Book of the Year 2013
今年最高の本!

(2013.12.04)

新刊に絶え間なく熱い視線を送る、新聞・雑誌の書評担当者の投票で決める「今年最高の本!」。雑誌『ダカーポ』の頃からの人気企画を、2013年もデジタル版にてお送りします。読み応え抜群の「とっておきの本」に、きっと出会えるはず!

謎のベールに包まれた独立国家! その素顔に迫る。

A 年の瀬も迫り、今年もWEB版「今年最高の本!」の季節がやってきました!早いもので、WEBでの発表も今回で3回目になります。

B すっかり恒例となりましたね。今回も新聞・雑誌の書評担当の方にそれぞれ5冊ずつ、高評価の本をアンケート形式で挙げていただきました。

A、B、C ご協力いただいた皆様、今年もありがとうございました!

C 今回のアンケートを読ませてもらったんだけど……本当にバラエティー豊富でビックリ! 本のスペシャリストの方が選んでいるだけあって、よくある「売上ランキング」とは一味もふた味も違ったラインナップになりました。

B 例年以上に票が割れた印象ですね。社会に鋭くメスを入れるノンフィクションや評論から、心温まる小説、写真集、アート論、アイドル論まで、ありとあらゆるジャンルの本が挙がっています。

A あえて一つだけ特徴を挙げるとすれば、去年に比べて全体的に小説作品が減り、その一方でノンフィクション作品が増えているといったところでしょうか。ただノンフィクションと一口に言っても、国内問題だけでなく国際問題、また、現在進行形の問題へのルポルタージュから過去の歴史の検証まで、取り上げるテーマや手法もさまざまです。非常に幅広い分野で良書が誕生しているようですね。

C ランキング争いも相当、熾烈なものに……と言いたいところだけど、一冊だけ、ダントツの得票数だったね!

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B それでは発表します。2013年「今年最高の本!」第1位は……渾身のルポルタージュ作品、高野秀行さんの『謎の独立国家 ソマリランド』です!おめでとうございます。本書は、講談社ノンフィクション賞も受賞しています。

A まず、「ソマリランド」について説明しないといけないですね。アフリカ大陸の東の端「アフリカの角」と呼ばれる場所に、ソマリア連邦共和国という国があります。北部はイギリスに、南部はイタリアに統治されていましたが、南北とも1960年に独立、統合して独立国となりました。しかし91年に内戦が勃発、北部地域は独立を宣言し「ソマリランド共和国」を自称するようになります。国際的には、ソマリランドはソマリア連邦共和国の一部とみなされており、独立国としての承認は受けていません。

B ソマリア内戦は熾烈を極め、映画『ブラックホーク・ダウン』(2001年)でもその様子が描かれました。今も完全な和平には至っておらず、ソマリランドのほかにプントランドという国も独立を宣言しています。沿岸地域では海賊行為が問題となっているなど、とにかく治安の悪さが指摘される地域ですね。

C そんなソマリア・ソマリランドに単身乗り込んでいったのが、ノンフィクション作家の高野秀行さん。早稲田大学探検部時代の冒険を『幻の怪獣・ムベンベを追え』に綴って作家デビュー。以来、ミャンマー、アマゾン、シルクロードなど、世界中の「辺境」を旅し続けてきました。

A そのバイタリティーには、本当に感服しますね。本書の紹介に「終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている独立国があるという。果たしてそんな国が本当に存在しえるのか?事実を確かめるため、著者は誰も試みたことのない方法で世界一危険なエリアに飛び込んだ──。」とあるように、ソマリの社会についても自分の目で確かめてみたい!という強い想いが伝わってくる一冊でした。

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B 『週刊ポスト』の書評担当さんは「武装地域の中にある知られざる平和国家に飛び込むという危険な行為自体にまずは敬意を表したい。柔らかな文体は読みやすいが、その端々から『現地に行って、自分の目で確かめないと真実は語れない』という確固たる信念が伝わってくる秀作である」と太鼓判を押します。また、『ソトコト』の小西威史さんは「そこで暮らす人々の様子を描写していく圧倒的なパワー。ソマリアで何が起きているのか、日本の戦国時代になぞらえる分析も、相手の懐に入り込んだ著者だからできること。これぞルポの快作」と、独自の視点・分析を高く評価されています。

C 海外ルポって、どこか重厚で、ハードボイルドな印象を抱きがちだけど、高野さんはすごく自然体というか、現地に溶け込んで取材しているというのが印象的だったなぁ。

A 『PRESIDENT』編集部さんも「大部の労作ながら、読み手に読了を押しつけるのではなく、あくまで読書を楽しんでもらおうというつくりがすばらしいと思いました」とおっしゃっていますね。『文藝春秋』の前島篤志さんは「当代体当たり冒険ルポの第一人者、というか、凄腕の人間ハンターと呼ぶべきか。難民キャンプやテロ頻発地帯でも、出来うる限り肩の力を抜いて、低い目線を保つのが著者の真骨頂。ニホンとはずいぶん違うソマリの人々のキモを見事に生け獲りにしている」と、その取材力に舌を巻いています。

