秋の東京、デザインイベント
テーマを押さえて見どころチェック。

(2012.10.19)

秋の東京、おでかけには事欠かない。10月末から11月にかけてデザインイベントが各所で開催されてどこから見たらよいのか困るほど。六本木 東京ミッドタウンで開催される『DESIGNTIDE TOKYO 2012 』『Tokyo Midtown DESIGH TOUCH 2012』、神宮外苑前で開催され今年で21回目を迎える大イベント『TOKYO DESIGNERS WEEK 2012』。そのほか伊勢丹新宿店『VOICE OF MATERIAL』、ザ・コンランショップ 新宿本店のコンラン卿セレクトのプロダクト展示&販売「GET REAL.」展などなど。各デザインイベントのテーマ、見どころを押さえて、新しいクリエーションの息吹に触れみよう。

DESIGNTIDE TOKYO 2012
東京ミッドタウン・ホール 東京都港区赤坂9-7-1
2012年10月31日(水)~11月4日(日)
11:00~20:00(最終入場時間19:30)
1日 1,500円(学生1,000円)、会期中3日 3,000円(学生2,000円)

東京ミッドタウンB1の東京ミッドタウン・ホールで開催される デザインタイド。8年目の今年は3万人の来場が見込まれる人気イベントだ。そのはじまりはどのようなものであったのか『デザインタイド トーキョー』のディレクター 竹形尚子さんにきいてみた。

「1999年〜2004年まで青山を中心に、インテリアショップの『イデー』が中心となり開催していた『トウキョウデザイナーズ ブロック』が前身です。2005年に、それを引き継ぐ形で『デザインタイド トーキョー』がスタートしました。人とデザインとを結びつけることによって生み出されるデザインの新たな潮流 (Tide)を、この地、東京から作り出していこうという目的からデザインタイドというネーミングに。2008年からは現在の「思考をトレードする場」というコンセプトで開催しています。」


インターデザイン アーティストの識咲誠と多摩美術大学プロダクトデザイン研究室が手がけるメイン会場イメージ。

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今年の『デザインタイド トーキョー』、メインコンテンツで最新のデザインの発表の場「タイドエキシビジョン」に、大沼敦、Praxis、デザインソイル、rabbithole、Food Workなど31組が出展、デザイナー本人から実際にプロダクトを購入できる「タイドマーケット」に、k2m design、MIC*ITAYA,POS+(ポスト)など13組が登場する。

また『デザインタイド トーキョー』が独自にリクエストをかけた招待作家による作品発表「タイドフォーカス」には、ドリルデザイン、鳴川肇 / AuthaGraph. CO.Ltd.、ドミニク・ウィルコクスが。今年ならではのデザイン潮流を見せてくれる。

特別展示では、コカ・コーラからデザインオフィスnendoの佐藤オオキが手がけるオリジナルテーブルウェアが発表される。

メイン会場のデザインも『デザインタイド トーキョー』の楽しみのひとつ。毎年異なる建築家やプロダクトデザイナーが手がけている。今年はインターデザイン アーティストの識咲誠と多摩美術大学プロダクトデザイン研究室による構成。梱包資材のプチプチを使用して「ゆるくまとめる」デザインというコンセプトで制作する。期待したい。

この六本木メイン会場の他『伊勢丹新宿店』、『TOYO KITOCHEN&LIVING』、『日本橋三越本店』など27カ所のエクステンション会場も展開する。


最新のデザインの発表の場「タイドエキシビジョン」には31組が。写真は大村敦によるスクーター「スマカルゴ」


「タイドフォーカス」には家具、文具、紙のプロダクトで常に挑戦を続けるドリルデザインが登場。


ボトルとしての役割を終えたコンツアーボトル再利用して作られるオリジナルテーブルウェアシリーズ「Coca-Cola Bottleware」。nendoの佐藤オオキが手がける。

 

Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2012
東京ミッドタウン各所 東京都港区赤坂9-7-1他
2012年10月26日(金)~11月4日(日)、
11:00~21:00(コンテンツにより異なる)

