デザイン・トランス・ヨーロッパ – 1 - フィンランドの巨匠、イルマリ・タピオヴァーラに注目。

(2008.10.14)

 9月末から10月頭、フィンランドの首都ヘルシンキはヘルシンキ・デザイン・ウィークで盛り上がる。メイン会場となったケーブル・ファクトリーはノキアの工場跡地で今年の展示はSHOW100というフィンランド作家を中心とした近年のグッド・デザインを集め、地元の学生や関係者で連日賑わっていた。フィンランド人は真面目で堅実、ムーミン大国ゆえの童心は残りながらも機能性と飽きのこないものが好まれるらしい。

 オーガナイザーの1人のアニ・プラッカさんに紹介してもらった市内中心、デザイン・ディストリクトにある家具専門店AEROでは20世紀のフィンランド・ヴィンテージ家具の販売の他、イルマリ・タピオヴァーラ(1914-1999)の復刻作品を手掛けている。パリのコルビジェ・オフィスや戦後はNYのミース・ファン・デア・ローエ事務所にも在籍していたタピオヴァーラ。特に1950年代ミラノ・トリエンナーレなどで数々のデザイン賞を受賞。フィンランド人らしい、木をふんだんに取り入れた小降りで、安定感のある彼の作品は現在、国内で再び注目されているという。AEROがタピオヴァーラの遺族との契約でオリジナルに忠実に復刻されたシリーズTapiovaara Designでは重ねられるスタンダードなイスDOMUS, フォルムのエレガントなMADEMOISELLE, 脚線美に注目のPIRKKAが次々と復刻されている。今後もシリーズは益々増えて行く予定で期待したいところだ。

 

タピオヴァラの商品展示。

 タビオヴァーラの作品は、これは日本人が手掛けた作品と言われても納得してしまうような素材選びとフォルムがある。それはフィンランド人と日本人の自然の捉え方、アプローチが似ていること、そしていつまでも子供らしさを失わないようなところにあるように思う。

 

メイン会場、ケーブル・ファクトリー入口。

ヘルシンキ・デザイン・ウィーク

AERO Design Furniture Oy
Yrjönkatu 8, 00120 Helsinki
Tel.+358 9 680 2185
ヴィンテージ家具は事前のアポイントのみ可。