東京国際映画祭、みどころは『永遠の天』『エイト・タイムズ・ アップ』。

(2009.10.23)

アジア最大規模の映画祭、それは東京国際映画祭!
今年で22回目を迎えるこの祭典は、10月17日(土)~25日(日)まで、そう、まさに今、開催中なのです。

東京国際映画祭と言えば、昨年から「エコ」が合い言葉。
グリーンカーペット=東京国際映画祭の認識も浸透しつつあります。

 

17日の映画祭初日。六本木のケヤキ坂に敷かれた鮮やかな緑の絨毯は、お祭りムードを一気に高めます。
午後4時、いよいよスターたちがこのグリーンカーペットを歩きます。
花が咲く瞬間です。
オープニングアクトに映画祭大使の木村佳乃さん、グリーン・アンバサダーの杏さんが登場すると、その立ち姿はもちろん、華やかな衣装は緑の中に咲く花という感じ。沿道からの声はそよ風のよう。

そよ風を受け、花たちは揺れ、その美しさを見せてくれます。
映画祭の楽しみのひとつを挙げれば、このスターたちの衣装ではないでしょうか。
パープル、ネイビーブルー、ホワイト、レッド、サーモンピンク、そしてグリーン。
日本、そして各国の女優たちのドレスやそのデザインを見るだけでも個性豊かで、飽きることがありません。
日本の女優さんはドレススタイルではなく、鮮やかな配色や柄の衣装を着ていることが多かったり、アジアの女優さんたちはロングドレス率が高いなんて発見もあったり。
今年流行のブラックのスパンコールをあしらったスタイルも目立ちました。

男優さんは?  男性のスタイルはというと、「どこにグリーンを入れているか」がポイントです。
あ、ネクタイだ。この人はシャツだ。マフラーがグリーンだ。
なんて見つけてみるのがおもしろいんです。

グリーンカーペットを歩いてきたスターたちは、六本木ヒルズのアリーナの舞台までやってきます。そこで作品名と監督・出演者の紹介がされると、階段を降り、インタビューブースまで向かいます。
実はこのインタビューブース、ちょっとした渋滞状態になったりするのです。
そこで別の作品に出ているスターたちが「待ち」の状態で、挨拶を交わしていたり、談笑していたり。こんな姿はテレビでもなかなか見られないので、貴重です。

約2時間が過ぎ、オープニングイベントもそろそろ終わろうかというころ、サプライズで登場したのが鳩山由紀夫総理大臣と幸夫妻。
「温室効果ガス25%削減」を表明した鳩山総理にとって、この映画祭はまたひとつのアピールポイントになった様子です。

そしてトリを飾ったのが、今年の映画祭のオープニング作品である『オーシャンズ』一行。
ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾーのW監督、そして日本でナビゲーターを務める宮沢りえさん、さらには主題歌を担当した平原綾香さんと藤澤ノリマサさんと、とにかく豪華な顔ぶれ。

ドキュメンタリーとしては史上最大の製作費70億円がかけられ、構想10年、撮影期間
4年で世界50ヶ所の海を撮ったこの作品は、この東京国際映画祭が初上映のワールドプレミア。今までにない圧倒的な映像で、生命力とスピード感が溢れる海の姿を描いています。

エコな東京国際映画祭のオープニングを飾るのに、これほどふさわしい作品はないでしょう。

さて、華々しくスタートを切った東京国際映画祭。
上映総数は270本とかなりの作品数に上ります。その中でもやはり気になるのが、743本の応募の中から選ばれた15本のコンペティション作品。
さらにさらに、そこからもっと注目したいのが『永遠の天』と『エイト・タイムズ・アップ』です。

『永遠の天』は近代化する中国を背景に、時代とともに成長し、愛を探し求める若者たちの物語。複雑な人間関係がパズルのように合わさり、かなりドラマチックに描かれているところが見どころなので、おすすめです。
『エイト・タイムズ・アップ』は定職が欲しくても手に入らず、家族ともうまくいかないというフランス人女性が主人公の物語。何をやってもうまくいかないときはいかないんだよね、でもがんばろう! と思わずにはいられない作品です。不況の風が吹く日本も、これを観れば、元気になれるはずです。

古い建物を活かして、中国茶専門店を開くシーン。
アパートを追い出され、緑の茂る森の中でキャンプ生活をするシーン。
それぞれの作品にこんな場面が出てくるのですが、もったいないの精神や自然を見つめ直すなんて、さりげなくエコテーマが入っているのではないかしら? とも思います。
映画祭作品の中に隠れているエコを自分なりに探すのも、またお楽しみ。

まだという方も今なら充分に間に合います。ぜひこの日本で行われているビッグな映画祭に足を踏み入れてみてください。

 
第22回 東京国際映画祭HP

http://www.tiff-jp.net/ja/

オープニング作品『オーシャンズ』の一行。グリーンカーペットのラストを飾り、アリーナステージに到着。この後、間もなく私たちは神秘的な海へと招かれるのでした。
『オーシャンズ』では、クリアな映像で海の生き物たちに会えます。こちらはおなじみのクジラ。水族館ではない、そのリアルな姿は必見です。
『オーシャンズ』
監督:ジャック・ペラン、ジャック・クルーゾー
キャスト:ジャック・ペラン、ランスロ・ペラン
ナビゲーター:宮沢りえ
2009年/フランス/103分/カラー/配給 ギャガ株式会社
2010年1月22日(金)より、TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
「えっ!そんなぁ!」と何度も思わずにはいられないドラマチックなストーリー。近代化の進む中国を見られるのも新鮮。
『永遠の天』
2009年10月24日(土) 東京国際映画祭 17:50上映 TOHOシネマズ六本木ヒルズ7
当日券有り
監督:リー・ファンファン
出演:リウ・ドン、フアン・ミン
人生の中で悩む時期は誰だってある。こんな時代ならなおさらに。おてんと様の下で、ゆっくり考えるのもいい。励ましをもらえる作品です。

『エイト・タイムズ・アップ』
2009年10月24日(土) 21:15上映 TOHOシネマズ六本木ヒルズ7
当日券有り
監督 グザビ・モリア
出演 ジュリー・ガイエ、ドゥニ・ポダリデス