1本のシネマでも幸せになれるために – 2 - ミック、キースたちのライブを至近距離で楽しめる『SHINE A LIGHT』、死ぬまで本気のミュージシャン魂を知れ。

(2008.10.27)

天下のローリングストーンズ様に依頼を受けて、このたびストーンズのライブドキュメント『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』を完成させたのはマーチン・スコセッシ監督。特等席でライブを見る満足度をプレゼントしてくれる。Ⓒ2007 by PARAMOUNT CLASSICS, a Division of PARAMOUNT PICTURES,SHINE A LIGHT, LLC and GRAND ENTERTAINMENT (ROW) LLC.
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そもそも、有名ミュージシャンのライブドキュメントほどつまらないものはなく、ライブはその場で同じ空気を吸ったり、オーラをいただこうとして出かけ、必ずステージ側にエネルギーを100パーセント採られて帰ってきて、それでも行ってよかったーと思うからいいのであり、それを後日に映像で観ても、知識を増やすというメリットしかないのですよね。行けなかったから、チケット取れなかったからという理由で、ライブ映像で我慢するくらいなら、いかに好きなミュージシャンであろうと「食わねど高楊枝」を決め込むか、無視するのが賢かろうと思います。

さて、天下のローリングストーンズ様に依頼を受けて、このたびこの『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(THE ROLLING STONES SHINE A LIGHT)』を完成、公開を果たすマーチン・スコセッシは、さすがにそんなヘマはなさらない監督なんですね。(1983年のストーンズのライブ・ドキュメンタリー映画『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』とも比べてみてくださいね)

アリーナ席といえども、座ることはもはや許されない総立ちで楽しまないといけないコンサート会場はストレスの温床でもあるなか、映画館でラクラク、至近距離すなわち特等席でライブを見る満足度をプレゼントしてくれるのがこの作品です。

アップが続く演奏シーンは、還暦をとっくに越えたミックの顔の『年輪』すなわち、「皺っぷり」や、キースのますますの妖演ぶりを見せつけることにも成功。20世紀の世界的至宝とも言える、最高のグループの生き様をウオッチング出来るから、私もこれまで、本当に生きてて良かった感で一杯。ミックの動きは若いときよりもっと細やかに、関節炎防止風の動きがすさまじく、スコセッシに頼んで少しコマ数を早めて作ってもらってはいないか? と思うほどですよ。

ひょっとしたらミックたち、知らない間に、もうあの世に行っていてゾンビとして蘇り、だからこの先も絶対死なないんじゃないか?と思わされ、そんな彼らの人間離れした存在に圧倒され、もみくちゃにされた久々に感動できた映画です。

ストーンズの最新ライブ映像を撮ってくれた巨匠マーチン・スコセッシ監督にも脱帽。何しろ、単なるライブドキュメントにならないように、18台のカメラをなんと、彼のアカデミー賞作品の撮影監督らを起用してのレベルの高さでチャレンジしたそう。「本気」ロッカーたちと「本物」映画監督の『デス・マッチ』の成果とも言えます。    
そんな『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』から始まり、『サティスファクション』で終わる、ストーンズとスコセッシと一夜を共に出来るこの作品、死ぬまでに観ておかないといけない1本と言えましょう。
他にどんな曲が登場するかは、スコセッシ監督でさえ当日ギリギリまで知らされていなかったそうなので、ここでは私もお教えしないようにします。観てのお楽しみに。

12月5日(金)からTOHOシネマズ六本木ヒルズ他でロードショウ/配給 東北新社
(今だから言えるの、自伝もミック、キース共に11月に仲良く出版とか。読みたいです。太陽と月のように、ドチラが欠けても生きてはいけないかのようなお二人の伝記出版模様ではあります「ミック・ジャガーの成功哲学」「キース・リチャーズの不良哲学」共にP―VINEBOOKSから)

「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」DVD/販売元 東北新社

笑い皺はいつもセクシーなミック様/「ヴェリー・ベスト・オブ・ミック・ジャガー」CD+DVD/販売元 ワーナーミュージック・ジャパン