止まらない韓流ブーム
いま、人気のドラマはなにか?
(2012.04.13)
2002年の日韓ワールドカップや、2003年の「冬ソナ」ブームから始まった韓流ブーム。あれから10年、韓流ドラマの人気に再び火が付きはじめた。折からのK-POPの人気も相まって、まだまだ「韓流熱」は冷める気配がない。
いまテレビは、様々な「韓流」であふれている。ドラマ、映画、アイドル、K-POP等々が日本のテレビに出っぱなしの状態だ。情報バラエティはもちろんグルメや旅行番組でも「韓流・韓国」特集が目立つ。
韓流ブームが根強いのは、ファンの力でもある。韓流ファンの中心は50代以上の女性。この物が売れない時代に、韓流モノはよく売れている。韓流の街・大久保は連日、多くの女性客で賑わっているが、こうした年配の女性ファンが確実に商品を買っていく。ドラマもこれと同様に、マイナーな役者ばかりのタイトルでも日本でDVDを発売すればすぐに2~3万枚は売れるという。
韓流ドラマの魅力のひとつは役者のネームバリューに頼りすぎないところにもある。いくら人気があっても、演技のできない新人俳優やアイドルはドラマに出演しないのだ。ストーリーも意外に深く、日本のドラマに比べ話数が多いのでじっくりと楽しめる。ジャンルも多彩で、たとえば朝鮮半島の歴史を描いた韓流大河ドラマは、歴史検証が緻密で、リアルなストーリー展開がウリだ。
また韓流俳優は、日本のファンへのサービスも忘れない。ライブや交流会、握手会などのイベントを数多く日本で開催し、チケットはどれも入手困難。こうした多彩な魅力が女性ファンを掴み、単発のブームには終わらない、飽くなきムーブメントとなっている。
最新の注目ドラマは、5月から衛星放送チャンネル「衛星劇場」で放送予定の『王女の男』と『きらきら光る』だ。
『王女の男』は、朝鮮王朝第6代王の統治下でおきたクーデターにより引き裂かれる恋を描いた作品。主演はパク・シフ。『きらきら光る』はお金持ちのお嬢様から貧しい町の食堂の娘になってしまった主人公の奮闘記。主演はキム・ヒョンジュ。
以下、DVDレンタルを扱うTSUTAYAで貸し出された韓流ドラマDVDの最新ランキング(2012年、1月―2月)と、そこに登場するいま話題のドラマの内容を紹介しよう。
韓流ドラマレンタルランキング(2012年1月~2月)
1位 | ミス・リプリー <完全版> |
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2位 | いばらの鳥 |
3位 | トキメキ☆成均館スキャンダル<完全版> |
4位 | ロイヤルファミリー |
5位 | マイ・プリンセス 完全版 |
6位 | 私の期限は49日(ノーカット完全版) |
7位 | イ・サン |
8位 | 赤と黒<ノーカット完全版> |
9位 | 美男<イケメン>ですね デラックス版 |
10位 | manny(マニー)~ママが恋したベビーシッター |
※1〜4、9、10位はTSUTAYAのみでレンタル中
1. 『ミス・リプリー』
初主演の『トキメキ☆成均館スキャンダル』で好演し、若手俳優として注目される元東方神起のパク・ユチョン。イ・ダヘ、キム・スンウ、カン・ヘジョンという実力派俳優による男女4人のスリリングな恋愛劇。タイトルの「リプリー」はパトリシア・ハイスミス原作の映画『太陽がいっぱい』(The Talented Mr. Ripley)の主人公の名“リプリー”から取った。
ストーリーは、貧しく虐げられて育ったヒロイン・チャン・ミリ(イン・ダヘ)が、生きるために手段を選ばず人を巧みに騙しながらのし上がっていく様を描いている。「シン・ジョンア学歴詐称事件」という韓国で実際にあった事件をモチーフにしているという。
