Book of the Year 2014
今年最高の本!

(2015.02.16)

今年も残すところあとわずか。雑誌『ダカーポ』の頃からの人気企画「今年最高の本!」を今年もお送りします。新聞・雑誌の書評担当者の投票で決める当企画、ベストセラーランキングとは一味違った「とっておきの一冊」があなたを待っています!

日本が抱える最大級の問題に、真正面から挑む!

A めっきり寒くなり、年の瀬も迫ってきました。今年もWEB版「今年最高の本!」をお送りしたいと思います。

B、C パチパチパチパチ!

B 今年でWEB版も4回目。どんな本が登場するのでしょう。新聞・雑誌で書評を担当されている方々に、13年12月から14年11月に刊行された本の中からそれぞれ5冊ずつ、好評価の本をアンケート形式で挙げていただきました。

A、B、C ご協力いただいた皆様、今年もありがとうございました!

C 今年のランキングは、ジャンルもテイストも異なる様々な本に票が割れたみたいですね。例年以上に熾烈なランキングになっているみたい。

A どの本も飛び抜けた票数を得たわけではなく、これから発表するランキングもわずかな差しかありませんでした。ジャンルという点で言うと、小説作品で票が割れている一方、昨年同様、いやそれ以上に、ノンフィクションの良書にも高い評価が集まっているみたいです。

C 登場するどの本にも、それぞれキラリと光る点があるということですね。紹介する方も力が入っちゃうね。

***

B それでは発表します。2014年「今年最高の本!」第1位は……『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」です!

A、C おめでとうございます!

B その名もズバリなノンフィクション作で、表紙も至ってシンプルですが、読書好きのネットレビュアーの間でも絶賛する声が多数上がっています。現代を生きる日本人が抱えているこの素朴な疑問に、真正面から立ち向かい、戦後日本の秘密を深く、丹念に明らかにしていきます。

A 本書の冒頭では「だれもがおかしいと思いながら、大きな流れをどうしても止められない。解決へ向かう道にどう踏み出していいかわからない。そんな状況がいまもつづいています。本書はそうしたさまざまな謎を解くカギを、敗戦直後までさかのぼる日本の戦後史のなかに求めようとする試みです」と書かれています。歴史を振り返り、現在の解決困難な大問題の道筋を探り当てようという試みですね。そして、基地問題と原発問題、一見まったく異なる問題の根幹には「日本国憲法」そして「日米安全保障条約」という共通のカギが隠されていることを明らかにしていきます。

C COURRieR Japonの井上威朗さんもイチオシの一冊です。〈タイトルは「なぜ国が敗訴する裁判は必ず最高裁でひっくり返るのか?」とも置き換えられます。裁判所が憲法にかかわる判断を放棄する「統治行為論」に典型的に表れる国家的な欺瞞。なぜ私たちは憲法を骨抜きにしてしまったのか、日本の戦後史を追うことで解明する過程で、ショッキングな事実が次々と明らかになります。ただ護憲を叫ぶのも対米従属を疑わないのも、同様に罪の深い思考停止であることを痛感。必読です〉とのことです。

A この本は「戦後再発見」双書」シリーズを立ち上げた矢部宏治さんという方が、地道な取材活動を重ねてまとめた一冊です。同シリーズの第一作目『戦後史の正体』(孫崎享著)はノンフィクションの名作として名高く、「今年最高の本!2012」でも第6位にランクインしました。いわば師弟にあたるという孫崎さんと矢部さんですが、2人によるトークショーも開かれているようです。

C 矢部さんの『日本はなぜ~』を読んでみると、基地周辺や沖縄の地図、複雑な概念をまとめた図表なども多用されており、作り込まれているなぁという印象を受けますね。「ノンフィクションはちょっと苦手かも……」という人にとっても、きっと読みやすいはず。私も含めて……(笑)。

B ともあれ基地問題、原発問題は、現実問題として日本人誰もが見過ごすことのできないはずの大問題です。ともすれば感情的な対立にもなりやすいテーマではありますが、本書から得られる知識は、歴史を踏まえた冷静な議論のベースになるのではないでしょうか。

A おりしも大事な国政選挙を控えた今の時期、これまでの日本、これからの日本を考える上で絶好の一冊が登場したと言えるでしょう。

『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』/矢部宏治/集英社インターナショナル/1,296円
『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』/矢部宏治/集英社インターナショナル/1,296円
発表!新聞・雑誌の書評担当者が選んだ2014年最高の本ランキング!
1位 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』/矢部宏治/集英社インターナショナル/1,296円
2位 『地方消滅』/増田寛也/中央公論新社/886円
2位 『八月の六日間』/北村薫/角川書店/1,620円
4位 『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』/上原善広/新潮社/2,181円
4位 『イノセント・デイズ』/早見和真/新潮社/1,944円
4位 『鳩の撃退法 上巻・下巻』/佐藤正午/小学館/1,998円
7位 『愛と暴力の戦後とその後』/赤坂真理/講談社/907円
7位 『井田真木子著作撰集』/井出真木子/里山社/3,240円
7位 『教誨師』/堀川惠子/講談社/1,836円
7位 『セラピスト』/最相葉月/新潮社/1,944円
11位 『怒り 上巻・下巻』/吉田修一/中央公論新社 /各1,296円
11位 『女の子よ銃を取れ』/雨宮まみ/平凡社/1,512円
11位 『境界の町で』/岡映里/リトル・モア/1,728円
11位 『シャバはつらいよ』/大野更紗/ポプラ社/1,404円