B 520ページに及ぶ超大作ですが、オドロキの連続で一気に読めちゃう!世界観が変わる一冊といえるでしょう。


『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
発表!新聞・雑誌の書評担当者が選んだ2013年最高の本ランキング!
 1位  『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
2位 『HHhH』/ローラン・ビネ 著・ 高橋啓 訳/東京創元社/2,730円
2位 『流星ひとつ』/沢木耕太郎/新潮社/1,575円
4位 『自殺』/末井昭/朝日出版社/1,680円
5位 『キャパの十字架』/沢木耕太郎/文藝春秋/1,575円
5位 『去年の冬、きみと別れ』/中村文則/幻冬舎/1,365円
7位 『一路 上巻・下巻』/浅田次郎/中央公論新社/各1,680円
7位 『「AV女優」の社会学』/鈴木涼美/青土社/1,995円
7位 『血盟団事件』/中島岳志/文藝春秋/2,205円
7位 『国境【完全版】』/黒川創/河出書房新社/3,780円
7位 『さようなら、オレンジ』/岩城けい/筑摩書房/1,365円
7位 『聖痕』/筒井康隆/新潮社/1,470円
7位 『想像ラジオ』/いとうせいこう/河出書房新社/1,470円
7位 『ぼくがいま、死について思うこと』/椎名誠/新潮社/1,365円
7位 『ラッセンとは何だったのか?――消費とアートを越えた「先」』/原田裕規 編著/フィルムアート社/2,310円

 

斬新かつ前例のない歴史小説、
奇跡のノンフィクション

A 続いて、第2位の発表。ここからは票が分散し、かなりの接戦となっています。

B 2位は同率で2作品がランクイン。まず1冊目は、フランス人作家ローラン・ビネさんの歴史小説『HHhH』です。海外作品(訳書)のランクインは、2011年刊行の『スティーブ・ジョブズ』以来となりますが、本格的な海外歴史小説はこの作品が初めてとなります。

C この『HHhH』というタイトル、すっごく意味深ですね。

A 舞台は1942年、第二次世界大戦中のチェコ・プラハ。ナチス統制下で実際に起きた暗殺事件をテーマにしています。

B 暗殺のターゲットとなったのは、ナチスの秘密警察を束ねる国家保安本部長官、ラインハルト・ハイドリヒ。ユダヤ人大量虐殺の実質的な首謀者であり、「金髪の野獣」と恐れられていました。『HHhH』とは、ドイツ語で「Himmlers Hirn heißt Heydrich(ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる)」のこと。当時、ナチス親衛隊(SS)のトップにあたり、ハイドリヒの上官でもあったハインリヒ・ヒムラーは、ハイドリヒなしでは出世しえなかっただろうとナチス内部では言われていたようです。

A そんなハイドリヒを暗殺しようとしたのが、祖国を追われた元ポーランド軍人の青年たちでした。当時、チェコに赴任していたハイドリヒを、二人の青年が追う形でストーリーは進んでいきます。登場人物がみな実名で登場してくることに、海外でも非常に大きな反響があった作品です。

B 『文藝春秋』の前島さんによれば、「ゲシュタポ高官の暗殺計画という題材に挑む、若きフランス人作家――。それは同時に、歴史を書く、小説を書くとは何か、という問いでもある。ハードなテーマを軽妙な語り口で乗り切って、鮮やかな印象を残す」とのこと。歴史小説のありかたそのものを問うような、スケールの大きさを感じますね。

C 『AERA』の三島恵美子さんも、「タイトルよし、装丁よし、手法よし。歴史とはなにか、小説とは何かを体験できる唯一無二の傑作」と大絶賛です。とてもシビアなテーマだけど、それだけ奥が深そう。休みを使ってじーっくり読み込んでみたいな。

B (挫折しないで読みこなせるかしら……?)


『HHhH』/ローラン・ビネ 著・ 高橋啓 訳/東京創元社/2,730円

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A 同率の第2位、もう一冊は話題作の登場です。沢木耕太郎さんの『流星ひとつ』。今年、亡くなった元歌手で、宇多田ヒカルさんの母でもある藤圭子さんの素顔に迫る一冊です。

C 沢木さんってずっと昔に藤さんをインタビューしていて、その時のことを今回まとめて本にしたんだよね。何でもインタビュー当時、二人はかなり親密な関係にあったのではというウワサも……。

B まったく、芸能ネタにだけは詳しいのね(笑)。ウワサはさておき、本書は聞き手(沢木さん)と語り手(藤さん)の真剣勝負の会話だけで構成されており、地の文はまったくありません。対話の中から「歌手・藤圭子」の真実に迫るという、迫真のノンフィクション作品です。

