1本のシネマでも幸せになれるために – 4 - 若い女性たちが興味絶大の座禅のテキストとしてもおススメの映画、『禅 ZEN』。教祖に扮した勘太郎さんに惚れぼれ。

(2008.12.27)

「禅」と言うと、禅問答とかを思い起こしますか?
難しいイメージがあって、およそ若い世代には無縁であったと思います。
しかし、最近は、座禅は若い女性たちの間で、静かなブームとなっていると聞きます。現にこの私も、今年の夏ごろ急に体験してみたくなり、何度か寺を訪れたことがあります。若い女性や外国人でいっぱいなのですよ。理屈じゃなく、座禅はファッションとなり定着しつつあるようです。

なぜ、座禅がファッション化しうるのか。
「何も考えてはいけない。ひたすら無になり、孤独な時間を受け止める」
そう言われたら、何の疑問も持たず「わーい」と叫んじゃいますよ、私なんか。
そんな時間の過ごし方って、うれしいですものね。
そんなことしててイイなんて、すごーいぜいたくじゃないですか。

そう思える人にとって、座禅は最も今的で、素敵な時間の過ごし方ではないですか。昔からあったとはいえ、今こそ必要なこと。新鮮に感じられる。だってそうでしょう?今の時代、どこに行っても人がウジャウジャ、田舎と言われるところでさえも、開発されて人や車や店や音楽や騒音がいっぱいで、のん気でいられることなんて、そう滅多にないですよ。ましてや、都会に住まい、仕事をし、恋をし、家庭を持ち、家族を持ち、ああ、いそがしく何とストレスの多いことよ。電車に乗ってても、皆携帯でメールしてますよね。みーんな。携帯から離れて2時間近く、だれとも話さなくてよくて、何も考えなくていい、ああ、極楽、極楽。座禅をやってみたら、ハマらない人間はいないことでしょう。特に深刻な悩みがなくても、自分の精神をニュートラルにできる座禅は素晴らしい癒しの行為です。

 

イケメンという言い方が恥ずかしくなるような、いい顔した男。坊さんには実に美形が多いのです。お肌も透き通っていて…。

 

映画『禅 ZEN』は、鎌倉時代の乱世に、異端とも言われた曹洞宗の開祖、道元禅師の教えである座禅が、どのようにして今の時代にも生き続けているのか、その教えと精神世界の在り方を大変わかりやすく描いた傑作です。
「座禅は悟りのための手段ではない。目的をもたず、ただひたすら座って、座って、座るのみ」
道元が乗り移ったかのような自然体で演ずる主演の中村勘太郎さんが、こう言うと、なぜか涙が出るのは私だけでしょうか?自分も含め、今生きる人は皆、手段と目的を持ち、勝つか負けるかで毎日を疑問なく生き抜いています。この生き方に突如、理屈抜きで襲いかかる力強いこのお言葉は、何なんだ。この強い、強い言葉に感動の涙を抑えかねるのです。
そしてこの映画が好きになったのも、私の映画の楽しみのひとつである、主役の俳優の顔と姿、演技を観るだけで幸せになってくる。というのがありますが、この映画もその幸せになれる一本になりました。新しい御贔屓の男優さんを発見したのです。もちろんその方は、道元役の中村勘太郎さん。映画の主演は初めてということですが、いいお顔をしてますね。もちろん歌舞伎で鍛えた演技力は言うまでもなく、ですが。アップになると惚れぼれーッ。
道元役が、この方でなくては今回の作品はこうも説得力は出せなかったと思いますし、この方の持つ、また実在の道元禅師もそうであったであろう優しく厳しく、凛としてゆゆしいカリスマ性も打ち出せなかったことでしょう。
キムタク、カネシロ、トヨエツ、トム・クルーズと、最近は堺雅人も加わって、私好みの男優さんたちの中に、勘太郎様を加えさせていただくことにいたしました。そうそう、そういう意味ではこの作品は、一粒で二度おいしいのですよ。藤原竜也さんも鎌倉時代の若き執権、藤原時頼役で、出てるので。
この方も私の“映画の中のいい男”の一人なのですもの。

 

藤原演ずる、藤原時頼! ウーム、竜也様はその筋のお方だったのかな?デビューの頃から品格と威厳を感じさせていたものなぁ。

 

『禅 ZEN』

2009年1月10日(土)より角川シネマ新宿ほかにてロードショー
監督/高橋伴明
出演/中村勘太郎、内田有紀、藤原竜也、高橋恵子ほか
2008年/日本/カラー/120分/配給 角川映画