 

「地方」に存在する、課題と、素晴らしさと

B ではここからは、2位以降の作品を紹介していきましょう。ただ、1位から同率11位まで本当に票差は僅差で、どの本も今年を代表するにふさわしい本だと言えるでしょう。

A 本当にそうですね。まずは第2位ですが、同率で2作品が登場です。まずノンフィクションつながりで、『地方消滅』を紹介しましょう。著者は元岩手県知事の増田寛也さん。改革派知事として地方自治の最前線に立ってきた増田さんが語る「地方消滅」には、また特別な重みがあると言えるでしょう。

C ショッキングなタイトルですよね。日本経済新聞編集局文化部の郷原信之さんは「自分のふるさとはどうなるのか……と、ドキドキしながらページをめくった人も多いはず。分析手法や今後の対策については異論もあるだろうが、21世紀日本の最も大きな課題を明確に指摘した意義は大きい」と本書を評価しています。

B 私も、自分の故郷が帯に書かれている地図に載っていないか、思わず探しちゃった(汗)。読売新聞書評面「本よみうり堂」スタッフさんも、〈人口減少問題の危険性は以前から叫ばれていたが、本書によってようやく、自治体やマスコミの危機感に火がついたように思える。それは、実名を挙げ、「消滅可能性都市」(2040年までに、若年女性の数が5割以下に減ってしまう市区町村)のリストを表示したからだ。微温的対策に終始してきた問題を、改めて社会に突きつけた衝撃度において、元になった論文と合わせ、本書は今年の1冊にふさわしいのではないか〉と、問題の大きさを気づかせてくれた啓蒙書としての意義を語っています。

A 若年女性の数が、人口問題の大きなポイントなのですね。女性が住むのに魅力を感じるような街であることが、求められているのかもしれませんね。

C 素敵なデートスポットがあって、ブランドモールがいっぱいあって、美味しいスイーツがあって……。

B それだけじゃないでしょ、まったく。さて、もう一つの第2位を紹介しましょう。北村薫さんの小説『八月の六日間』。主人公はアラフォー女子の文芸誌副編集長。せわしない都会を離れ、山歩きへと旅立った主人公は、四季を感じさせる自然の雄大さ、美しさに触れ、心洗われます。まさに今話題の「山ガール」の冒険物語ですね。しかしそこから、物語は急転して……。

A 私自身、境遇がとっても近いからすごく共感できたわ。でも山は、高尾山(東京都内にある、観光客の多い山)ぐらいしか登ったことがないんだけれども(汗)。サンデー毎日の佐藤恵さんも〈アラフォー・独身・仕事アリ(けっこう責任もあって忙しい)女性の心理をリアルに描いている。悩んだり落ち込んだりうらんだりしながら、少しずつ素直になって回復していく過程が清々しく、ちょっと切なくて胸に迫る〉と、乙女心をくすぐられたようです。

C 週刊文春の八馬さんも〈「円紫さんと私」シリーズに始まり、『ひとがた流し』など多くの作品で凛とした女性を描いてきた著者の新たな傑作! 40歳を目前に仕事や人生にすり減る心を抱え、ひとり山に登る主人公。自然の中で自分と向き合う姿が清々しい。不器用でも頑固でも、今ある自分が愛おしいのだと、読者の背を押してくれる。今後も折にふれ読み返すであろう一冊〉と絶賛。ちょっと現実に疲れてしまった女性には、絶好の清涼剤となっているようです!

B 能天気なあなたとは違って、悩める女性は多いの!