A インタビューはお二人がまだ若かった1979年に行われており、一度はお蔵入りとなっていたわけだから、まさに「幻の一冊」と言えますね。『PRESIDENT』編集部さんも「著者が31歳のときに書き上げ、30年以上封印されていた藤圭子へのインタビュー。帯にある『奇跡のノンフィクション』は大袈裟ではないと思いました」と、この作品の意義を高く評価されています。

B 『AERA』の三島さんは「藤圭子というひとりの『人間』の肖像を、地の文のない会話文のみで、見事に描ききった一冊。新しい手法を模索し、結局お蔵入りになっていた原稿が、このタイミングで世に出たわけだが、34年前から、どんな手法を用いようと良くも悪くも沢木耕太郎は『沢木耕太郎』という作家として完成していたことにも感心した。これも才能」と、感激することしきりです。

A 2位の2作品は、ジャンルは全く異なっているとはいえ、小説・ノンフィクションの新たな手法を模索したエポックメイキング的な作品だと言えそうですね。


『流星ひとつ』/沢木耕太郎/新潮社/1,575円

 

「自殺3万人時代」の、やさしい処方箋

A 続いては第4位。この本も現実を描いたノンフィクション……というよりは、自らの体験も交えたエッセイです。「伝説の編集者」とも呼ばれた末井昭さんの『自殺』がランクイン!

B 末井さんはさまざまなエピソードを持った方ですが、幼少の頃、お母様が不倫相手とダイナマイトで心中するというショッキングな体験をされています。その原体験を振り返りながら、「年間自殺者3万人」という日本の現実について向き合った本です。

C 末井さんは約2年間、自殺についてのブログを書き続けており、それが今回書籍化されました。もともとあったコンセプトは、「面白く読める、自殺の話」。この難しいテーマに、末井さんは悩みながらも自殺という現実に向き合い、想いを書き続けてきました。

A 『月刊宝島』の高岡洋詞さんは「年間3万人が自殺する世にひっそりと問われた良書。『自殺する人は弱い』などと言われがちだが、その行動自体の是非を性急に問うことなく、やさしい語り口で自然と『もうちょっと、がんばってみようか』という気にさせてくれる。自らの弱さ、愚かさ、『正しくなさ』を知る本当の大人の文章だと思った」と、末井さんの優しい文体に大いに感化されたそうです。

C 『AERA』編集部・三島さんも「笑える自殺の本にしよう、と思いながら著者の末井昭さんはこの本を執筆したと書いているけれど、笑えないです……。死に向かう人の負のパワーの強さに圧倒されてしまい、何度もページをめくる手が止まった。でも、優しくて、弱くて、泥臭い、末井さんの姿はとても人間臭い。迷っていても迷っていなくても、不思議と読後感は生きていこうという力がもらえます」と、やはり、読後に「生きていく前向きさ」を感じられたみたいですね。

B 自殺はタブーではなく、もっと身近に考えるべき話題なのかもしれませんね。ただ、「自殺は絶対ダメ。なくさないといけない」という単純な正義感ではなく、自殺という問題に寄り添ってみるという視点が大事だと、この本は訴えかけているような気がします。

C うーん、難しい。目をつむっちゃいけない問題だけど……。明日、何をしようとか、何を食べたいとか、そんなことばかり気になっちゃう!

A、B 少なくともあなた自身は、大丈夫ね。


『自殺』/末井昭/朝日出版社/1,680円

 

謎を解くドキドキ感は、
最高の起爆剤!

C さて、第5位の発表といきましょう。ここでもまた、同率で2作品がランクインしました。

A まず第1作品目は『キャパの十字架』。沢木耕太郎さん、2作同時ランクインの快挙です!

B 第17回司馬遼太郎賞にも輝いた本作では、戦場カメラマンとして名高いロバート・キャパがスペイン内戦時に撮影した『崩れ落ちる兵士』という1枚の写真を徹底的に検証しています。写真が撮られた場所はどこで、誰を写したのか。そもそも本当に兵士が撃たれた瞬間を撮影した写真なのか、そして、この写真を撮ったのは本当にキャパだったのか……。キャパの恋人だったといわれる女性カメラマン、ゲルダ・タロー(この写真が撮られた翌年、戦場で死亡)をカギとして、その謎に迫ります。

A 世界的にも有名なこの報道写真について、驚くべき結論が示されており、全世界から高い関心を集めました。NHKと共同で沢木さんがこの謎に迫るドキュメンタリー番組も制作・放送されましたね。

C 『サンデー毎日』の佐藤恵さんは「圧倒的なノンフィクション。一歩ずつ『真実』に迫る筆致は著者ならでは。息もつかずに一気読みした」と、その興奮を語っています。たった1枚の写真に、こんな複雑な背景があっただなんて……ドキドキものですね!

