『るろうに剣心 京都大火編』佐藤健さんインタビューカッコいい剣劇「ソード・アクション」の最前線です。
(2014.08.01)2012年夏公開され日本のみならず世界で大ヒットとなった『るろうに剣心』。この8月に第2作『るろうに剣心 京都大火編』、9月に第3作『るろうに剣心 伝説の最期編』が連続公開されシリーズが完結します。漫画原作ならではの奇想天外なアクションシーン、かつてないスピード感、合わせて描かれる人間ドラマで見ごたえたっぷり。主演の佐藤健さんにお話をうかがいました。
カッコよさは
リアリティがものをいう。
ー『るろうに剣心』の主人公である剣士 緋村剣心は「おろ?」が口癖の、のんびりほっこりしたキャラと、シャープで切れのある動きの剣劇シーンの落差が魅力です。そのギャップの楽しさはアクションシーンが決まっているからこそ生まれていると思います。『るろうに剣心』シリーズで佐藤さん演じる剣心の剣さばきの美しさ、立ち姿の美しさは、近年の邦画界屈指のものではないでしょうか。剣劇シーンをクールにカッコよく見せるためのコツや秘策はあるのでしょうか?
佐藤健さん:コツというのは……わからないですね(笑)、カッコいいって、すごく感覚的なものだから。練習の時も常にムービーで撮っていて、ひとつの立ち回りが終わったら、息がまだハアハアいっている中でみんなでチェックします、「ここ、いけてるね」「ここいけてない」と。そこで、ここがいけてないのはどうしてか、もっとこうすればカッコよくなりそうだね、と改善案でやり直す。その繰り返しです。ただひとついえるのは僕がどんなにカッコよく型を決めて、早く超人的な動きができたと思っても、それが周りの人に届いてなかったり、狙いがはずれていたらそれはカッコよくならない。カッコよさ、観客のみなさんが興奮するのは、やっぱりリアリティ。それが重要になってくるんだな、と感じていました。型を決めるというよりも、実際に「斬りに行ってるんだ」と思わせる瞬間が一瞬でも見えた方が、観客のみなさんはカッコイイと感じるのだろうな、と思っています。
ー大友監督から「カッコいい剣士といえばこの映画だ!」というように、剣劇シーンで参考にするよう、観ておくように言われた作品はありますか?
佐藤健さん:大友監督からは「○○をしておけよ」というような指示的なことは今回はなかったです。前作の時もそうでしたが、(映画製作の)アクション部の中には「こういうアクションがあるよ」と練習の時に参考にしたい資料映像というのがあります。それは勝新太郎さんの『座頭市』シリーズのものが多かったですね、それから『カムイ外伝』、これは『るろうに剣心』と同じく谷垣健治さんがアクション監督を務めた作品で、そのワイヤーアクション。あとは香港系、ドニー・イェンさんのカンフー映画を見ましたね。
ブレイクダンスに熱中した高校時代
ダンスと剣劇の共通点は?
ー佐藤さんは高校時代はブレイクダンスに熱中されたとか。ダンスの名手であることは『ロッテ』の「フィッツ」のCMでも知られています。ダンスと剣劇アクションとの共通点はありますか?
佐藤健さん:う~ん、ブレイクダンスとアクションの共通点というと難しいです、でも、ダンスをやっていてよかったなと思うことは多いです。ダンスしている時というのは常に自分の体や、動きを鏡を見ながら研究して練習します。そういう時間というのは、普段の生活をしているとなかなかあるものではないですよね。アクションも、常にどのように見られてるいるかを考えます。そういうところが良い方向に作用しているのかな、と思っています。ダンスの何がどのようにアクションに生かせられているのか、とはっきりは言えないですが。
「チャンバラ」というより
「ソード・アクション」。
ーチャンバラは激しい斬り合いなど動いているところに目が行きがちですが、実はただ剣を手にしている立ち姿、斬った後の呼吸など静なる部分にもカッコよさのポイントがあると思います。ダンスにおけるポーズと共通するものがあるのかもしれませんね。このチャンバラ・シーンも含めて、今回の『るろうに剣心 京都大火編』の魅力は?
佐藤健さん:エンターテイメントというジャンルの作品として、エネルギー、力があります。わかりやすくいうと映画としての雰囲気がハリウッドに近いものになっている。日本映画でありながらハリウッド映画のスケール感が体感できると思います。しかし単なるハリウッドの真似事で終わっていない。日本の美を感じさせるシーンもあります。刀を使ったソード・アクションでいうと、今までの映像では(刀を)当てたり、避けたりのリアルが表現できなかった、「いったいどこ斬ってるの?」のようになりがちだった。そこへ谷垣さんはじめアクション部の方たちの技術によって実にリアルなものができました。
ー「ソード・アクション」という言葉に新しさを感じます。いわゆる「チャンバラ」というより「ソード・アクション」と呼びたいですか。
佐藤健さん:大友監督は「ソード・アクション」という言い方をしますね。「時代劇」、「チャンバラ」という言葉は使いたくないと前作の時にも言っていた。ソード・アクションを扱ったアクション映画においては革命的な作品になっていると思います。
『るろうに剣心 京都大火編』
2014年8月1日(金)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー! 『るろうに剣心 伝説の最期編』は2014年9月13日(土) から。
丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
出演:佐藤 健、武井 咲、伊勢谷友介 / 青木崇高、蒼井 優、神木隆之介、土屋太鳳、田中 泯、宮沢和史、小澤征悦 / 滝藤賢一、丸山智己、三浦涼介、高橋メアリージュン、江口洋介 ・ 藤原竜也
監督:大友啓史
原作:和月伸宏『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(集英社ジャンプ・コミックス刊)
主題歌(京都大火編):ONE OK ROCK “Mighty Long Fall” (A-Sketch)
製作配給:ワーナー・ブラザース映画
©和月伸宏/集英社 ©2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会
『るろうに剣心 京都大火編』ストーリー
伝説の人斬り・緋村剣心(佐藤健)。幕末に「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」として恐れられていたが、新時代の訪れとともに穏やかな生活を送っていた。ある日、内務卿 大久保利通(宮沢和史)に呼び出され、剣心の「影の人斬り役」を引き継いだ男、「志々雄真実(ししおまこと)」(藤原竜也)が京都で暗躍していると聞かされる。志々雄は政府に裏切られ身体を焼かれたが、全身包帯の姿で蘇り、クーデターを目論んでいるという。剣心は、静かな生活に別れを告げ、斬れない刀「逆刃刀(さかばとう)」を手に京都へと向かう。