『デザインタイド トーキョー』の会場でもある東京ミッドタウンが、デザインを五感で楽しむことを目的に開催するデザインイベントが『デザインタッチ』。大人だけでなく家族で楽しめるのが特徴だ。そのはじまりはいったいどのようなものであったのか、東京ミッドタウンマネジメント株式会社タウンマネジメント部 プロモーティンググループマネージャー 増田亜沙美さんにきいてみた。

「東京ミッドタウンは開発時に、今後デザインが日本の国際競争力の源泉になるという考えのもと、この土地の持つ地域性を生かして「デザイン」「アート」を街の開発コンセプトにすることにしました。その結果『21_21 DESIGN SIGHT』や、デザインネットワークの拠点となるスペース『デザインハブ』の誘致などを行い、年に1度デザインにまつわるイベントも実施していこうということに。

オープンの2007年当時から『東京デザイナーズウイーク』などデザインイベントの日程は10月下旬に集中している。相乗効果を狙って、その時期にあわせて、デザインイベントを実施することになりました。

また、特にモデルにしているイベントはというわけではありませんが、『ミラノサローネ』のように街全体にデザインが集結され、そのプレゼンスを発信するイベントに発展していくことを期しています。」

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スタートから 5周年の今年のテーマは「デザインとあそぶ」。メインコンテンツはミッドタウン・ガーデン 芝生広場の「デザインタッチ・パーク」。2010年の『ミラノサローネ』、東芝インスタレーションで一躍注目を集めた建築家、谷尻誠による巨大な山型ジャングルジムを広大な芝生の上に設置する。昼は遊び場として、夜はアートオブジェとして機能する新しいジャングルジムだ。

同じく芝生広場では週末はクリエイターが直接レクチャーするクリエイティブワークショップ、トップデザイナーやクリエイターの生の声を聞くことができるトークイベントなどを開催する。ミッドタウン・ガーデン 芝生広場奥の『21_21 DESIGN SIGHT』では『田中一光とデザインの前後左右』が開催中。こちらは見応えたっぷり。


「デザインタッチ・パーク」には建築家、谷尻誠による巨大ジャングルジムが。色んな場所から声が聞こえるしかけになっている。(写真はイメージです)


ワークショップはニットクリエイター力石 咲が教えるスマートフォンケースの作り方(参加費500円)など。(写真はイメージです)

 

TOKYO DESIGNERS WEEK 2012
明治神宮外苑絵画館前 東京都渋谷区霞ヶ丘町2-3
2012年10月30日(火)~11月5日(日)
11:00~20:00、前売り券 2000円、当日券2500円

『東京デザイナーズウィーク』は、ニューヨークのデザイン展示会『NYデザイナーズサタデー』をお手本に、デザインの運動体であるNPOデザインアソシエーションがスタートさせ、今年で21年目を迎えるもっとも歴史のあるデザインイベントだ。当初はインテリアデザインの展示が多かったが、近年はジャンルを特化しないで広い意味でのデザインの発表の場になっている。また、スタート時はデザイナーの出展が中心であったが、現在は、デザイナーだけではなくデザインを学ぶ学生からデザインに関わる企業、ブランド、大使館まで幅広い層が出展する大イベントに成長した。今年は学生も含めて全体で900の出展があり、10万人の入場者を見込む。


東京の秋の一週間をデザインで埋め尽くそう、ということで「東京デザイナーズウィーク」のネーミングとなった。

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『東京デザイナーズウィーク』のスローガンは「HELLO! DESIGN!」。大人から子供までの幅広い層に、デザインに親しんで刺激を受けてもらえるイベントを目指す。近年は若い世代が入場しやすいような割引制度を設けている。子供を連れて来ると割引になる「親割」のほか今年からスタートの「ネイル割」がユニークだ。「LOVE」をテーマにネイルアートをして来場すると、入場料が半額の1250円になる(当日のみ)。