B 『文藝春秋』の前島さんは、「「世紀の一枚」の謎にじっくり迫っていく、まさに「横綱相撲」。読み終えて、一枚の写真をとことん旅する=凝視するという、新しい『紀行ノンフィクション』であったことにも気付く」と、沢木さんの斬新な手法を喝采しています。

A 沢木さんは今年、2つのまったく違う分野で、それぞれに新しいノンフィクションのあり方を示してくれました。そのことが、本のプロの間でも高く評価されていることがうかがえます。


『キャパの十字架』/沢木耕太郎/文藝春秋/1,575円

***

C 第5位のもう一作品で、ようやく、フィクションの作品が登場! 中村文則さんの『去年の冬、きみと別れ』。ライターである「僕」が猟奇殺人事件の裏に隠された謎に迫る、ミステリー小説です。

A 「僕」は事件の犯人とされる被告の写真家と面会しますが、その写真家の発言がどうもおかしい。自らの作品性に行き詰まりを覚え、燃え上がる生身の人間が撮りたいがために2人の女性を焼死させたというのです。「僕」はその後も、事件の資料を追いかけ、思いもかけない事実に突き当たります。

B 事件の謎に迫る中で、写真家の姉や弁護士、人形師といった人物が次々に登場してきますが、皆、何かしらの「狂気」を秘めており、非常にスリリングな展開に発展していきます。

C 北海道新聞の書評担当さんも「こんな形の小説もあるのか、と。最後までドキドキしました」とビックリした模様。「最後の最後に犯人がわかったときは心底驚いた。これまで味わったことのない読後感で、その余韻がいまも尾をひく」とは、『週刊朝日』の書評担当さん。

A ドンデン返しも一級品! ハラハラドキドキすること間違いなしの一冊です。

B はぁ~、私ももっと刺激的な、ドキドキするような恋がしてみたいわ……。

C ……B子の妄想にはついていけないわ~。


『去年の冬、きみと別れ』/中村文則/幻冬舎/1,365円

 

「血盟団事件」から「AV女優」まで、研究のフィールドは無限大

A  さてここからは、第7位の発表です。なんと7位には、9本もの作品が一挙ランクイン!! ドドーンと、一気にご紹介と行きましょう!

B まずは浅田次郎さんの『一路 上巻・下巻』。大作家渾身の一作ですね。舞台は江戸時代末期、西美濃の交代寄合・蒔坂家の参勤交代道中を、19歳の若者・一路の苦難と成長を交えて描いています。『読売新聞』文化部・文芸担当の村田雅幸さんは「エンターテインメント小説の『お手本』とも言うべき快作だ。ロードノベル、陰謀小説、組織論、人生論とも読める懐の深さを持つ。さらに驚かされるのは、一路らが道中ですれ違う人物たちが、わずか数ページしか登場しないにもかかわらず、彼らの歩んできた人生から、これからまでも想像させるように描かれていること。名手・浅田次郎のテクニックと、あの手この手を使って読者を存分に楽しませようという心意気を満喫できる長編と言えるだろう」と推奨されています。

C 参勤交代を描いた時代物って、今までにありそうでなかった設定で新鮮だね。ドラマ化・映画化されたら面白そう! 主演は誰かしら……ニノとか?


『一路 下巻』/浅田次郎/中央公論新社/各1,680円
『一路 上巻』/浅田次郎/中央公論新社/各1,680円

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A さあね(笑)。続いてのご紹介は、その名もズバリ『「AV女優」の社会学』!

B あらあら、とっても刺激なタイトルじゃない、ウフフ。

C いえいえ、内容は至ってまじめな学術書ですよ! 著者の鈴木涼美さんは、東大大学院学際情報学府修士課程修了後、本作でデビュー。現役AV女優やAV制作現場への取材を通して、「性を商品化することの意味」を丁寧に探究する一冊となっています。

A 『朝日新聞』の鈴木京一さんは、「『面接』の現場に焦点を当て、AV女優が作られる過程をたどる。著者は83年生まれ。「性の商品化」云々の議論を超え、『ブルセラ』の当事者世代による研究書が現れたのだなあ、と感慨深い」と振り返られています。著者の鈴木涼美さんは、ご自身が中高生の時に宮台真司さん(社会学者、首都大学東京教授)のブルセラに関する著作を読んでいたそうですから、まさに、研究対象の当事者世代から研究者が出たことになります。

B 性に関する社会学もいまやすっかり定着し、進化を遂げているということよね。


『「AV女優」の社会学』/鈴木涼美/青土社/1,995円

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B 一転して、次にご紹介する一冊は『血盟団事件』。C子は学生時代、日本史を履修していたはずだけど覚えているかしら。

C うーんと……名前だけは記憶にあるような……。

B 血盟団事件というのは1932年に発生した右翼テロ事件のこと。首謀者・井上日召が率いる血盟団は、当時の政界・財閥のトップの暗殺を企てた。陸軍・海軍の人間にも呼びかけて性急な国家改造をしようとしたけど、結局軍の人間は呼応せず、二人を暗殺したところで血盟団は全員が逮捕されたわ。

