションで一人暮らしをしていることなど、被疑者の特異性や複雑な家庭環境が浮かび上がってくると同時に、父親は早稲田大学卒業の弁護士、母親は東大卒で教育委員会にも関わっていたというエリート一家であること、被疑者本人も文武両道の優秀な生徒であったということなど、彼女の家庭環境の良さが事件の猟奇さを余計に際立たせることになった。

しかし事件の陰惨さはさることならが、社会が困惑したのは、殺害の動機が見えないという点にあった。実母の死なのか、父親の再婚なのか。しかし実母が元気だった小・中学校時代からすでに、少女は同級生の給食に洗剤などを混入させたり猫を解剖するといった問題行動が確認されている。

各誌は「すべて私のせいなのか……加害者の父『悔恨と慟哭の日々』」(週刊現代)「親はなぜ一人暮らしを許したのか――佐世保高1女子『頭部・左手首切断』同級生16歳の惨殺動機」(週刊文春)「再び日本に現れた『快楽殺人』闇の因子」(週刊新潮)と、彼女の家族関係や学校生活などを徹底的に洗い出して、彼女の心の闇に迫ろうとした。その後も「異様な父娘関係が悲劇を招いたのか」(週刊文春)「『絶対殺人衝動』を知りながら『少女A』を街に放った父」(週刊新潮)など、家族の責任を追求する論調が続き、10月5日、被疑者の父親の自殺という最悪の結末に至った。

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巨星堕つ! 高倉健さん、菅原文太さんの相次ぐ訃報

11月18日、日本中に衝撃が走った。銀幕の大スター、高倉健さんが悪性リンパ腫のため都内の病院で10日午前3時49分に死去していたことが、事務所からマスコミ各社に宛てたFAXで明らかになったのだ。享年83。故人の遺志により近親者だけで密葬を行ったという。関係者から情報が漏れることなく守られた高倉さんの死。その死を悼む特集を「追悼 さようなら、健さん 日本人に愛された『昭和の男』が、また逝った」(週刊現代)「高倉健 あの名作を生んだ『五月の雨に一緒に濡れる』約束」(週刊ポスト)と各誌が組んだ翌週、もう一つの巨星の訃報が日本全国を駆け巡った。菅原文太さん、享年81。健さんの逝去の報からわずか10日後の28日に、肝がんによる肝不全のため都内の病院で亡くなっていたことを東映が発表したのである。

「『一番星』が流れて再び巨星墜つ!『高倉健』の後を追うように『菅原文太』の棺を蓋いて」(週刊新潮)「菅原文太と高倉健『共鳴して逝った最後の銀幕スターたち』」(週刊ポスト)と、解散総選挙で大騒ぎの師走にありながら、二大スターの相次ぐ訃報は多くのファンの涙を誘った。

文太さんは亡くなる直前の11月1日、沖縄県知事選で翁長雄志候補の応援に駆けつけ、普天間基地の辺野古移転を認めた仲井真知事(当時)を批判し、政治の役割とは国民を飢えさせないことと絶対に戦争をさせないことだと声を振り絞り訴えていた。(「11月1日沖縄県知事選応援後に入院 最後は吐血」(週刊文春))

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佐村河内守ゴーストライター発覚、聴覚障害もウソ

「STAP細胞」騒動ですっかり影が薄くなってしまったが、今年最初の「詐称」といえば、作曲家・佐村河内守氏のゴーストライター騒動だろう。2月6日発売の週刊文春で「【驚愕スクープ】高橋大輔『ソチ五輪』使用曲も〈NHKスペシャルが大絶賛『現代のベートーベン』〉全聾の作曲家佐村河内守はペテン師だった!」とすっぱ抜かれたのだ。全てを告白したのは、18年間佐村河内氏のゴーストライターを務めていたという作曲家の新垣隆氏。新垣氏はさらに「佐村河内氏の全聾も嘘である」と暴露、大騒動に発展した。実際に聴力を再検査したところ、全聾ではなく中程度の感音性難聴との診断が下る。

すっぱ抜いた文春が「佐村河内守〈偽ベートーベン〉の正体」「『謝罪文』のウソを暴く! 佐村河内守 障がい者と被災地への冒涜」と第二弾、第三弾……と独走スクープを連発して追及の手を強めていくのに対し、「ゴーストは芸術の影法師! 袋叩きの『佐村河内守』はそんなに悪いか!」(週刊新潮)と、他誌は若干スタンスを異にしていた。が、この佐村河内騒動はまもなく、STAP細胞騒動の大波に押しやられてしまうのであった。

< ランク外の注目記事>
拉致問題で局長級協議再開に、女性閣僚2名の相次ぐ辞任も

まずは昨年、ポストと現代が競うかのごとく毎号繰り広げていた「80歳まで現役」「死ぬまで現役」といった「熟年SEX」特集は、今年はややおとなしくなった印象があるものの「オンナのカラダの愛し方」(週刊ポスト)「『脳がもだえる』セックス」と堅調に続いている。

また、今年5月に拉致問題の再調査で日朝が合意するという電撃的な発表があり、日朝局長級協議の進展に注目が集まった年でもある。再調査が始まることへの期待は高まった(「北朝鮮『拉致』再調査で帰る4人の実名」(週刊新潮)「北朝鮮よ、今度こそ帰せ! もう一度、この手であなたを抱きしめたい」(週刊現代))。

しかし、日朝局長級協議が重ねられ、10月には訪朝団が平壌入りし北朝鮮側の調査団と協議を進めているものの、具体的な調査結果の報告が得られないまま、拉致被害者の家族の苛立ちが募っている。

芸能・文化面ではディズニー映画『アナと雪の女王』が公開から128日の早さで興行収入250億円突破の大ヒット(「『アナ雪』空前の大ヒット」(週刊現代))となり、主題歌『Let it go』も大ブレイク。それにちなんだ「レリゴーな人々…」(週刊文春)なる特集では「長澤まさみのありのままの露出」「朴槿恵政権が日本に懇願『沈没船の設計図ください』」など、今時の「ありのままの人々」が取り上げられた。

また、9月3日に発足した第2次安倍改造内閣は、過去最多に並ぶ5人の女性閣僚が目玉であったが、発足後間もなく、公職選挙法違反のうちわを配布し松島みどり衆議院議員は法務大臣を辞任、政治資金収支報告書への未記載があるとして政治資金規正法違反を指摘され小渕優子衆議院議員も経産大臣を辞任(「松島みどり」法相の団扇どころの話じゃない!「小渕優子」経産相のデタラメすぎる「政治資金」(週刊新潮))。前代未聞の辞任劇が繰り広げられた(「女大臣醜聞 [松島][山谷][小渕][高市][有村] で官邸崩壊!『女性活躍内閣』の醜き正体」(週刊ポスト))。

さらに、9月27日、秋の週末を楽しむ登山客で賑わっていた御嶽山が突然激しく噴火、戦後最悪の57名の死者を出す大惨事となり(「噴煙の中の死神は『硫化水素』『噴石』『火砕流』御嶽山噴火 生と死の分岐点」(週刊新潮))、自然界の脅威を改めて私たちに思い知らせることになった。

日本人3名がノーベル物理学賞を受賞するという華やぎの裏側で、理研のホープがねつ造を疑われて失墜。美しい山も突然死神に豹変する。諸行無常を思い知った一年でもあった。格差社会に超高齢社会、状況は決して楽観視できないが、来年を今年よりも少しでも良い年とするためにできることは、今年1年の間に起きたことを一つ一つ思い返し、忘れずに次への教訓として生かすことではないだろうか。