ワールドシネマ部門に注目!
『東京国際映画祭』の楽しみ方。

(2012.10.17)

映画な1週間がやってくる!
『東京国際映画祭』開幕。

いよいよ10月20日(土)〜28日(日)まで、『第25回東京国際映画祭』(以下TIFF)が開催されます。TOHOシネマズ六本木ヒルズをメイン会場にレッドカーペットならずグリーンカーペットの開幕式で知られています。今年は委員長を務めるロジャー・コーマン、TIFFアンバサダー 前田敦子などはじめ、上映作関連の監督、俳優陣がグリーンカーペット登場予定。10月20日(土)13:30~16:30、会場の六本木けやき坂通り ~ 六本木ヒルズアリーナ周辺で行われます。

TIFFの約1週間の期間中に約80本の映画が上映されます。出品作は6つの主要部門に分けて上映されますので、まずは各部門の特徴を押さえておきましょう。

コンペティション部門……新作(2012年1月以降完成)の長編映画
アジアの風……公開前の最新作、アジア圏の優れた作品
特別招待作品……これから公開される話題作の先行上映
日本映画・ある視点……インディペンデント系日本映画の新作
WORLD CINEMA……世界の国際映画祭で話題になった作品
natural TIFF supported by TOYOTA……エコをテーマにした作品

東京国際映画祭の最高賞「東京サクラグランプリ」は、コンペティション部門から選出されます。昨年グランプリを獲得したフランス映画『最強のふたり』はこの秋公開、現在、大ヒット中なので今年も受賞作はチェックしておきたいですね。今年のコンペティション作品は14本。そのうち8本が、アジア、中東からの出品なのが特徴です。

さらに今年は「WORLD CINEMA」部門に注目です。この部門ではロッテルダム、ベルリン、カンヌ、ヴェネツィア、トロントなど、世界の名だたる映画祭で受賞したり話題になったもの、でもまだ配給が決まっていないものが上映されます。いわば、世界映画祭受賞or話題作品のダイジェストといったところ。

全12作品のエントリーですが、ここでは7本をピックアップしてご紹介いたしましょう。

カンヌ映画祭で受賞の『リアリティ』、
『眠れる美女』の上映も。

映画祭受賞作品としてはまず、カンヌ映画祭グランプリ作品『リアリティ』。’08年『ゴモラ』でカンヌ国際映画祭のグランプリを受賞したイタリアのマッテオ・ガローネ監督の作品。本作はテレビのリアリテイーショーに出演することを夢見る男が、どんどん現実とずれていってしまうお話。

同じくカンヌ映画祭で監督賞を受賞、賛否両論を巻き起こした『闇の後の光』。メキシコの鬼才、カルロス・レイガダスの長編4作目で、時空を超えたストーリー、というか展開……少々難解そうですが、独特の映像美を持つレイガダス監督、期待できそうです。

そしてヴェネチア映画祭コンペティション作品『眠れる美女』。イタリアで実際に起きた尊厳死に関わる実話をイタリアの名匠マルコ・ヴェロッキォ監督が映画化。主演のイザベル・ユペールはカンヌ映画祭でパルム・ドールに輝いた『アムール』にも出演しており、ここに来て再び注目です。

●上映日時
『リアリティー』
10/21(日) 10:20〜、10/23(火) 15:15〜

『闇の後の光』
10/24(水) 15:30〜、10/27(土) 11:20〜

『眠れる美女』
10/25(木) 20:25〜、10/27(土) 14:10〜

 


『眠れる美女』 © Cattleya
若手クリエーターたちが
モンティ・パイソンのグレアム・チャップマン自伝を3Dに。

次に世界の話題作。『ある嘘つきの物語 モンティ・パイソンのグレアム・チャップマン自伝』『スプリング・ブレーカーズ』は若者パワー炸裂の楽しい作品。そして、映画ファンにオススメ『5月の後』『サイド・バイ・サイド』をご紹介しましょう。

『ある嘘つきの物語』は、モンティ・パイソンのグレアム・チャップマン自伝。モンティ・パイソンのキーパーソン、グレアム・チャップマンが生前残した自伝を、平均年令28 歳の若手クリエーター14名が、全編3Dアニメで映像化。モンティ・パイソンの伝統であるブラック・ユーモア、ポップな映像満載。ブラックユーモアな3Dとは、全く新しい世界になっていそうです。

『ミスター・ロンリー』(07)年以来、5年ぶりの新作発表となったハーモニー・コリン監督の『スプリング・ブレーカーズ』。リゾート地で乱痴気騒ぎを繰り広げるギャルたちと、ドラッグディーラのハチャメチャ・ストーリー。でも、ハーモニー・コリン監督らしく社会派な視点も。スパイダーマンで好青年を演じたジェームズ・ブランコの変身ぶりも話題です。

一方、70年代パリの青春ストーリーは、フランス映画『5月の後』。自身が、パリ革命に間に合わなかった若者たちであった『夏時間の庭』のオリヴィエ・アサイヤス監督の自伝的作品です。当時の政治的状況の中で、若者たちが恋愛や、芸術に悩み、挫折し、成長していく物語で、映画への愛が溢れています。監督の自著『5月の後の青春 アリス・ドゥボールへの手紙、1968年とその後』(boid刊)を読んでおくとさらに楽しめるでしょう。

映画の歴史をたどる興味深い作品としては『サイド・バイ・サイド』。キアヌ・リーブスがナビゲーターして、デジタルシネマの現在と未来を探るドキュメンタリーで、マーティン・スコセッシ、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デビッド・フィンチャー、スティーブン・ソダーバーグといった早々たるメンバーが、キアヌの質問に答える、というもの。映画検定受験者、シネフィルは要チェックですね。

映画祭の期間は20〜28日。ワールドワイドな潮流を感じる絶好の機会を逃すことなかれ。
上映スケジュールの詳細はこちらを参考に。

●上映日時『ある嘘つきの物語 モンティ・パイソンのグレアム・チャップマン自伝』
10/26(金) 21:00〜、10/27(土) 17:20〜

『スプリング・ブレイカーズ』
10/21(日)21:35〜、10/24(水) 21:35〜

『5月の後』
10/24(水) 12:40〜、10/28(日) 19:50〜

『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』
10/26 (金)18:00〜


『ある嘘つきの物語 モンティ・パイソンのグレアム・チャップマン自伝』© Liar’s Films Ltd.
『第25回東京国際映画祭』

会期:2012年10月20日(土)~10月28日(日)
会場:六本木ヒルズ(港区)ほか
チケット発売日:10月6日(土)よりticket boardにて一般発売開始
オフィシャルホームページ: http://www.tiff-jp.net

併設マーケット:TIFFCOM2012(10月23日(火)~25日(木)  http://www.tiffcom.jp