女子クリエーターが集結
『シブカル祭。』ハイライト。

(2012.11.02)

渋谷『パルコ』で開催された女子クリエーターの祭典『シブカル祭。』。新たなるムーブメントのキーは、女子クリエーターたちが握るのか? 女子クリエーターにスポットをあてたその狙いとは?

10月19日(金)〜29日(月)まで開催された女子クリエーターの祭典『シブカル祭。2012』。「女子のミックスカルチャー祭」とのサブタイトル通り、アート、音楽、パフォーマンス、ファッション、フード、作家、漫画家など、あらゆるジャンルの女子クリエーター総勢120組が『パルコミュージアム』をメイン会場に、『パルコ パート1』、『パルコ パート3』、『公園通り広場』、『スペイン坂広場』、『渋谷クラブクアトロ』の各ショップやスポットで「コラボレーション」をテーマに作品やパフォーマンスを発表。アートやクリエイティブに興味のある20〜30代の心を一挙につかんだ。

昨年からスタートの『シブカル祭。』、そもそものきっかけはどのようなものだったのだろうか? 『パルコ』ストアプロモーション部 シブカル祭。実行委員 櫻井愛さんに話をきいた。

ジャンルの違うクリエーターたちの
出会いの場。

「かつて80年代〜90年代に『パルコ』はアートの公募展『アーバナート』を開催、若い世代のアーティストを応援してきましたが、この10年はお休み。実はその間もどんどん新しいクリエーターは出てきており、2010年の『パルコ』の企業広告『LOVE HUMAN .キャンペーン』をきっかけに、また新しい世代を応援するなにか、公募展のようなものをやったらどうだろうということになりました。

しかしリサーチしてみると、今の世代はコンペに出て実力を競う、切磋琢磨するというより、自分たちの世界、コミュニティの中で「いいね!」を言い合っている。そのコミュニティの中だけで仲良くやっている性質があることがわかりました。じゃあ、なかなか接点のないジャンルの人たちをみんなまるごと集めて何かやったら面白いんじゃないか、というのが開催のきっかけです。オープン当初から、ファッションやアートへの興味のある感度の高い女性客が多い『パルコ』ならではの企画として、女子クリエーターにスポットをあててやってみよう、ということになりました。

『パルコ』がまた、若者を、女性を、応援していると、人が集まり楽しんで帰るという、そもそも『パルコ』がありたかった姿に戻れるんじゃないかと」

そうして100組の女子クリエーターを招聘した昨年の『シブカル祭。』では、クリエーター同士が意気投合し合同展の話が持ち上がったり、参加したアーティスト集団『Chim↑Pom』の『パルコミュージアム』での展覧会開催につながるなど、アートな化学反応が頻発。今年は120組のクリエーターを招聘しての開催となった。

クリエーターを目指す女子たちにとって
魅力いっぱいのステージ。

『パルコ』の強みは、こうして『シブカル祭。』で見つけた才能を育む場所が充実していることだろう。アーティストだったら『パルコミュージアム』や『ロゴスギャラリー』で作品を発表することもできるし、ファッション・デザイナーだったら館内のテナントで、ブランドとのコラボレーション・アイテムも可能だ。それ以外にも、革新的なCMや一世を風靡するイメージを発表してきた『パルコ』の広告でクリエイティビティを発揮したり、モデルやタレントとしての展開も考えられるだろう。

さらにはショービジネス、パフォーマーを目指す人には『パルコ劇場』『渋谷クラブクアトロ』といったステージに立つこともできるだろう。こうしたスペースを豊富に備える『パルコ』の『シブカル祭。』は、将来クリエーターを目指す女子たちにとってはステップアップのチャンス、魅力いっぱいのステージに違いない。

そんな『シブカル祭。』に今年は120組のクリエーターが参加。そのクリエーターの選考基準はどのようなものだったのだろうか。才能? それとも知名度? いや、やっぱりカワイさ重視か?