A まあまあ(笑)。ともかく、山と自然の素晴らしさが心から味わえる一冊なのは間違いないわ。地方の素晴らしさって、きっとこういうところにもあるはずです。

『地方消滅』/増田寛也/中央公論新社/886円
『地方消滅』/増田寛也/中央公論新社/886円
『八月の六日間』/北村薫/角川書店/1,620円』
『八月の六日間』/北村薫/角川書店/1,620円』
読者を引きずり込む、珠玉の作品

B 続いては第4位の発表ですね。4位には同率で3作品が並びました。まずは1冊目、『石の虚塔』。皆さんは2000年ごろに世間を騒がせた「ゴッドハンド騒動」を覚えているでしょうか。

A 確か旧石器時代の遺跡や遺物がたくさん見つかったけど、それが実はある一人の考古学研究家によるねつ造だったと発覚した事件ね。教科書の表記も二転三転するなどして、大きな社会問題にもなりました。

B そうです、あれからもう15年近くがたちましたが、この事件を綿密に追いかけたのが本書です。月刊WiLL編集部の川島さんは〈石器・考古学という一見地味なテーマにも関わらず、抜群におもしろく、ぐいぐいと読み進んだ。考古学会がまたエグい、いろんな意味で。「考古学」と聞けば思わずロマンを感じるが、ロマンだけじゃ駄目なんだなぁとわかる。歴史を扱う人間への「歴史の皮肉」もあり〉と唸っています。

C 週刊文春の東郷さんも〈岩宿遺跡を発見した相澤忠洋。相澤を支え、旧石器時代の研究に取り組んだ芹沢長介。そして、旧石器捏造事件を起こした”ゴッドハンド”こと藤村新一。考古学会のドロドロとした人間関係を掘り起こしていく。松本清張の小説のような読後感を覚えるドキュメント。藤村新一へのインタビューも読み応えあり〉とのこと。まさに事実は小説よりも奇なりですね。

A 藤村さんご本人が出ているのが驚きですね。もうそれだけ時間がたったということでもあるのでしょうか。本編も会話が非常に多く、臨場感たっぷり。あの事件は何だったのかを、スリルを味わいながら振り返ることができます。

B 続いて第4位2冊目は、『イノセント・デイズ』。こちらは衝撃度満点のミステリー作品です。

C 「整形シンデレラ」とも呼ばれる、確定女性死刑囚。3人を殺した罪に問われていますが、その真相は何だったのか。序盤のストーリーから頭に入る先入観が、後半にはドンとひっくり返される。まさにミステリーの醍醐味ですね。

A サンデー毎日の佐藤さんによると、〈主人公について語られれば語られるほど、その人物が見えなくなってくる。他者の視線や思いによってとらえられる「私」とは誰なのか。「私」を主張することにどんな意味があるのか。今の情報化社会につきつけた課題は鋭くて深〉とのこと。うーん、意味深で面白そうですね。

B 著者の早見さんは『ひゃくはち』など、枠にとらわれずいろんなジャンルの小説に挑戦されています。今後も要注目ですね。第4位の3作品目は、『鳩の撃退法(上巻・下巻)』。ある家族の失踪をきっかけに、謎が謎を呼ぶ展開がどんどん進行していくミステリー。こちらはコミカルなやりとりも多く、純粋にエンターテインメントとしても楽しめる一作となっています。

C 婦人公論の角谷涼子さんも、興奮を抑えきれない様子です! 〈この作家の新刊を、本当に待ちわびていました。そして、1ページ目から期待を裏切らず軽やかに凌駕していく書きぶりに、胸が高まりすぎて平静に読めないほど。リーダブルなエンターテインメントでありながら、『小説の読み書き』(岩波新書)の著者ならではの技巧が凝らされてもいるので、読者は〈熟練の床屋の鋏捌きに身を任せるように〉安心して身を委ねて小説を楽しめるはず。映像化してももちろんおもしろいストーリーと魅力的な人物描写ですが、佐藤正午のこの文章は、小説でしか味わえません。まだ読んでいない人がうらやましい、YKS(読んで・後悔・させません)!〉

B 読売新聞書評面「本よみうり堂」スタッフさんも〈『5』(角川文庫)と同じく小説家の津田を主人公とした大長編は、「小説を書く」ということをテーマに据えたメタフィクションだ。たくらみに満ちた構成と、練り上げられた文章による抜群の読みやすさを併せ持った著者の最高傑作。脱力系のユーモアも含め、小説を読む楽しさを何度でも味わえる〉と高く評価。著者の佐藤正午さんの文章は、多くの人を惹きつけてやまないパワーがあるようです。

A 日本の小説界には今も、読者を引きずり込むような筆力の高い作家がたくさんいらっしゃいます。いろんな作家の作品を、「あれも、これも」と読んでみるのは究極の贅沢なのかもしれませんね。

『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』/上原善広/新潮社/2,181円
『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』/上原善広/新潮社/2,181円
『イノセント・デイズ』/早見和真/新潮社/1,944円
『イノセント・デイズ』/早見和真/新潮社/1,944円
『鳩の撃退法 上巻』/佐藤正午/小学館/1,998円
『鳩の撃退法 上巻・下巻』/佐藤正午/小学館/1,998円
『鳩の撃退法 下巻』/佐藤正午/小学館/1,998円
『鳩の撃退法 上巻・下巻』/佐藤正午/小学館/1,998円

 

人の「こころ」に触れ、癒す仕事。その実態とは?