A この事件を取り上げた本書について、『日本経済新聞』の郷原信之さんは「昭和初期の煩悶青年たちが理想社会の実現を目指してテロに走る。彼らの心のひだにまで分け入った迫真のノンフィクション。80年前に起きた事件とはまるで思えない現代性を感じさせる」と、現代社会と通じる「空気」を指摘。これも、読み応え満点の一冊みたいですね。私からももう一冊。黒川創さんの『国境【完全版】』は、明治から昭和にかけての時代をテーマにした文学論です。夏目漱石と満州の関係、森鷗外と日露戦争の関係といった、文学と歴史の「失われた輪(ミッシングリング)」を探り当てようという試みとのこと。1998年に出版した同名の書を、加筆復活させた一冊です。

C 『東京新聞』文化部の大日方公男さんは「国家が決めた境界をめぐって昨今の日本でも悶着が続いている。民族や文化圈や言語や地理的風土によって区切られた境界は、かつてはそこそこ曖昧で拡張や縮小を繰り返した。国境はまた異文化や戦争や植民地を背景にして物語やドラマが生まれる場所でもある。漱石や鷗外、チェーホフやスティーブンソン、井伏鱒二や金達寿などの作家たちが国境の移動や越境のなかでどんな言説を残し、物語を紡いだかを取材や史料で隈取った文芸評論集。作家である著者も前作『暗殺者たち』などで、文化や言葉の内と外の温度差を探っている」とコメント。日中、日韓では今、国境問題が最もホットな話題ですから、そこから新しい物語が生まれてくる可能性もあるかもしれませんね。


『血盟団事件』/中島岳志/文藝春秋/2,205円
 

『国境【完全版】』/黒川創/河出書房新社/3,780円

バブル期に大流行した「あの絵」と、アートのフクザツな関係

A どんどん行きましょう。『日経WOMAN』編集部の行武知子さんがイチオシしてくれた一冊が『さようなら、オレンジ』。オーストラリアに逃れてきたアフリカ難民の女性が、孤軍奮闘働きながら子供を育てていくというヒューマンドラマです。

B 行武さんは「日本に住み、暮らしているだけでは知らなかった『状況』についての小説というテーマ性、主人公がアフリカ内戦から命からがらオーストラリアに来た女性なのに、その気心の動きがまるで自分の心の動きのようにも感じられる文章。どんな状況にいても、言葉を獲得していけることの素晴らしさを再認識させられました。個人的な感動度合で1位です」と大絶賛。「いかに生きていくべきか」というストレートな問いに、真正面から向き合える一冊として評判も上々のようですね。

C 続いては、筒井康隆さんの『聖痕』。朝日新聞に連載された小説ですが、これがまた、刺激度満点の挑戦作ですね! なにせ、主人公の貴夫が、あまりに美しいがゆえに、幼少期にペニスと睾丸を切り取られてしまった、というところから物語がスタートします。

B いやあ、かわいそう!

C でも彼は、美しく心穏やかに成長し、逆に周囲の人々のさまざまな欲望が彼の周りで渦巻き始める……と、人間の「業」が描かれていくのです。『週刊文春』の長谷川恭平さんも「象徴的に性欲・リビドーが欠落してしまった主人公が、『官能に汚染されていない』ただ一つの美である美食の道へと進み、性欲に囚われ続ける衆愚の上に立つ『聖人』となるまでが描かれる。震災後を見据えた、著者自らの未来予測が作中で表明されていると同時に、古語を多用した文体を駆使し、コロコロと視点を切り変えるなど、小説作法の束縛から解かれた実験的な筒井節も愉しい」と、大変満喫されています。

A 筒井さんは今年で79歳になられましたが、常に新たなスタイルを創作しようという意欲はいささかも衰えていません。まさに、古豪健在、といったところですね。


『さようなら、オレンジ』/岩城けい/筑摩書房/1,365円

『聖痕』/筒井康隆/新潮社/1,470円

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C 小説家、編集者、そしてラッパーと、幅広い分野で長年活躍されてきたいとうせいこうさんもランクインです。『想像ラジオ』は東日本大震災をテーマとした小説で、第35回野間文芸新人賞も受賞しました。

B 『ダ・ヴィンチ』編集長の関口靖彦さんは、「鎮魂とは何か。死者を思うとはどういうことか。震災後、われわれに最も必要なのに、出来ていない行為について、『想像』というキーワードを提示してくれた」と推奨しています。震災からもうすぐ3年。テレビドラマ『あまちゃん』もそうでしたが、あの震災を直接・間接に取り上げる「震災後文学」も増えてきているように感じます。

