私が編集した本を紹介します。 – 2 –
(2008.06.24)
担当編集者によるマガジンハウス書籍紹介「クロワッサン」本誌のダイエット特集は、編集者にとっては恐怖だ。昨年までその現場にいた僕には痛いほどよくわかる。まず、必ずといっていいほど「ビフォー・アフター」ものなので、実際に体験してくれる人を探すのが一苦労。 クロワッサン世代の女性で、それなりの知名度があり、かつまたそれなりの「目方」がある人でないと企画は成立しない。何人もの取材リストを作り、編集長の許可を得、片っ端から電話をしていく。編集部の名を告げると快く応対してくれる彼女たちも、「ダイエット特集なのですが……」とこちらが言いよどむと途端に顔を曇らせる(もちろん僕には顔は見えないのだが、たぶんそうに違いない)。アポが取れず、時間だけがむなしく過ぎる。 しかし、4週間後に結果を測定しなければならない以上、これ以上遅らせるわけにはいかないと、キャップも僕も焦り始めた頃、ようやくなんとか心優しい方の天の声が聞こえてくる。毎回、そんなことの繰り返しなのだ。 アポが取れたら取れたで、次なる難関が待ち受ける。食事にしろエクササイズにしろ、取材者に多大なる努力を強いる以上、「当然、あんたもやるんでしょうね」ということになる、必ず。ここでひるんでは原稿が書けない。「もちろんですよ!」と明るく言い放ち、今夜のビールを泣く泣く諦める。 もっと恐ろしいことがある。1年に一度、それも決まってゴールデンウィークの前に「編集部もこんなに痩せました!」という体当たり企画が回ってくるのだ。幸運にも、僕は男でありながらそれに2年続けて参加した。花見でも、自分の誕生日でも(四月生まれなのです)、愛する浦和レッズの試合の日でも、ダイエットをしなければならないこの辛さ。ほぼ1か月間、午前中は20分間のジョギングをし、毎食のメニューを手帳に書き留め、ビールもワインもはなからこの世に存在しないものと決めつけた。 結果はだいたいマイナス2キロ。成功なのか失敗なのか、そんなことはもうどうでもよく、ただひたすらに原稿を書いて入稿する。みんなが面白がってくれればそれでいいか。そんなふうに思いながら、だがしかし、達成感だけは色濃く残った。 多かれ少なかれ、クロワッサン編集部がそんなふうにして作ってきたダイエット特集を、贅沢にも厳選してコンパクトにまとめた『ダイエット・クロワッサン』の2冊。きっとあなたの座右の銘になることでしょう。 もう一冊、『体のツボの大地図帖』は、もうじき定年を迎える大先輩が作られた。クロワッサン・ムックの永遠のベストセラーの改訂版。心して手元に置きたい。 |
筆者=編集者プロフィール マガジンハウス書籍出版局 第一書籍編集部 クロワッサンちゃんと役立つ実用の本シリーズ 『ダイエット・クロワッサン 痩せる食べ方』 |