フランス映画祭 3月18日(木)〜22日(祝) フランスの風を感じるしあわせな5日間。もうすぐです。

(2010.03.10)

今年もフランス映画祭が開催されます。
上映作品は新しい社会派映画から、名監督の新作、
そしてフランスで感動の波をおこした話題の作品など、
どの映画もフランスのいまやエスプリをリアルに感じられる作品ばかり。

また、ジェーン・バーキンやマチュー・アルマリックなどの俳優ほか、
ジャン=ピエール・ジュネ、アルノー・デプレシャン、ローラン・カンテ、ギャスパー・ノエなど
フランスを代表する監督たちがぞくぞくと来日します。

すべての作品が日本での初公開プレミア上映、
監督や出演者のトークと会わせて、ゆったりシートで楽しみませんか?

 
【上映作品】
 

チャイコフスキーの名曲にのせて、
寄せ集めオーケストラが巻き起こす奇跡。
第35回セザール賞6部門ノミネート、2部門受賞。

『オーケストラ!』

2009年 124分 原題:Le Concert
監督:ラデュ・ミへイレアニュ 
出演:アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン、フランソワ・ベルレアン
4月GW Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほかにて
全国順次ロードショー 

音楽を通して芽生える友情を描いた監督処女作。

『バス・パラディアム』(原題)

2010年 100分 原題:Bus Palladium
監督:クリストファー・トンプソン 
出演:マルク・アンドレ・グロンダン、アルチュール・デュポン
配給未定作品。
本映画祭と同じ週に本国で公開。

2008年カンヌ国際映画祭特別賞(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
豪華な出演者に注目!

『クリスマス・ストーリー』(原題)

2008年 143分 原題:Un conte de Noël
監督:アルノー・デプレシャン 
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリック、アンヌ・コンシニ
2010年秋 恵比寿ガーデンシネマほか、全国順次ロードショー 

2008年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。

『パリ20区、僕たちのクラス』

2008年 128分 原題:Entre les murs
監督:ローラン・カンテ 出演:フランソワ・ベゴドー、24人の生徒たち
2010年6月12日(土)岩波ホールにてロードショー 
配給:東京テアトル

4月のフランス公開に先駆けてのプレミア上映。

『スフィンクス』(原題)

2010年 105分 原題:Gardiens de l’ordre
監督:ニコラ・ブークリエフ 
出演:セシル・ド・フランス、フレデリック・テスト
公開未定

『ユマニテ』を撮った鬼才の最新作。

『ハデウェイヒ』(原題)

2009年 105分 原題:Hadewijch
監督:ブリュノ・デュモン 
出演:ジュリー・スコロウヴスキ

『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネが
現代に贈る痛快ハート・ウォーミング・コメディ。

『ミックマック』(原題)

2009年 104分 原題:Micmacs a tire-larigot
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 
出演:ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ、ドミニク・ピニョン
2010年夏 恵比寿ガーデンシネマほかで全国ロードショー  

愛の情熱を描いて昨年末のフランスで大ヒットを記録。

『旅立ち』(原題)

2008年 85分 原題:Partir
監督:カトリーヌ・コルシニ 
出演:クリスティン・スコット・トーマス、セルジ・ロペ、イヴァン・アタル
公開未定

2009年カンヌ国際映画祭で感動を巻き起こした。

『あの夏の子供たち』

2009年 110分 原題:Le Pere de mes enfants
監督:ミア・ハンセン=ラブ 
出演:キアラ・ガゼッリ、ルイ=ドー・ド・ランクザン、アリス・ド・ランクザン
2010年初夏、恵比寿ガーデンシネマにて 

2009年カンヌ国際映画祭審査員グランプリ。
海外の映画祭でも数多くの賞を受賞。
先日、セザール賞を受賞! 