B ではどんどん行ってみましょう。第7位には豪華に4作品がランクイン。まずご紹介するのが『「愛と暴力の戦後とその後」』。

A 著者の赤坂真理さんと言えば、何といっても「今年最高の本!2012」で第1位に輝いた『東京プリズン』ですね。戦争そして天皇制を少女の成長物語の中で描いたのが『東京プリズン』でしたが、本書は新書版の「日本論」です。

C 月刊宝島の高岡洋詞さんは〈『東京プリズン』のエッセイ版。「当たり前」を疑い、日常的な身体感覚から発して戦後史を丹念にたどり直し現在と結びつける筆致は小説家ならでは。鋭い洞察がいっぱいで、夢中で読みました〉と舌を巻いています。

B 婦人公論の角谷さんは〈いまを生きる私たちのメンタリティを理解するには、「敗戦」まで立ち返らなければならない。歴史や社会学の論理で語られてもぬぐいきれなかった違和感や「わからなさ」の正体に、赤坂さんは真っ正直に挑んでいる。「わからなさ」へのアプローチは、学者ではなく作家である赤坂真理ならでは。読者はその思考を追うことで、今まで持っていた「日本の戦後」のイメージが違うものに見えてくる〉と述べています。戦後日本という巨大なテーマに、学問の理屈ではなく、一人の生身の人間として向き合っているところが共感を集めているようですね。

A 続いて第7位2作品目は、「井田真木子著作撰集」。井田真木子さんはノンフィクション作家で、『プロレス少女伝説』で大宅壮一ノンフィクション賞、『小蓮の恋人』で講談社ノンフィクション賞を受賞されましたが、2001年に44歳の若さで亡くなられました。

B 朝日新聞読書面の鈴木京一さんによると、〈関川夏央の井田論も読ませる。版元は、井田の著作に影響を受けた女性が興した一人出版社〉とのこと。井田さんにゆかりのある人が、特別の想いを込めて発刊した一冊だと言えます。

C 生前の井田さんは女性プロレスラーの方と親交が厚く、本書では神取忍さんへのインタビューも収録されています。まさに伝説のレスラーならぬ、伝説のノンフィクション作家ですね。

B 第7位3作品目は堀川惠子さんの『教誨師』。教誨師とは、刑務所などの収容施設で収容者に道徳や倫理、あるいは宗教的な講話を行う人たちのことです。

A 本作で描かれているのは、少年時代に広島で被爆し、戦後教誨師となった渡邉普相さんという実在の人の物語です。受刑囚、中でも死刑囚への語りかけの中から見えてくる、生と死の問題。死刑制度にも一石を投じる内容となっています。

C 死刑囚本人ではなく、教誨師さんの視点から見た死刑を描いているのが画期的との意見が多いようです。また、堀川惠子さんは過去に『死刑の基準―「永山裁判」が遺したもの』という作品で講談社ノンフィクション賞を受賞しており、違った角度から改めて死刑というテーマに迫っています。

B 教誨師に続いてはセラピストです。第7位最後の作品は、最相葉月さんの『セラピスト』。こちらも、心の治療にあたるセラピストの現実に迫ったノンフィクション作品です。

A セラピストの仕事には厳しい守秘義務があるため、外の世界からその実態をうかがい知ることは極めて困難です。ある時、カウンセリングに対する不審を抱いた最相さんは、5年もかけて謎に包まれたセラピストの仕事に迫り、その実態を詳らかにしています。

C 読売新聞書評面「本よみうり堂」スタッフさんは〈「カウンセリングとは何か」を5年間にわたり取材したノンフィクション。複雑な現代社会において、誰もが知る「心のケア」。しかし、その核心となるとふわふわ、ともすればうさんくさいもののように感じられもする。心理療法家の河合隼雄、精神科医の中井久夫らセラピストと患者のやりとりは、言葉に言い表せない心の世界を描き出してスリリング。病歴を明かし、自らをも取材対象とする作家の覚悟に圧倒される〉と、内容のリアルさを評価しています。

B 確かに、誰もが心の病を抱えてしまいかねない現代社会。しかしその回復は容易ではないようです。心理療法は、精神医学は、本当に有効なのか。興味を惹かれるテーマですね。

C ああ、「恋の病」を患う私を、誰かカウンセリングしてくれないかしら~。

A 私は、Cちゃんは至って健康だと思うわ(苦笑)。しかし、人の「こころ」に触れる職業を取り上げた作品が2つ並んだことは、現代という時代を象徴しているかのようでとても印象的ですね。

『愛と暴力の戦後とその後』/赤坂真理/講談社/907円
『愛と暴力の戦後とその後』/赤坂真理/講談社/907円
『井田真木子著作撰集』/井出真木子/里山社/3,240円
『井田真木子著作撰集』/井出真木子/里山社/3,240円
『教誨師』/堀川惠子/講談社/1,836円
『教誨師』/堀川惠子/講談社/1,836円
『セラピスト』/最相葉月/新潮社/1,944円
『セラピスト』/最相葉月/新潮社/1,944円