「シブカル実行委員には、音楽、ファッション、アート、それぞれのジャンルに精通したエキスパートの方をお願いしました。常日頃、仕事を通して若い世代と知り合ったり、話したりする接点のある方々です。委員会の方々の意見をきいて、最先端でユニークな、注目すべき女子クリエーターを偏らずに選ぶことができたと思います」

オープニングイベント開会宣言の模様から。Chim↑Pom エリイ、Julie Watai、Misha Janette、N's夙川BOYS リンダ、DJねむきゅん、Colliu、Ly、犬山紙子、tenko。photo / MACH

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今年のお題は「コラボレーション」。アーティストとアーティストの出会い=「コラボレーション」のテーマに合うものならば、どんなジャンルの人と組むのもOK。作品を発表してもよいし、パフォーマンスをしてもよし、フードやファッションとのコラボをしても、というなんでもアリだ。

それでは『シブカル祭。2012』メイン会場『パルコミュージアム』期間中常設出展したアーティストたちを中心にその「コラボレーション」作品のハイライトを見てみよう。

ポップでカラフル、独特な写真世界
うつゆみこ×オカダヤ新宿本店『はこぶねのそと』

写真家うつゆみこと、布、生地と手芸用品の店『オカダヤ新宿本店』のコラボレーション。カラフルでエキゾチックな布、テープで作成したフレームに、動物や草花、人物の写真が。うつゆみこは1978年生まれ、東京都出身。早稲田大学第一文学部中退後、東京写真学園写真の学校修了。2006年「ひとつぼ展」でグランプリ受賞。国内外で活躍している。ポップでカラフル、でもちょっとキモかわいい作風で知られる注目の写真家。

うつゆみこ×オカダヤ新宿本店『はこぶねのそと』

ロンドンでアートを学んだ国際派のコラボ
山瀬まゆ×Emi Miyashita 『PLAY TOGETHER』

山瀬まゆは1986年生まれのアーティスト。 ロンドン芸術大学、Chelsea college of arts and designのFine art科卒業。ソフトスカルプチャーを使ったインタラクティブな作品で知られる。コンセプトは相対するリアリティ(肉体)とファンタジー。Emi Miyashitaは1982年生まれの芸術家。女子美術短期大学卒業後渡英。セントラルセントマーチンズ大学学位取得後、チェルシー芸術大学大学院卒業。女性のバストや男性のシンボルがモチーフのドローイングは、ユーモラスでちょっとエロティック。


山瀬まゆ×Emi Miyashita 『PLAY TOGETHER』

イメージも匂いもスイート
酒井景都×micarina 『TOY GIRL IN SUDNESS』

酒井景都は1982年生まれのデザイナー、モデル、ミュージシャン。1996年雑誌『オリーブ』でモデルデビュー。慶応大学在学中の2002年にオリジナルブランド『Made in COLKINIKHA』を立ち上げ、デザイナーとしても知られる。micarinaはガーリィなモチーフとやさしい色調のアイシングクッキーでファンが多いお菓子作家。今回は酒井景都が描いた絵をmicarinaがクッキーで再現。女の子のまわりには、フルーツ、動物、スイーツ、ボウタイなどが。

酒井景都×micarina『TOY GIRL IN SUDNESS』
ファッションについて考える
片山真理×Ethical Fashion Japan『tools』

片山真理は2005年、群馬青年ビエンナーレ ’05 の奨励賞(群馬県立近代美術館)受賞をきっかけに制作をはじめた美術家。2012年アートアワードトーキョー丸の内 2012 グランプリ受賞。作品制作の他に音楽、モデル、講演なども。Ethical Fashion Japanは日本初のエシカル・ファッションの情報サイト。作品は片山さんのセルフポートレートから。Ethical Fashion Japanでは片山さんのインタビューを発表している。


片山真理×Ethical Fashion Japan『tools』
『3丁目のタマ』がいっぱい
ステレオテニス×うちのタマ知りませんか?