A 残るは2冊。椎名誠さんの『ぼくがいま、死について思うこと』は、タイトルの通り「死」をテーマに、さまざまな角度から考えを巡らせ綴っています。世界の旅先で知った葬儀について数多く触れられている点も、旅する作家・椎名さんらしさが出ていますね。

C 『夕刊フジ』の書評担当さんは、「長年氏の著作を読んできたが、はじめてというほど、シリアスな人生への考察と老境の心境が素直に語られていて、驚きがあった。チベットの鳥葬の描写などはショッキング」と寄せています。長年の椎名ファンの方にとっては、今までの著作とは違った発見も期待できる一冊ではないでしょうか。


『想像ラジオ』/いとうせいこう/河出書房新社/1,470円


『ぼくがいま、死について思うこと』/椎名誠/新潮社/1,365円

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B 第7位最後の一冊は、『ラッセンとは何だったのか?――消費とアートを越えた「先」』です。これは多数の美術家・批評家の手によるアート論ですね。

A クリスチャン・ラッセンと言えば、何といっても幻想的なイルカやクジラの絵で有名ですね。日本では特にバブル期の頃、大ブームとなりました。

B 本書ではこれまで美術界ではあまり分析が加えられてこなかったラッセンについて、さまざまな角度から検証を加えることによって日本美術の「ラッセン前」「ラッセン後」のありかたを見つめ直してみようというのがコンセプトとなっています。

C 『週刊アスキー』の書評担当さんによれば、「誰もが知っていて、バブル期には売れに売れたのに、美術界からは忌み嫌われるラッセン。ラッセンを通してアートとは何かを考察するという矛盾とも思える視点がおもしろい。大衆が求めるアートとアーティストの考える芸術性の乖離、美術界のタブー、イルカに象徴されてしまうヒューマニズムなど、ラッセンひとつで多彩な切り口があって楽しめる」とのこと。なるほど、ラッセンさんの絵って美術界では敬遠されていたんですね。

A そうみたいですね。『週刊文春』の長谷川さんは「編著者の原田裕規氏は昨年『ラッセン展』という展覧会をおこなった美術家であり、寄稿者には千葉雅也、加島卓ら15名の批評家が名を連ねている。内容は多岐に亘るが、特に、斎藤環や大野左紀子による郊外・ヤンキー文化、そして消費社会という文脈でラッセンをとらえた論考が白眉。全体として、アートの文脈にラッセンを組み込むといった単純な解決法をとらず、あくまでも消費カルチャーの中でその意義を見いだそうとする姿勢に好感を持ちました」と言っています。「売れる絵」と「アート」、そして「消費カルチャー」の相関関係について考えてみるという視点は、確かに新鮮さを感じますね。

B 私たちのように出版やデザインに関わる人間にとっても、他人事ではないわね。

A・C うんうん。

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『ラッセンとは何だったのか?――消費とアートを越えた「先」』/原田裕規 編著/フィルムアート社/2,310円
夢物語ではない、現実の中の「生と死」に向き合うこと

A さて、ここまでお送りしてきました「今年最高の本2013」、いかがだったでしょうか。

C 私は、登場する書籍があまりに多種多彩で、すっかりおなか満腹な感じです!

B まったく。とはいえ、いつにもましてバラエティー豊富だったのは確かね。ひとつ感じたのは、「生と死」を真正面から取り上げている本が比較的多かったということかな。シリアスで、なかなか触れにくい話題なのかもしれないけれど、それぞれの作家さんがそれぞれの持ち味を生かして、自分なりのスタイルで書き切っているというのがとても印象的でした。

A そうですね。あとは冒頭でも触れましたが、ノンフィクションの良書が多数登場しており、またフィクションも、どこかしら現実の世界をモチーフにしている作品が多かったように感じます。それだけ今の現実に、本に書き伝えていくべきテーマが多いということなのではないでしょうか。夢物語だけでは語れない、厳しい現実を内包した社会を、私たちは逆に本を通じて知りたがっているのかもしれませんね。さあ来年は、どんな本が私たちを楽しませてくれるのでしょうか。それではまた、1年後の年の瀬に会いましょう!

新聞の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

朝日新聞

  1. 『「AV女優」の社会学』/鈴木涼美/青土社/1,995円
  2. 『宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた』/あさりよしとお/学研マーケティング/1,365円
  3. 『アイドルのいる暮らし』/岡田康宏/ポット出版/1,575円
  4. 『安部公房とわたし』/山口果林/講談社/1,575円
  5. 『犬の伊勢参り』/仁科邦男/平凡社/840円

東京新聞

  1. 『国境【完全版】』/黒川創/河出書房新社/3,780円
  2. 『昭和の貌――≪あの頃≫を撮る』/麦島勝 写真・前山光則 文/弦書房/2,310円
  3. 『フランシス子へ』/吉本隆明/講談社/1,260円
  4. 『自然災害と民俗』/野本寛一/森話社/2,730円
  5. 『混浴と日本史』/下川耿史/筑摩書房/1,995円