 

「こじらせ女子」の処方箋に、男子もホロリ

B 第7位が4作品続きましたので、次は第11位です。なんとここでも、4作品がランクインしました。

A 順にご紹介していきましょう。まず1作品目は、吉田修一さんの『怒り』。殺人現場に残された「怒」の血文字。そこから始まる、犯人追跡劇。ラストの1ページまで、ページをめくる手が止まりません。

C 日経WOMANの行武知子さんは〈ここに挙げておいて言うのもなんですが、「どうなんでしょう???」と思わせるところが面白かったという一冊。「怒り」の本質は何だったのか?というモヤモヤが残るあまり、周りの人にも読ませてしまう行動に出てしまいました。「怒り」を巡って複数の人間関係が登場し、「怒り」に対して様々な行動をとる。そのアプローチはさすがですが〉とのこと。うーん、思わせぶりなところが逆に怪しくて面白そうです。

B 映画化された『悪人』や『さよなら渓谷』でも知られる吉田さん。その手腕をとくと味わいましょう!続いてのご紹介は、『女の子よ銃を取れ』!

A まあ、『セーラー服と機関銃』を彷彿とさせるタイトルね!

C Aさん、ちょっと古いかも(笑)。この本のテーマはズバリ「おんなごころ」!「こじらせ女子」という言葉を世に広めた雨宮まみさんの作品よ。

B 綾瀬はるかさんのドラマ出演で、ブレイク必至の「こじらせ女子」。でもその定義って、実はすっごく難しい。他人の視線と自意識の間で、絶えず揺れ動く世の「こじらせ女子」の心を優しく包んでくれるのが、この一作です。

C COURRiER Japonの井上さんは〈「こじらせ女子」とは、社会から期待される性役割を楽しめず、欲望と自意識のはざまに悩む女子たち。多くの物語では決して主役になれない彼女たちに武器を授ける、リアリスティックな処方箋。こじらせ男子=喪男の豆腐メンタルにも突き刺さります〉だって(笑)。悩める男子にも、効果てきめんのようだね。

B 月刊宝島の高岡さんも〈基本的に好きな著者なのですが、女性にとって永遠のテーマである容姿の問題に果敢にアタックし、自らの苦い経験を告白しながら自分を愛する(むしろ「許す」?)方法を模索し伝えていく誠実さ、「同志」への優しさに、男ですが感動しました〉と語っています。

A 案外癒されているのは、男子の方なのかもしれないわね(笑)。11位3作品目の紹介は岡映里さんの『境界の町で』です。境界とは何か……東京電力福島第一原子力発電所周辺で行われている検問所のことを指しています。「3・11」からの3年間、週刊誌記者だった岡さんが取材を重ね続け、福島に通いつめ、そうしてできあがった、原発被災地のリアルを描いた作品です。

B 産経新聞の書評担当さんは〈筆者が直接見たこと、聞いたことしか書かれていない。取材対象にとことん深く関わっていく一人称のノンフィクションは、自らを傷つけ、時には相手も傷つけながら、誰かと一緒に「生きていく」ことの切なさと温かさを描き出す。衝撃的デビュー作〉と高く評価しています。直接見て、直接書く。ノンフィクションの王道を踏まえつつ、かつ、常に視線は一人称。だからこそ、多くの人の心を打つのではないでしょうか。

A 今なお続く被災の現実を、まさに「ありのまま」に描いている一作ですね。ネット上では被災地の人からも、「まさに実情はその通り」だという声が多数挙がっているようです。

C 第11位最後の作品は私から紹介するね。大野更紗さんの『シャバはつらいよ』。何を隠そう大野さん、「困ってるひと」で「今年最高の本!2011」第1位に輝いた作家さんです。

B 過去の第1位受賞者2人目のランクインね。自己免疫疾患系の難病を抱えた大野さんの闘病生活を描く、「困ってるひと」の続編にあたる作品です。

C ダ・ヴィンチ編集長の関口靖彦さんは〈今回は退院後の「シャバ」で難病を抱えつつ暮らすことの困難さが描かれる。苦しい状況にあってもユーモアを失わず、なんとか生きていこうというエネルギーは前作以上。さらに、苦しむマイノリティが少しでも生きやすくなるよう社会に対して呼びかける意思が前面に出てきた〉と語っています。

A 月刊ソトコトの小西威史さんも〈前作『困ってるひと』から3年、病院を出て「シャバ」で生きていく日々。今回もエンタメ感たっぷり、日本の「福祉」の現状を教えてくれる〉と、苦しい中にもユーモアを忘れない大野さんの前向きさを支持しています。