デザインアソシエーション理事長でデザイナーズウィークNPO創立者の川崎健二さんいわく「デザインコンシャスな若者が増えたとはいえ、デザインの世界はファッションやフードなどに比べるとまだまだ身近ではない。ちょっと距離がある。ネイルアートは、もっとも身近なデザインアートといえます。ぜひ”LOVE”のネイルアートで来場して、デザイン、アートの世界にもっと親しんでほしいです。」

会場は12 のエリアに分かれており、メインコンテンツは企業、デザイナー、団体、大使館がそれぞれのクリエイティビティを発信する「TENT展」。TENT内では、他にもトップクリエイター70名が江戸時代の超絶技巧の絵師 伊藤若冲にインスパイアされた作品を発表する特別展示『伊藤若冲感性インスパイア作品展』も。藤本壮介、フジイフランソワ、服部一成の作品が並ぶ。

また同じくTENT内で国内を代表する50名の建築家の軌跡を集めた大規模な建築模型展も開催される。青木淳、伊東豊雄、鈴野浩一+禿真哉などの模型が。


「HELLO! DESIGN!」のスローガンのもと開催される『東京デザイナーズウィーク』。


今年はネイル割に挑戦してみよう!

 

ISETAN DESIGN WEEK
「VOICE OF MATERIAL」

伊勢丹新宿店本館1F、5F 東京都新宿区新宿3-14-1
2012年10月24日(水)〜11月6日(火)
10:00〜20:00

デザインタイドのエクステンション会場でもある伊勢丹新宿店。毎年充実のデザインエキシビジョンを見せている。今年のテーマは「VOICE OF MATERIAL」。上質な素材に注目した展示内容だ。

ひとつはクリスタルのラグジュアリーブランド『バカラ』の製品の軌跡とこれからを、そのはじまり、現在、未来のテーマで紹介する。まずは10 月 17 日(水)〜 11 月6日(火)に本館1階ショーウィンドウでこれまでのバカラの歴史「Baccarat, Legend of Creation 〜バカラ、そのクリエーションの軌跡〜」。11名の一流デザイナーが手がけた作品を各デザイナー一面づつ展示する。

10 月 24 日(水)〜 11 月6日(火)は本館5F = 特設会場にて現在のバカラを紹介する「アルクールに夢中」。nendo 佐藤オオキがバカラのマスターピース「アルクール」をリデザインした作品を紹介&販売する。

10 月 31 日(水)〜 11 月6日(火)はバカラの未来「ミライヘノヒカリ〜”PART”その一粒を手に入れて幸せになる〜」。本館 1 階 = ザ・ステージにてバカラを象徴するシャンデリアのパーツを使い、様々なジャンルで活躍するアーティストによる伊勢丹限定の作品を販売する。THEATRE PRODUCTSのネックレス、minä perhonenのブローチ などなどが登場予定だ。


「Baccarat, Legend of Creation バカラ、そのクリエーションの軌跡〜」より。エットレ・ソットサス作。

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また本館1F = ザ・ステージではバカラ展に先駆けて、10 月 24 日(水)〜 10 月 30 日(火)まで「Lisa LARSON – SWEDISH CERAMIC ARTIST -」が開催される。スウェーデンの陶芸家リサ・ラーソンの世界を一挙に紹介する企画展だ。ヴィンテージ作品や現在は生産されていない陶板シリーズの復刻をはじめ、リサ・ラーソンと交流の深い『minä perhonen』 のデザイナー皆川明とのコラボレーションによる特別限定品の販売もあり。また本館5階 = 家具コーナーでは、北欧モダンを代表するフィンランドの 家具ブランド『artek』のクローズアップも。(10月24日(水)〜11月6日(火)まで)


「Lisa LARSON – SWEDISH CERAMIC ARTIST -」より。Collaboration with:minä perhonen、パピエラポ、dieci、横山いくこ

 