『アンプロフェット』(原題)

2009年 150分 原題: Un Prophete
監督:ジャック・オディアール 
出演:タハール・ラヒム、ニエル・アレストリュプ
公開未定

フランソワ・トリュフォー『隣の女』の現代版。

『リグレット』(原題)

2009年 105分 原題:Les Regrets
監督:セドリック・カーン 
出演:イヴァン・アタル、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
公開未定

日本でも大ヒットを記録した
名曲「ドミニク」を歌ったシスターの、
知られざる人生を描いた物語。

『シスタースマイル ドミニクの歌』

2009年 124分 原題:Soeur Sourire
監督:ステイン・コニンクス 
出演:セシル・ド・フランス、サンドリーヌ・ブランク、クリス・ロメ
2010年 初夏 シネスイッチ銀座にてロードショー 

いまフランスで最も挑発的な監督による、
昨年カンヌを震撼させた問題作。

『エンター・ザ・ボイド』

2010年 162分 原題:Enter The Void(英)、Soudain le vide(仏)
監督:ギャスパー・ノエ 
出演:ナサニエル・ブラウン、パズ・デ・ラ・ウエルタ、シリル・ロイ
5月15日(土) シネマスクエアとうきゅうほかにて

自由気ままで、
素敵な音楽に溢れたロードムービー。

『テルマ、ルイーズとシャンタル』(原題)

2009年 90分 原題:Thelma, Louise et Chantal
監督:ベノワ・ペトレ
出演:ジェーン・バーキン、カトリーヌ・ジャコブ、キャロリーヌ・セリエ

短編プログラム9作品
『燃えよプチ・ドラゴン』監督ブリュノ・コレ
『ひよこちゃん、いくら?』監督クレマン・ミシェル
『7.57 am-pm』 監督 シモン・ルルーシュ
『雨がやむまで』 監督 シャルロット・ジュリア
『ゴルディーニ車にのった男』 監督 ジャン=クリストフ・リエ
『ジル・コーポレーション』 監督 ヴィアネー・ムルヴィル
『ドンデ エスタ キム・ベイシンガー?』 監督 エドワール・ドリュック
『行くぞ!アロンゾー』 監督 カミーユ・ムラン・デュプレ
『血のつながり』 監督 ギヨーム・セネズ

 

いくつか、作品をご紹介しましょう。

『あの夏の子供たち』は、5年前自殺した実在の映画プロデューサーをモデルに、残された家族たちと映画をとりまく状況を淡々と描いた作品。印象的なのは主人公・映画プロデューサーの長女を演じるアリス・ド・ランクザン。昨年のオリビエ・アサイヤス監督の『夏時間の庭』で見せたみずみずしい魅力がさらに凝縮され、透き通るような美しさと目の動きだけで内面を表現する演技で、この映画を象徴する存在となっています。忙しすぎる父親への不満を募らる娘は、父の守りたかった「本当にいい映画」への理解を深め、映画の中で成長します。

週末家族が過ごすパリ郊外ミイ・ラ・フォレとパリの中心にある「ムーンフィルム」のオフィス、携帯を片手にパリの町を運転し、歩き回る主人公グレゴワール。淡い光に包まれるパリの街、八方ふさがりの状況に追い込まれて行く主人公を描くときでさえ、その優しい光に包まれています。
 

『パリ20区、僕たちのクラス』。フランスではいま「公共の場所でのブルカが禁じられるべきだ」、「フランス人のアイデンティティとは?」という、移民の増加によって生じたフランスという国の根幹を問う問題が起きています。この映画の舞台であるパリ20区の中学校のひとつの教室は、そんな国家的な問題をまるですべて抱えているよう。移民が多い20区、クラスのみんなのオリジン(出身地)はばらばら。マリ、モロッコ、中国、カリブ諸島、そしてもちろんフランス。主人公の教師は本当の元教師。国語の授業中、何かを説明するたびに、アイデンティティに基づくトラブルが発生する。一見へりくつに思える、生徒たちが教師に投げかける質問やヤジは、すべて差別や宗教、民族問題に根ざしている……。まるでドキュメンタリー・フィルムのような作品。問題児スレイマンのはにかむような笑顔と、裏切られた時のほんのわずかな表情の演技にぜひ注目。
 