ステレオテニスは80sテイストなアートワークやデザインを手がけるグラフィックデザイナー、アーティスト。イベントにVJとして出演、アパレルブランド とのコラボデザイン、アートディレクションなども。『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』は90年代にテレビで放映されていたアニメ番組。ステレオテニスのロゴのまわりに、タマとそのフレンズがいっぱい。

ステレオテニス×うちのタマ知りませんか?『3丁目のタマ』
母と子供のためのスーツ
えぐちりか×BEAMS 創造研究所
『KANGAROO COAT FOR MOTHER AND KID』

えぐちりかは、電通のアートディレクターで、アーティストとしても国内外で作品を発表する。JAGDA新人賞、ひとつぼ展グランプリ、岡本太郎現代芸術大賞優秀賞受賞、アドフェストブロンズ、D&AD金賞など受賞多数。BEAMS 創造研究所は、BEAMSのクリエイティブ集団。作品は、おなかのポケットにキッズを入れることができるコート。
  


えぐちりか×BEAMS 創造研究所
『KANGAROO COAT FOR MOTHER AND KID』
デジタル女子に注目
草野絵美×GINZA『TOKYO DIGIGIRL』

草野絵美は1990年東京都出身のプロデューサー。17歳の時から原宿界隈でストリートスナップの撮影をし続け、海外メディアを中心に活動。2010年 NY FITミュージアムで行われた”Japan Fashion Now”に作品を出展。昨年はITベンチャーを起業してウェブアプリの制作・デザインを行う。ファッション誌『GINZA』のWEBサイトでWEBやPCをスマート&チャーミングに使いこなすおしゃれな女子を紹介する『TOKYO DIGIGIRL』連載中。コラボ作品はこの連載と同じタイトル。

草野絵美×GINZA『TOKYO DIGIGIRL』
ファッショングラビアなコラボ
谷川夢佳×taki* corporation 『紙袋ガール』

taki* corporation は紙袋作家・アートディレクターの大滝由子と写真家の大滝央子によるリアル姉妹ユニット。紙袋を用いて演出した空間を写真にした独自の世界観で人気。姉妹音楽ユニット ナイアガラ交響楽団としても活動中。谷川夢佳はスタイリストで、アクセサリーブランド Yumekaのデザイナーである。文筆家の甲斐みのり、シンガーソングライティングアニメーターのフレネシ、イラストレーターの山中玲奈、マエダエマの前田エマをモデルに、作りおろしの紙袋をスタイリング、撮影した。

谷川夢佳×taki*corporation『紙袋ガール』
不思議な料理番組
onnacodomo ×南風食堂 『Soup』

南風食堂 は料理ユニット。うまい料理道の探求、「食」の場のプロデュース、雑誌や WEBでのレシピ紹介などを行う。近著に『WHOLE COOKING』(MARBLE BOOKS)、個展に『オオカミと娘』(TRAUMARIS)、『流れる』(成安造形大学ギャラリーキューブ)など。onnacodomoはミュージシャンのDJ Codomo、アニメーション作家のせきやすこ、イラストレーターの野口路加の3人による異色のVJユニット。『Soup』は、食材が勝手にお鍋に飛び込んだりする不思議な料理番組映像作品。

onnacodomo ×南風食堂『Soup』
世界を編み包む
力石咲×TASKO

力石咲は毛糸を武器に世界を編み包むハイパーニットクリエイター。ミッションは世界を温かくつなげること。2004年文化庁メディア芸術祭アート部門推薦作品、学生CGコンテストインタラクティブ部門最優秀 賞受賞。2009年ゴールドコーストでの創作活動をきっかけに出会った人を編む・空間を編むといった「世界を編み包む」をスター ト。TASKOは舞台制作・機械製作・デザイン・マネジメントの専門家の集団。『パルコ パート1』エントランスでの展示では、iPhone、宇宙服、地球をモチーフにしたニット作品を展示。

力石咲×TASKO