C どんな苦しい状況下にあっても明るさを忘れちゃいけない。大野さんの本を読むたびにそのことを強く感じるね。

B 同時に「福祉国家」と言われている日本でも、マイノリティを受け入れる受け皿はまだ不十分であることを如実に浮き彫りにしているわ。他人の問題ではなく自分にも関係した問題、関係するかもしれない問題だと捉えて、一緒に考えていく姿勢が大切だと思う。

『怒り 上巻』/吉田修一/中央公論新社 /1,296円
『怒り 上巻』/吉田修一/中央公論新社 /1,296円
『怒り 下巻』/吉田修一/中央公論新社 /1,296円
『怒り 下巻』/吉田修一/中央公論新社 /1,296円
『女の子よ銃を取れ』/雨宮まみ/平凡社/1,512円
『女の子よ銃を取れ』/雨宮まみ/平凡社/1,512円
『境界の町で』/岡映里/リトル・モア/1,728円
『境界の町で』/岡映里/リトル・モア/1,728円
『シャバはつらいよ』/大野更紗/ポプラ社/1,404円
『シャバはつらいよ』/大野更紗/ポプラ社/1,404円
 
本の主役も、本の読者も、女性中心の時代!?

 さて、ここまでお送りしてきました「今年最高の本!2014」、いかがだったでしょうか。今年は例年以上に、ノンフィクションの力作が多くの支持を集めていたように感じます。

B 本当に今年は、読み応えがあるノンフィクションが多かったわ。一方でフィクションであっても、どこか現実の問題を思い起こさせる作品も多かったようね。

C ランキングでは紹介できなかったけど、「もう一作選ぶとしたらコレ」という声もあった一冊を最後に紹介するね。篠田節子さんの「『長女たち』」。テーマは「介護される母、介護する娘」。日本経済新聞編集局文化部の郷原さんは〈篠田節子さんの新たな代表作の誕生。肉親、とくに母親と娘の確執は、現代日本の家族が抱える新たなアポリアだ。それにしても、日々の暮らしに男の存在がなんと薄いことか。最近のイキのいい小説からも、魅力的な男はどんどん姿を消している〉と。これも、現代日本の問題、それも女性にとって切実な問題をモチーフにした作品だね。

B 確かに小説の中に、魅力的な男性キャラクターはあまり見かけないかも……。今は女性の時代、って言ったら聞こえはいいけど、魅力的な男が減ってしまうことは女性にとっても寂しいことだわ。

A 「女性」をテーマにした作品が多数あったのも、今年の特徴でしたね。それだけ女性の生が注目されているのは確かだし、女性こそが本の読者の中心層になっていることの表れなのかもしれません。

C うんうん。でも男性にも、もっと頑張ってほしいな!

 そうですね。既成の価値観が崩れ、先の見えない今の時代。男性たちが苦境の中で何を学び、どういう力を発揮できるのかが、今一度問われているのかもしれません。

さあ来年は、どんな本が登場してくれるのでしょうか。1年後の年末、またお会いしましょう!

A、B、C 来年もよいお年を!

* * *

新聞の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

朝日新聞※順不同

  • 『AKB48とブラック企業』/板倉章平/イースト・プレス/929円
  • 『謝るなら、いつでもおいで』/川名壮志/集英社/1,620円
  • 『井田真木子著作撰集』/井出真木子/里山社/3,240円
  • 『あしたから出版社』/島田潤一郎/晶文社/1,620円
  • 『国家緊急権』/橋爪大三郎/NHK出版/1,296円

神戸新聞※順不同

  • 『天の梯』/高田郁/角川春樹事務所/670円
  • 『神秘』/白石一文/毎日新聞社/2,052円
  • 『雷の子』/島京子/編集工房ノア/2,376円
  • 『憲法の空語を充たすために』/内田樹/かもがわ出版/972円
  • 『千鶴さんの脚』/高階 杞一著・四元 康祐 写真/澪標/1,620円

産経新聞※順不同

  • 『境界の町で』/岡映里/リトル・モア/1,728円
  • 『津波、写真、それから——LOST&FOUND PROJECT』/高橋宗正/赤々舎/2,808円
  • 『スクリプターはストリッパーではありません』/白鳥あかね/国書刊行会/3,024円
  • 『ミッキーは谷中で六時三十分』/片岡義男/講談社/1,836円
  • 『ヒトラー演説——熱狂の真実』/高田博行/中央公論新社/950円

静岡新聞

  1. 『僕は数式で宇宙の美しさを伝えたい』/クリスティン・バーネット著・永峯涼訳/角川書店/1,836円
  2. 『ビリービンとロシア絵本の黄金時代』/田中友子/東京美術/2,592円
  3. 『荒野の古本屋』/森岡 督行/晶文社/1,620円
  4. 『軍服を着た救済者たち』/ヴォルフラム・ヴェッテ著・関口宏道訳/白水社/2,592円
  5. 『津軽 いのちの唄』/坂口昌明/ぷねうま舎/3,456円