2.『いばらの鳥』
主演は『善徳女王』『パラダイス牧場』での熱演からスター俳優となったチュ・サンウクと、『がんばれ!クムスン』『朱蒙』の出演で日本でも人気を集めたハン・ヘジン。『春のワルツ』で国内外から多くのファンを獲得したソ・ドヨンは『いばらの鳥』の出演料を日本復興のために全額寄付すると宣言し話題にもなった。
児童養護施設で育ったソ・ジョンウン(ハン・ヘジン)の夢は、女優になること。有名になれば母親が会いに来ると信じていたからだ。ジョンウンの初恋の相手イ・ヨンジョ(チュ・サンウク)は、ある日死んだと聞かされていた産みの親に会いくが、冷たく突き放されてしまった。一方ジョンウンの親友ハン・ユギョン(キム・ミンジョン)は突然、自分が両親の子供ではないことを知ってしまう。残酷な運命に翻弄される彼らの愛憎劇を描く。
3.『トキメキ☆成均館スキャンダル』
韓国国内で放送後の反響が凄まじく、成均館スキャンダル公式ホームページの掲示板には、視聴コメントが約30万件も寄せられ、”成均館(ソンス)廃人”という新造語も生まれた。ベストセラー小説を原作に、女子禁制の名門校「成均館(ソンギュンガン)」に入学した男装ヒロインとエリート男子学生たちが繰り広げる恋と友情のラブストーリー。
母と病気の弟の面倒をみるため、男装して科挙試験を代理受験してお金を稼ごうとするキム・ユニ(パク・ミニョン)。試験当日、ユニは依頼人と間違え、イ・ソンジュン(パク・ユジョン)に声をかけてしまう。ソンジュンはユニの才能に気づき、科挙試験を受けさせる。しかし代理受験が発覚し、ユニとソンジュンは罰として成均館(ソンギュンガン)で暮らす事になる。
4.『ロイヤルファミリー』
日本で映画化、ドラマ化された森村誠一のベストセラー小説『人間の証明』が原作。家族の絆や愛、国や正義など、人間の本質について描いた社会派ドラマ。主演のチソンは数あるオファーの中からシナリオの素晴らしさに惹かれ、この『ロイヤルファミリー』を選択した。またヨム・ジョンアは3年ぶりのドラマ復帰作となり気合いの入った演技を見せる。重厚な演技力に定評のあるベテラン女優キム・ヨンエ、『BAD LOVE~愛に溺れて~』『ドクターチャンプ』で脚を浴びた若手女優チャ・イェリョンも出演。
過去を隠したまま財閥一家に嫁ぎ、社長の座に上り詰めたキム・インスク(ヨム・ジョンア)と、インスクを愛した孤児のハン・ジフン(チソン)は、ある事件に巻き込まれていく。
5.『マイ・プリンセス』
日韓合作映画『ゴースト』や韓国映画『男たちの挽歌』、ユン・ソクホ監督の四季シリーズ『夏の香り』『秋の童話』などで、韓流ブーム立役者となったソン・スンホンと、『アイリス』の熱演で注目を浴びたキム・テヒ、韓国芸能界を代表する2人の若手俳優の初共演作。
ソン・スンホンが韓国最大の財閥の御曹司で外交官のパク・ヘヨンを演じ、突然韓国皇室のプリンセスとなった貧乏女子大生イソルをキム・テヒが演じる、ドラマティックでロマンティックなラブストーリー。財閥の御曹司と貧乏な庶民という設定と、庶民が突然韓国皇室のプリンセスに変身するというストーリーが好評で、フィリピン、シンガポール、香港でも人気の作品になった。豪華な衣装や宮殿のセットなど総製作費が70億ウォンを超えていることも話題になっている。
6.『私の期限は49日』
社長令嬢で何不自由のない暮らしをしていたジヒョンは不意の事故で生と死の境界に立たされてしまう。しかし、彼女の死は冥府の“予定”した死ではなかった。ジヒョンは、この世とあの世をつなぐ仲介者=“スケジューラー”のソン・イスから、血縁者以外の、彼女を心から愛する3人の涙を得れば生き返られると伝えられる。果たして彼女は“3粒の涙”を得て、生き返ることができるだろうか?