GET REAL.
2012年9月21日(金)-11月17日(土)
ザ・コンランショップ 新宿本店 
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー3・4F
そのほか丸の内店、名古屋店、大阪店、福岡店

同じく新宿のザ・コンランショップで開催中の展示も見ておきたい。「本物のプロダクトだけが持つ価値の提案」=GET REAL.と題してテレンス・コンランにより厳選された20世紀を代表する優れたプロダクトを、ヴィンテージ品と併せて展示販売している。本物の魅力、評価されるプロダクトのデザイン、ヴィンテージならでは味わいを感じたい。イームズのラウンジ チェアや、ジャン・プルーヴェのスタンダード チェアなど、 1950~80年代の名作のヴィンテージ品が豊富に揃う。


イームズ ラウンジ チェア、ハーマンミラー社製、製造年:1960年代、¥1,050,000(税込)

 

場と間(BA to MA)
ラフォーレミュージアム原宿 (東京都渋谷区神宮前1-11-6ラフォーレ原宿6階)
2012年10月24 日(水) ~ 10 月28日(日) *一般来場は26〜28日(金〜日)、500円

今年で3回目を迎える『場と間(BA to MA)』は、アパレルブランドのアッシュ・ペー・フランスの「場と間事業部」がラフォーレミュージアム原宿にて開催するデザインとアートの合同展示会だ。場と間『場と間』とは企業の持つ空間「場」に、デザイナーたちが「空間」を作る、ということからのネーミング。昨年は32のブランドブースが出展したが今年は50ブース、5000人の来場を見込んでいる。アッシュ・ペー・フランスは、ファション、デザイン、インテリアの展示会『rooms』を主催、その盛況ぶりで知られるがこの『場と間』は、インテリアに特化した展示会。roomsはファッションの業界関係者のみ入場可能だが『場と間』)は一般客も入場できる「買える展示会」だ。

場と間事業部の馬場雅人さんはもともと『rooms』のプロダクトエリアを発案した人物だ。「ファッション・デザインの展示会roomsのプロダクトエリアは、ファッションのテイストに合った雑貨、インテリアで構成していました。ファッションの展示会だと、会場で発注するので購入者のお手元に製品が届くのに時間がかかってしまいますが、インテリアだとすぐに届くところがよいところです。」

今年のテーマは「マーケット」。会場はエスニック、ファニチャーなど全4つのエリア別れているが、それぞれに架空の市場が出現します。

10月24日(水)〜11月4日(日)まで、ラフォーレ原宿エントランススペースでは「マーケット」をテーマにしたツェツェ・アソシエ、ナタリー・レテの展示が行われている。


昨年の『場と間』より。今年は4つのエリアで展開。そのうちのエスニックエリアをアンティーク什器の販売で知られる『イニシャル』が編集する。

 

MARISKISKA IN TOKYO
ギャラリーROCKET 東京都渋谷区神宮前6-9-6
12:00 〜 20:00
2012年10月30日(火)~11月4日(日) 

青山エリア、デザインタイドのエクステンション会場の中から。『ギャラリーROCKET』ではヘルシンキ、ストックホルム、ロンドンに実在する『MARIKISKA』の東京ショップが出現。サミ・ルオツァライネンにスポットを当て、代表作のテーブルウェアシリーズ「IN GOOD COMPANY」とステーショナリー「WITH THOUGHT」の展示をする。会場構成は長坂 常/スキーマ建築計画。

 

HANGERS ADDICT – ハンガーズ アディクト
CIBONE Aoyama 東京都港区北青山2-14-6 青山ベルコモンズB1
2012年10月30日(火)~11月5日(月)

同じく青山エリア、『CIBONE』では、ハンガーの誕生から現在まで150年の歴史に着目したイベント「HANGERS ADDICT – ハンガーズ アディクト」が開催。日本のShigeki Fujishiro、タラスキン ボンカース、スウェーデンのTAF – タフ、フランスのシグーの4組のデザイナーが、現在(これから)のハンガーを提案する。