東京新聞

  1. 『「死」を前に書く、ということ——「生」の日ばかり』/秋山駿/講談社/2,160円
  2. 『岩田宏詩集成』/岩田宏/書肆山田/4,860円
  3. 『それでも猫は出かけていく』/ハルノ 宵子/幻冬舎 /1,620円
  4. 『キャットニップ』/大島弓子/小学館/1,296円
  5. 『「本が売れない」というけれど』/永江朗/ポプラ社/842円

日本経済新聞

  1. 『地方消滅』/増田寛也/中央公論新社/886円
  2. 篠田節子著『長女たち』/新潮社/1,728円
  3. 木畑洋一著『二〇世紀の歴史』/岩波新書/929円
  4. 朝井まかて著『阿蘭陀西鶴』/講談社/1,728円
  5. 角田光代著『笹の舟で海をわたる』/毎日新聞社/1,728円

夕刊フジ

  1. 『猟師の肉は腐らない』/小泉武夫/新潮社/1,512円
  2. 『父と息子の大闘病日記』/神足裕司・裕太郎/扶桑社/1,296円
  3. 『元外務省主任分析官・佐田勇の告白ー小説・北方領土交渉』/佐藤優/徳間書店/1,728円
  4. 『最後のトリック』/深水黎一郎/河出書房新社/734円
  5. 『不幸な認知症 幸せな認知症』/上田諭/マガジンハウス/1,404円

読売新聞※順不同

  • 『鳩の撃退法 上巻・下巻』/佐藤正午/小学館/1,998円
  • 『トロイアの真実』 / 大村幸弘/ 山川出版社/2,700円
  • 『地方消滅』/増田寛也/中央公論新社/886円
  • 『セラピスト』/最相葉月/新潮社/1,944円
  • 『編集少年 寺山修司』/久慈きみ代/論創社/4,104円
※新聞、週刊誌、月刊誌、それぞれについて五十音順で掲載
 
総合週刊誌の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

サンデー毎日※順不同

  • 『八月の六日間』/北村薫/角川書店/1,620円
  • 『炎を越えて——新宿西口バス放火事件後三十四年の軌跡』/杉原美津子/文芸春秋/1,612円
  • 『イノセント・デイズ』/早見和真/新潮社/1,944円
  • 『やなせたかし おとうとものがたり』/やなせたかし/フレーベル館/1,620円
  • 『追われ者半次郎』/小杉健治/宝島社/756円

週刊朝日※順不同

  • 『日中韓を振り回す「ナショナリズム」の正体』/半藤一利・保阪正康/東洋経済新報社/1,080円
  • 『歴史を繰り返すな』/板野潤治・山口二郎/岩波書店/1,620円
  • 『水声』/川上弘美/文芸春秋/1,512円

週刊アスキー※順不同

  • 『沈みゆく帝国——スティーブ・ジョブズ亡きあと、アップルは偉大な企業でいられるのか』/ケイン岩谷ゆかり/日経BP社/2,160円
  • 『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい』/本田哲也・田端信太郎/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1,620円
  • 『教養としてのプログラミング講座』/清水亮/中央公論新社/842円
  • 『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』/デイヴィット・ケリー、トム・ケリー著・千葉敏生訳/日経BP社/2,052円
  • 『懐かしのホビーパソコンガイドブック』/前田尋之/オークラ出版/1,296円

週刊現代※順不同

  • 『怒り 上巻・下巻』/吉田修一/中央公論新社/各1,296円
  • 『さみしくなったら名前を呼んで』/山内マリコ/幻冬舎/1,512円
  • 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』/グレン・グリーンウォルド著・田口俊樹、濱野大道、武藤陽生訳/新潮社/1,836円
  • 『教誨師』/堀川惠子/講談社/1,836円
  • 『疒(やまいだれ)の歌』西村賢太/新潮社/1,620円

週刊プレイボーイ

  1. 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』/矢部宏治/集英社インターナショナル/1,296円
  2. 『イノセント・デイズ』/早見和真/新潮社/1,944円
  3. 『街場の戦場論』/内田樹/ミシマ社/1,728円
  4. 『境界の町で』/岡映里/リトル・モア/1,728円
  5. 『「サル化」する人間社会』/山極寿一/集英社インターナショナル/1,188円

週刊文春

  1. 『八月の六日間』/北村薫/角川書店/1,620円
  2. 『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』/上原善広/新潮社/2,181円
  3. 『ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち ボートに託した夢』/ダニエル・ジェイムス・ブラウン著・森内薫訳/早川書房/3,240円
  4. 『離陸』/ 絲山秋子/文芸春秋/1,890円
  5. 『少年アヤちゃん焦心日記』/少年アヤ/河出書房新社/1,490円