日本経済新聞

  1. 『血盟団事件』/中島岳志/文藝春秋/2,205円
  2. 『近代世界システムⅣ』/I.ウォーラーステイン 著・川北稔 訳/名古屋大学出版会/5,040円
  3. 『巨鯨の海』/伊東潤/光文社/1,680円
  4. 『少し不思議。』/天久聖一/文藝春秋/1,575円
  5. 『カテリーナの旅支度――イタリア二十の追想』/内田洋子/集英社/1,680円

北海道新聞 ※順不同

  • 『民族衣装を着なかったアイヌ──北の女たちから伝えられたこと』/瀧口夕美/編集グループSURE/2,625円
  • 『がん治療で殺されない七つの秘訣』/近藤誠/文藝春秋/819円
  • 『去年の冬、きみと別れ』/中村文則/幻冬舎/1,365円
  • 『七帝柔道記』/増田俊也/角川書店/1,890円
  • 『目撃者』/エルンスト・ヴァイス 著・瀬野文教 訳/草思社/2,940円

夕刊フジ

  1. 『ぼくがいま、死について思うこと』/椎名誠/新潮社/1,365円
  2. 『ペット探偵は見た!』/藤原博史/扶桑社/1,365円
  3. 『東海道五十三次「食」ウォーキング』/幕内秀夫/講談社/940円
  4. 『内海桂子九十歳アイアンボディの秘密』/内海桂子/祥伝社/1,365円
  5. 『あの日、僕は旅に出た』/蔵前仁一/幻冬舎/1,575円

読売新聞 (文芸担当)

  1. 『一路 上巻・下巻』/浅田次郎/中央公論新社/各1,680円
  2. 『ゼツメツ少年』/重松清/新潮社/1,680円
  3. 『祈りの幕が下りる時』/東野圭吾/講談社/1,785円
  4. 『島はぼくらと』/辻村深月/講談社/1,575円
  5. 『恋歌』/朝井まかて/講談社/1,680円
総合週刊誌の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

AERA

  1. 『HHhH』/ローラン・ビネ 著・ 高橋啓 訳/東京創元社/2,730円
  2. 『自殺』/末井昭/朝日出版社/1,680円
  3. 『ネコライオン』/岩合光昭/クレヴィス/1,890円
  4. 『流星ひとつ』/沢木耕太郎/新潮社/1,575円
  5. 『松居直と『こどものとも』――創刊号から149号まで』/松居直/ミネルヴァ書房/2,940円

サンデー毎日 ※順不同

  • 『美しい心臓』/小手鞠るい/新潮社/1,470円
  • 『キャパの十字架』/沢木耕太郎/文藝春秋/1,575円
  • 『野心のすすめ』/林真理子/講談社/777円
  • 『燃える闘魂』/稲盛和夫/毎日新聞社/1,575円
  • 『3.11 キヲクのキロク、そしてイマ。』/NPO法人20世紀アーカイブ仙台/2,100円

週刊朝日 ※順不同

  • 『ルポ虐待――大阪二児置き去り死事件 』/杉山春/筑摩書房/882円
  • 『永続敗戦論――戦後日本の核心』/白井聡/太田出版/1,785円
  • 『去年の冬、きみと別れ』/中村文則/幻冬舎/1,365円

週刊アスキー ※順不同

  • 『アルゴリズムが世界を支配する』/クリストファー・スタイナー 著・永峯涼 訳/角川書店/1,680円
  • 『宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで』/岡江晃/亜紀書房/2,520円
  • 『ラッセンとは何だったのか?――消費とアートを越えた「先」』/原田裕規 編著/フィルムアート社/2,310円
  • 『ウェブ社会のゆくえ――< 多孔化>した現実のなかで』/鈴木謙介/NHK出版/1,050円
  • 『ジャニ研!――ジャニーズ文化論』/大谷能生、速水健朗、矢野利裕/原書房/1,680円

週刊現代 ※順不同

  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『10・8 巨人VS中日 史上最高の決戦』/鷲田康/文藝春秋/1,785円
  • 『ヘンな日本美術史』/山口晃/祥伝社/1,890円
  • 『リバース』/中村啓/SDP/1,680円
  • 『赤と白』/櫛木理宇/集英社/1,365円

週刊文春

  1. 『聖痕』/筒井康隆/新潮社/1,470円
  2. 『暗殺者たち』/黒川創/新潮社/1,680円
  3. 『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』/渋谷直角/扶桑社/1,155円
  4. 『ラッセンとは何だったのか?――消費とアートを越えた「先」』/原田裕規 編著/フィルムアート社/2,310円
  5. 『演劇最強論』/徳永京子、藤原ちから/飛鳥新社/2,310円

