『フランス映画祭2013』に来日。リュディヴィーヌ・サニエ
ロマンチック・コメディに初挑戦。

(2013.06.28)

フランスより豪華ゲスト陣を招いて開催された『フランス映画祭2013』。中でもキュートでフェアリーな存在感でひときわ輝いていたリュディヴィーヌ・サニエ。最新作『恋のときめき乱気流』ではコメディエンヌとして新たな一面を披露しています。最新作について、そしてフランス映画の最前線で活躍する女優としてのキャリアについてお話をうかがいました。

●リュディヴィーヌ・サニエ プロフィール

Ludivine Sagnier

1983年、イヴリーヌ県ラ・セル=サン=クルー生まれ。子供の頃から演技のレッスンに通い9歳でデビュー。2000年のフランソワ・オゾン監督『焼け石に水』の体当たり演技でブレイク。’02年『8人の女たち』カトリーヌ・ドヌーヴ、ファニー・アルダンらフランスの大女優8人と共演、8人でベルリン国際映画祭銀熊賞、ヨーロッパ映画賞女優賞を受賞した。’03年『スイミング・プール』の小悪魔的な少女役でセザール賞助演女優賞にノミネート、同年の『ピーター・パン』ではティンカー・ベル役でハリウッド・デビューも。’06年『パリ・ジュテーム』、’07年『モリエール 恋こそ喜劇』『引き裂かれた女』『ある秘密』、08年『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 』、10年『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』 と話題作に出演するフランス映画のトップ女優のひとり。夫は映画監督のキム・シャピロン。2女の母。
●『恋のときめき乱気流』ストーリー

彫刻家のジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)はNYでの個展を終えパリへの飛行機に搭乗。ビジネスクラスのシートで隣り合わせになったのはなんと前カレ、アントワーヌ(ニコラ・ブドス)。ジュリアはアントワーヌと口をききたくもない。ひどい別れ方をしたのである。いったいふたりに何が起ったのか? ふたりの出逢いから、エッフェル塔でのロマンチックなデート、数限りない行き違い……。次第に解き明かされるふたりの恋の始まりから終わりまで。リズム溢れるふたりのやりとりが楽しいロマンチック・コメディ。

ハリウッド風
ロマンチック・コメディ『恋のときめき乱気流』

==『恋のときめき乱気流』たいへん楽しいコメディです。フォロートラックしながらのシーン切り替えなど、昔のJ・P・ベルモンドのコメディ『おかしなおかしな大冒険』(’73)を彷彿させました。

リュディヴィーヌ・サニエ(以下リュディヴィーヌ):確かにフランスでコメディというとベルモンドの名前が第一に上がってきます、『おかしなおかしな大冒険』彼の生き生きとした魅力がいっぱいで、フランスだけでなく世界中で人気でした。でも私自身は『プリティ・ウーマン』(’90)のジュリア・ロバーツ、『ノッティングヒルの恋人』(’99)のメグ・ライアン、それからテレビ番組『セックス・アンド・ザ・シティ』のサラ・ジェシカ・パーカーを意識しながら演じていました。

==『プリティ・ウーマン』の頃はリュディヴィーヌさんは10代だと思いますが20代、30代と好みのロマンチック・コメディ作品は変わってきましたか? ご自身ではどのようなロマンチック・コメディの作品が好きだったのでしょうか? 

リュディヴィーヌ:社会の変化に応じて好みも変わってきているようです。今、現代では、愛の機会が訪れてもコミットしたくないという風潮がフランスではあると思います、そういう矛盾が反映された作品が多いと思います。思春期や、自分の中の子供っぽさを忘れずにいる人物像が流行っているとおもいます。

10〜20歳の頃はジョージ・キューカー、マリリン・モンロー出演のクラシックなコメディ作品が好きでした。フランソワ・トリュフォー監督の『夜霧の恋人たち』(’68)なども面白いと思いました。
 

笑顔いっぱい楽しい作品、
実はたいへんだった撮影。

==『恋のときめき乱気流』は、リュディヴィーヌさん演じるジュリーと、ニコラ・ブドス演じる元カレ アントワーヌが繰り広げる軽妙なやりとりのある飛行機の中のシーンに小さな笑いがいっぱいしかけてあって印象的です。リュディヴィーヌさん映画の中でいちばん好きなシーンは?

リュディヴィーヌ:NYの撮影が楽しかった。ハリウッドに来たみたいで神話的で。ブルックリンでタクシーに乗るなんてちょっとエキゾティックな感じでした。

夜のエッフェル塔でのデートシーンがありますが、あれは実はたいへんだったんです、撮影の日はとても暑い日だったのですが、エッフェル塔の上というのは風があってとっても寒いんです。私はハイヒールを履いていて転んでしまい、なんと肋骨を折ってしまったんです。とっても痛かったんですが、3週間は撮影を続けなければいけない。あのシーンで私はニコニコ笑っていますが実は痛くて辛くてたいへんでした(笑)。

==監督のアレクサンドル・カスタネッティはフランスで人気のコメディアンとのことですが。

リュディヴィーヌ:カスタネッティ監督はもともと音楽家。『ラ・シャンソン・ドゥ・ディマンシュ(La Chanson du dimanche)』としてインターネットのサイトにコミックソングをアップ、その歌詞が的を得ていて面白いと人気に火が付きました。

その経験がこの作品の中のセリフの落ちや、リズム感にとてもよく現れていると思います。初の長編作品ということでたいへんだったところもありますが、リズムやイントネーションのつけ方はさすがですね。 

 

リブ・ウルマン、ジーナ・ローランズ……
名匠のミューズに憧れ。

==そもそも映画の道を志したきっかけは? 小さい頃から女優になりたかった?

リュディヴィーヌ:私が映画の世界に入ったのは偶然。小さい頃から演劇の授業を受けていたのですがある時映画の出演が決まりました。そのうち出演以来が少しづつ来るようになりました。自分であまり意識しないうちにこの世界に入ってきた。女優になることを夢見ていたわけではなく、仕事をはじめてから女優を夢見るようになりました。

思春期になってからイングマール・ベルイマン監督作品のリブ・ウルマン、ジョン・カサヴェテス監督作品のジーナ・ローランズ、カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペールの憧れるようになりました。

==リブ・ウルマン、ジーナ・ローランズともに名匠のミューズ的存在ですね。これからやってみたいと思う役などはありますか?

リュディヴィーヌ:少年の役をやってみたいと思います。女の子に冷たい男の子とか。自分にあんまり近くない役をやってみたいです。

 

『恋のときめき乱気流』
2014年DVDリリース予定 発売:アット エンタテインメント

出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・ブドス、ジョナタン・コーエン、アルノー・デュクレ
監督:アレクサンドル・カスタネッティ
原題:Amour & turbulences
2012年/フランス/96分/スコープ/ドルビーデジタル