ロマン・ポランスキー監督
巨匠のドラマティックな人生。

(2013.06.12)

●映画『ロマン・ポランスキー 初めての告白』とは?

ポランスキー監督自身が、生い立ちから現在に至るまでを自ら語ったドキュメンタリー。2009~2010年のスイス自宅での軟禁中に、長年のビジネス・パートナーであるアンドリュー・ブラウンズバーグがロング・インタビューを敢行。親しい友人相手に、その人生を語る。随所に監督作品のシーンが盛り込まれる。

映画に歴史を、
人生を盛り込む。

『ロマン・ポランスキー 初めての告白』は気負いのないドキュメンタリー作品で、ポランスキー監督のキャラクターや、ただずまいが自然に映されていて好感が持てます。

映画と歴史には密接なつながりがありますが、ポランスキー監督はその中間に存在した、という印象です。映画的な才能があり、その才能に歴史、個人的な歴史を入れ込み、伝えるというのはなかなかできることではないと思います。

ポランスキー監督の第二次世界大戦中のポーランドでの悲惨な体験、60,70年代アメリカのヒッピー・カルチャーのマイナス面を強く経験してしまったこと、20世紀後半の歴史を、それを背負った個人、そして映画作家として現代で表現し続けることの重要性は大きいでしょう。


『戦場のピアニスト』(’02)には監督の戦争中の体験が色濃く反映されていることがわかる。カンヌ国際映画祭パルムドール、オスカー最優秀監督賞受賞。

1968年、人気女優シャロン・テートと結婚するも、シャロンはロサンゼルスのポランスキー邸でチャールズ・マンソン・ファミリーにより惨殺される。
ミニシアターの使命、
根気よく時間をかけて作品を育てること。

ロマン・ポランスキー監督はポーランド出身。『シアター・イメージフォーラム』では当初からポーランドの映画作家を積極的に紹介しようと考えていた訳ではありません。

大きなきっかけはイエジー・スコリモフスキ監督の『アンナと過ごした4日間』(2009年公開)の大ヒットでした。その後スコリモフスキ監督の新作や初期の未公開作を上映しました。2011年にはポーランド・アニメの特集上映『ポーランド・アニメーション傑作選』を開催しました。ポーランドは長い間ソ連とドイツの間で苦しんだ国であり、その中で新しい表現がどんどん生まれました。イエジー・スコリモフスキ監督もそうですが、アニメも面白い作家が多い。おとなりのチェコは伝統的に人形アニメが盛んですが、ポーランドはどちらかというと美術系、デザイン系の人たちがアニメを作っていました。60, 70年代のポーランドアニメはアヴァンギャルドな表現をアニメの中で追求していて面白いです。

そして2012年『ポーランド映画祭』を開催しました。こちらもたくさんのお客様がいらしてくださいました。これらは配給・宣伝の方たちが毎回同じで一貫したスタイルで公開にのぞめました。

『ロマン・ポランスキー 初めての告白』は『ポーランド映画祭』に興味をお持ちの方ならこの作品を楽しんでいただけると考えました。

このように根気よく時間をかけて作品を育てていくのが、今ミニシアターには必要なことだと考えています。

『ロマン・ポランスキー初めての告白』
渋谷シアター・イメージフォーラムにて6週間限定公開中

『ロマン・ポランスキー初めての告白』、『ローズマリーの赤ちゃん』、『水の中のナイフ』、『反撥』、『袋小路』上映スケジュールはこちらをクリック

原題:ROMAN POLANSKI:A FILM MEMOIR
2012 年/イギリス・イタリア・ドイツ/ 94 分/デジタル/ヴィスタ 製作:アンドリュー・ブラウンズバーグ
監督:ローラン・ブーズロー
提供:角川書店、配給:マーメイドフィルム 、宣伝:VALERIA 、配給協力:コピアポア・フィルム
後援:ポーランド広報文化センター

同時上映 『ローズマリーの赤ちゃん』ニュープリント版
『水の中のナイフ』、『反撥』、『袋小路』デジタルリマスター版
©2011 ANAGRAM FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

●同時上映

『ローズマリーの赤ちゃん』

ロマン・ポランスキー監督がハリウッドに招かれ製作したオカルト映画の金字塔。公開当時日本でも一大センセーションを巻き起こした。ニューヨークを舞台に妊娠した若い女性に振りかかる恐怖。ハイ・アートな映像感覚で演出。
出演:ミア・ファーロー、ジョン・カサヴェテス
1968 年 / 137 分 / 英語 / カラー / 35mm

『水の中のナイフ』

初の長編。共同脚本イエジー・スコリモフスキと、音楽はクシシュトフ・コメダ。ヴェネチア国際映画祭批評家連盟賞受賞。国際的な評価を得るきっかけに。ブルジョワの中年夫婦と貧しい青年がヨットに乗り合わせることになる。世代間の断絶が浮き上がる。
出演:レオン・ニェムチック
1962 年 / 94 分 / ポーランド語 / モノクロ / デジタル上映

『反撥』

イギリスを舞台にした心理スリラー。若きドヌーヴのニューロティックな演技、チコ・ハミルトンのモダンジャズが炸裂。イギリスで働くポーランド人姉妹。内向的な妹は姉の情事に毎晩悩まされ次第に狂気に蝕まれていく。
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ
1965 年 / 105 分 / 英語 モノクロ / デジタル上映

『袋小路』

密室的空間における人間心理の探求に定評のあるポランスキーがさらにテーマ深化させた不条理劇。中年オトコと若い女性が暮す孤島の館にギャングがひとり迷い込む……。ユニークな登場人物、ブラックな笑い、ベルリン国際映画祭グランプリ受賞。
出演:フランソワーズ・ドルレアック
1966 年 / 116 分 / 英語 モノクロ / デジタル上映