脚本は『華麗なる遺産』『検事プリンセス』を手掛けたソ・ヒョンギョン。ジヒョンを演じるのは、『善徳女王』の主演で好評を集めたイ・ヨウォン。ソン・イスを演じるのはチョン・イル。
7.『イ・サン』
李氏朝鮮第22代国王である、正祖ことイ・サンが主人公。朝廷内の派閥争いや陰謀、サンが計画する政治改革がストーリーの主軸。サンは、朝廷内の悪習を撤廃させるため奔走し、自分の理想の国造りのため政策を立てる。多くの苦悩を抱えながら、国政に取り組んだ末、朝鮮末期文化の華を開かせた。
監督は『宮廷女官 チャングムの誓い』のイ・ビョンフン。実在した人物や出来事をベースに、友情や純愛のストーリーを織り交ぜたヒューマンストーリー。主演は、イ・ソジン。韓国では最高視聴率38%を記録。あまりの人気で全60話から全77話に延長された。
8.『赤と黒』
『冬のソナタ』『ごめん、愛してる』『雪の女王』で監督を務めたイ・ヒョンミンが贈る、ラブロマンスあり、サスペンスありの復讐劇。幼い頃、育ての親から引き離され、財閥の後継者として育てられたシム・ゴヌク。しかしDNA鑑定で後継者本人ではないと判明すると容赦なく捨てられたシム・ゴヌクは、自分の人生を狂わせた財閥グループへの復讐に燃える。
シム・ゴヌクを演じるのはキム・ナムギル。ヒロインはハン・ガイン(『魔女ユヒ』)。他にもチョン・ソミン(『イタズラなKiss~Playful Kiss』や)、オ・ヨンス(『朱蒙』)がドラマを飾っている。日韓共同制作も売りの一つで、豊原功補ら演技派日本人俳優も出演。ロケは日本の岐阜の下呂温泉、名古屋、三重でも行われている。
9.『美男< イケメン>ですね』
チャン・グンソクが日本でブレイクするきっかけとなったドラマ。
シスターになるため修道院で修行するコ・ミニョ(パク・シンへ)は、双子の兄のミナムが所属する人気イケメンバンド「A.N.JELL」の代役になってほしいとマネージャーに頼まれた。1カ月間代役をお願いされ困惑するミニョだが、兄ミナムが母を捜すためにグループに入る予定だったことを知り、しばらく兄になり変わる決意をする。その後もミニョは女性であることを隠しバンド活動を続けていく。 イケメンバンド「A.N.JELL」のメンバーに、天使のような外見だがクセがあるテギョン(チャン・グンソク)、シヌ(ジョン・ヨンファ)、ジェルミ(イ・ホンギ)。
10.『Manny(マニー)~ママが恋したベビーシッター』
韓国はもちろん世界中のドラマで “男性ベビーシッター”をテーマにした作品は前代未聞。斬新なテーマを扱い韓国でも反響を呼んだ、イケメンより「イクメン」を押し出した作品だ。
ニューヨーク在住のエリートでイケメンのキム・イハン(ソ・ジソク)は、いまを時めく男性ベビーシッター。韓国で自著の育児書を出版し、プロモーションで韓国を訪れた時、トラブルが続き、無一文になってしまう。ヒロインはバツイチで二人の子持ちのシングルマザーのソ・ドヨン(チェ・ジョンユン)。二人の子供は問題児で、ベビーシッター派遣を拒否されている。窮地に立たされた二人が偶然に出会い、イハンはドヨンの自宅で住み込みのベビーシッターとして働くことになる。