『オーケストラ!』は、7割のコメディと3割の感動でできている、幸せになれる映画。ボリショイ交響楽団の名指揮者であったアンドレイは、30年前にユダヤ主義者排斥運動の犠牲者として、清掃係としてボリショイ劇場で働いている(って、そんなばかな)。ある日、パリのシャトレ劇場から、LAフィルの代わりにボリショイに出演してほしいというファックスが届き、清掃中にそのファックスを見つけたアンドレイは、30年前に仲間であった音楽家たちに次々に声をかけて、偽のボリショイ交響楽団としてパリに乗り込む壮大な計画を立てた! 演目はチャイコフスキー、ソリストにパリ在住のバイオリニスト、アンヌ=マリー・ジャケをリクエストする。アンヌ=マリーと共演したかった理由とは……。陳腐な想像とは違う感動的な結末、シリアスな政治背景をB級ギャグで描く大胆さ、コメディの端々に覗く人間の強さと温かさ、そしてもちろん演奏の素晴らしさ。ちょっと落ち込んでいる人だって、気分がアガる映画です。

☆ 近々、監督インタビュー記事を紹介します! 乞うご期待。
 

最後に紹介するのは、『アンプロフェット』(原題)。警官に暴行をしたというだけの罪でパリ中央刑務所に入れられるマリク。そこでコルシカ・マフィアとアラブ人の抗争に否応無しに巻き込まれ、さらなる犯罪に手を染めるはめに……。「うぶな新人受刑者」がさまざまなことを学び“成長”していく様子を、ロックに描いている作品。暴力や殺人、麻薬など、犯罪映画に欠かせない要素がちりばめられているにも関わらず、見終わったときに(不謹慎ながら)妙にさわやかな高揚感を覚えるのはなぜ……。

主人公マリクを演じるのはセザール賞主演男優賞のタハール・ラヒム。童顔に宿るカリスマ性のある表情、子供のようなピュアな心の動きを視線だけで演じる……、2時間半の映画の中で、マリクの成長とともに顔つきが変わっていくタハール・ラヒムの「表情の演技」をじっくりと味わってください。

フランス映画祭2010

期間:3月18日(木)〜22日(月・祝)
開催会場:六本木ヒルズ
上映場所:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ

 

来日する監督&出演者はこちら!

代表団団長:ジェーン・バーキン

『バス・パラデイアム』(原題)
クリストファー・トンプソン監督/エリザ・セドナウイ

『オーケストラ!』
ラデュ・ミヘイレアニュ監督/アレクセイ・グシュコブ

『クリスマス・ストーリー』(原題)
アルノー・デプレシャン監督/アンヌ・コンシニ/マチュー・アマルリック

『パリ20区、僕たちのクラス』(フランス映画祭2010クロージング作品)
ローラン・カンテ監督

『スフィンクス』(仮題)
セシル・ド・フランス 

『ハデウェイヒ』(原題)
ブリュノ・デュモン監督 

『ミックマック』(フランス映画祭2010オープニング作品)
ジャン=ピエール・ジュネ監督

『旅立ち』(原題)
カトリーヌ・コルシニ監督

『あの夏の子供たち』
ミア・ハンセン=ラブ監督

『リグレット』(原題)
セドリック・カーン監督 

『シスタースマイル ドミニクの歌』
セシル・ド・フランス 

『エンター・ザ・ボイド』
ギャスパー・ノエ監督

『テルマ、ルイーズとシャンタル』(原題)  
ブノワ・ペトレ監督/ジェーン・バーキン

※止むを得ない事情により、上映作品・ゲストが変更になる場合がございます。