週刊ポスト※順不同

  • 『酒場詩人の流儀』/吉田類/中央公論新社/842円
  • 『曽根中生自伝 人は名のみの罪の深さよ』/曽根中生/文遊社/4,212円
  • 『アンダーカバー秘密調査』/真保裕一/小学館/1,944円
  • 『星々たち』/桜木紫乃/実業之日本社/1,512円
  • 『平凡』/角田光代/新潮社/1,512円
 
総合月刊誌の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

WiLL※順不同

  • 『異形の維新史』/野口武彦/草思社/1,944円
  • 『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑りつかれた男たち』/上原善広/新潮社/2,181円
  • 『フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠』/マイケル・モス著・本間徳子訳/日経BP社/2,160円
  • 『死ぬ理由、生きる理由・英霊の渇く島に問う』/青山繁晴/ワニブックス/1,728円
  • 『いま生きる「資本論」』/佐藤優/新潮社/1,404円

クーリエ・ジャポン

  1. 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』/矢部宏治/集英社インターナショナル/1,296円
  2. 『ツィッター創業物語』/ニック・ビルトン著・伏見威蕃訳/日本経済新聞社/1,944円
  3. 『若者はなぜヤクザになったのか』/廣末登/ハーベスト社/3,024円
  4. 『女の子よ銃を取れ』/雨宮まみ/平凡社/1,512円
  5. 『病み上がりの夜空に』/矢幡洋/講談社/1,620円

月刊宝島

  1. 『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』/加藤直樹/ころから/1,944円
  2. 『愛と暴力の戦後とその後』/赤坂真理/講談社/907円
  3. 『女の子よ銃を取れ』雨宮まみ/平凡社//1,512円
  4. 『教養としてのプロレス』/プチ鹿島/双葉社/950円
  5. 『弱いつながり——検索ワードを探す旅』/東 浩紀/幻冬舍/1,404円

ソトコト

  1. 『わたし、解体はじめました——狩猟女子の暮らしづくり』/畠山千春/木楽舎/1,620円
  2. 『外来魚のレシピ——捕って、さばいて、食ってみた』/平坂寛/地人書館/2,160円
  3. ミシマ社『「消費」をやめる——銭湯経済のすすめ』/平川克美/ミシマ社/1,728円
  4. 『シャバはつらいよ』/大野更紗/ポプラ社/1,404円
  5. 『サルなりに思い出す事など——神経科学者がヒヒと暮らした奇天烈な日々』/ロバート・M・サボルスキー著・大沢章子訳/みすず書房/3,672円

ダ・ヴィンチ

  1. 『紙つなげ!——彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』/佐々涼子/早川書房/1,620円
  2. 『かないくん』/谷川俊太郎著・松本大洋 絵/東京糸井重里事務所/1,728円
  3. 『シャバはつらいよ』/大野更紗/ポプラ社/1,404円
  4. 『怪談』/小池真理子/集英社/1,512円
  5. 『江戸しぐさの正体——教育をむしばむ偽りの伝統』(講談社)/原田実/星海社/886円

中央公論※順不同

  • 『海うそ』/ 梨木 香歩/岩波書店/1,620円
  • 『櫛挽道守』/木内昇/集英社/1,728円
  • 『ハンナ・アーレント』/矢野久美子/中央公論新社/885円
  • 『鹿の王 (上)生き残った者・(下)還って行く者』/上橋菜穂子/角川書店/1,728円
  • 『哀しすぎるぞ、ロッパ 古川緑波日記と消えた昭和』/山本一生/講談社/2,592円

日経WOMAN

  1. 『絶叫』/葉真中顕/光文社/1,944円
  2. 『てらさふ』/朝倉かすみ/文芸春秋/1,998円
  3. 『春の庭』/柴崎友香/文芸春秋/1,404円
  4. 『怒り 上巻・下巻』/吉田修一/中央公論新社/各1,296円
  5. 『出版禁止』/長江俊和/新潮社/1,944円

婦人公論

  1. 『夜は終わらない』/星野智幸/講談社/1,998円
  2. 『鳩の撃退法 上巻・下巻』/佐藤正午/小学館/各1,998円
  3. 『ドミトリーともきんす』/高野文子/中央公論新社/1,296円
  4. 『愛と暴力の戦後とその後』/赤坂真理/講談社/907円
  5. 『ぺナンブラ氏の24時間書店』ロビン・スローン著・島村浩子訳/東京創元社/2,052円

PRESIDENT※順不同

  • 『井田真木子著作撰集』/井田真木子/里山社/3,240円
  • 『セラピスト』/最相葉月/新潮社/1,944円
  • 『教誨師』/堀川惠子/講談社/1,836円
  • 『静かなる革命へのブループリント——この国の未来をつくる7つの対話』/宇野常寛 編著/河出書房新社/1,620円
  • 『東京タクシードライバー』/山田清機/朝日新聞出版/1,512円