週刊ポスト ※順不同

  • 『永山則夫――封印された鑑定記録』/堀川惠子/岩波書店/2,205円
  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『神の島 沖ノ島』/藤原新也、安部龍太郎/小学館/2,940円
  • 『ホテルローヤル』/桜木紫乃/集英社/1,470円
  • 『沈むフランシス』/松家仁之/新潮社/1,470円
総合月刊誌の書評担当者が選ぶ、最高の本ランキング

WiLL ※順不同

  • 『11/22/63 上巻・下巻』/スティーヴン・キング 著・白石朗 訳/文藝春秋/各2,205円
  • 『古本の時間』/内堀弘/晶文社/2,310円
  • 『クレイジー・ライク・アメリカ――心の病はいかに輸出されたか』/イーサン・ウォッターズ 著・阿部宏美 訳/紀伊國屋書店/2,100円
  • 『賢者は幸福ではなく信頼を選ぶ』/村上龍/KKベストセラーズ/1,400円
  • 『5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?』/佐々木紀彦/東洋経済新報社/1,260円

月刊宝島 ※順不同

  • 『ヒップホップの詩人たち』/都築響一/新潮社/3,780円
  • 『上岡龍太郎 話芸一代』/戸田学/青土社/2,310円
  • 『ある奴隷少女に起こった出来事』/ハリエット・アン・ジェイコブズ 著・堀越ゆき 訳/大和書房/1,785円
  • 『自殺』/末井昭/朝日出版社/1,680円
  • 『いしいしんじの本』/いしいしんじ/白水社/1,995円

新潮45 ※順不同

  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『なめらかな社会とその敵』/鈴木健/勁草書房/3,360円
  • 『流星ひとつ』/沢木耕太郎/新潮社/1,575円
  • 『未明の闘争』/保坂和志/講談社/1,995円
  • 『物語岩波書店百年史 2――「教育」の時代』/佐藤卓己/岩波書店/2,520円

ソトコト

  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『英国一家、日本を食べる』/マイケル・ブース 著・寺西のぶ子 訳/亜紀書房/1,995円
  • 『本屋図鑑』/得地直美、本屋図鑑編集部/夏葉社/1,785円
  • 『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』/渡邉格/講談社/1,680円
  • 『雲のうえ――一号から五号』/北九州市にぎわいづくり懇話会/西日本新聞社/1,365円

ダ・ヴィンチ

  1. 『想像ラジオ』/いとうせいこう/河出書房新社/1,470円
  2. 『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』/山田詠美/幻冬舎/1,470円
  3. 『人魚のうたがきこえる』/五十嵐大介/イースト・プレス/1,470円
  4. 『昨夜のカレー、明日のパン』/木皿泉/河出書房新社/1,470円
  5. 『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』/アンドリュー・カウフマン 著・田内志文 訳/東京創元社/1,260円

中央公論 ※順不同

  • 『ある殺人者の回想』/勝目梓/講談社/1,680円
  • 『そして、人生はつづく』/川本三郎/平凡社/1,680円
  • 『立花隆の書棚』/立花隆 著・薈田純一 写真/中央公論新社/3,150円
  • 『新・帝国主義の時代 右巻・左巻』/佐藤優/中央公論新社/各1,995円
  • 『キアズマ』/近藤史惠/新潮社/1,575円

日経WOMAN

  1. 『さようなら、オレンジ』/岩城けい/筑摩書房/1,365円
  2. 『スタッキング可能』/松田青子/河出書房新社/1,575円
  3. 『東京百景』/又吉直樹/ワニブックス/1,365円
  4. 『彼女失格』/松さや香/幻冬舎/1,470円
  5. 『昨夜のカレー、明日のパン』/木皿泉/河出書房新社/1,470円

婦人公論 ※順不同

  • 『閉経記』/伊藤比呂美/中央公論新社/1,470円
  • 『アニバーサリー』/窪美澄/新潮社/1,575円
  • 『政と源』/三浦しをん/集英社/1,470円
  • 『考える練習』/保坂和志/大和書房/1,680円
  • 『世界は宗教で動いてる』/橋爪大三郎/光文社/798円

PRESIDENT ※順不同

  • 『午前32時の能年玲奈』/中森明夫/河出書房新社/2,100円
  • 『流星ひとつ』/沢木耕太郎/新潮社/1,575円
  • 『誰も戦争を教えてくれなかった』/古市憲寿/講談社/1,890円
  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『もういちどつくりたい テレビドキュメンタリスト・木村栄文』/渡辺考/講談社/1890円

文藝春秋 ※順不同

  • 『日米衝突の萌芽 1898-1918』/渡辺惣樹/草思社/3,675円
  • 『謎の独立国家 ソマリランド』/高野秀行/本の雑誌社/2,310円
  • 『HHhH』/ローラン・ビネ 著・ 高橋啓 訳/東京創元社/2,730円
  • 『キャパの十字架』/沢木耕太郎/文藝春秋/1,575円
  • 『デモクラシーを<まちづくり>から始めよう』/竹井隆人/平凡社/2,940円