アートニュース Fromミュージアムカフェ – 1 - 19世紀のライフスタイルへようこそ。『生活と芸術―アーツ&クラフツ展』東京で開催中。

(2009.01.29)

みなさん、『ミュージアムカフェ』 というサイトをご存知ですか?

日本全国の美術館・博物館の展覧会情報などが網羅されているアート好きのための活用サイトです。そして私は日々その制作に勤しんでいる編集担当の成澤と申します。どうぞよろしくお願いします。

私自身、食わず嫌いだったアートが気になるようになったのは社会人になってから。今では現代アートから日本美術、中世の西洋絵画、博物学……つまりは雑食ですが、なかでも写真作品に惹かれることが多いです。ちなみに昨年のベスト展覧会は東京大学総合研究博物館で開催された『鳥のビオソフィア』! 都内近郊の展覧会には時間さえあれば出没しています(するようにしてます)。

どんなジャンルでも、興味本位がすごく大きな出会いに発展することがある。そんな思いもあり、本家サイトももちろんのこと、こちらの読者の方々にももっとアートの醍醐味を知ってもらおうと、オススメの展覧会情報や話題のアートニュースを今後ご紹介していきます。

記念すべき1回目はアートの街・上野から。

内装用ファブリック『いちご泥棒』 ウィリアム・モリス 1883年 ヴィクトリア&アルバート美術館蔵 ⒸV&A Images / Victoria and Albert Museum

デザイナーであり、詩人であり、思想家でもあったウィリアム・モリス。モダンデザインの創始者と呼ばれるモリスに関する展覧会は数知れず、かの芥川龍之介も彼の研究をしていたとか。現代でもとても人気のある芸術家のひとりです。彼の代表作である『いちご泥棒』のファブリックに、一度は胸をときめかせたことのある女子も多いのでは? 

東京都美術館で開催中の展覧会『生活と芸術―アーツ&クラフツ展』では、19世紀後半に興ったデザイン運動「アーツ&クラフツ」の広がりを、イギリス、ヨーロッパ、日本の工芸品からたどっていきます。「装飾芸術の殿堂」、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館との共同企画で実現した家具や服飾、書籍など約280点が展示されています。

手仕事の良さを見直し、自然や伝統から美を再発見する……そんなシンプルなライフスタイルの提案こそが「アーツ&クラフツ運動」。主導者であったモリスのこんな言葉も会場に掲げられていました。

『役に立たないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない』

家具やファブリックはもちろん、印象的だったのがフォークやナイフといったカトラリー! 細やかな部分にも美しさや使いやすさ、デザインという個性を身にまとった小さな逸品たちにうっとりしてしまいました。

生活の中に息づく芸術、芸術に彩られる生活。なにげない普段の生活に、19世紀のライフスタイルの心地よさを重ね合わせてみてはいかがですか?

 

『生活と芸術―アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで』

期日:2009年1月24日(土)~4月5日(日)
会場:東京・東京都美術館企画展示室
料金:1500円(一般)ほか
問い合わせ:ハローダイヤル Tel. 03-5777-8600
http://www.asahi.com/ac/

『置き時計』チャールズ・フランシス・アンズリー・ヴォイジー 1895-96年
ⒸV&A Images / Victoria and Albert Museum
『ベッドとベッドサイドテーブル』 コロマン・モーザー 1904年頃 大阪市立近代美術館建設準備室蔵
モダン・デザインを生む源流のひとつとなった「アーツ&クラフツ運動」
日本の「民芸」を「アーツ&クラフツ」ととらえ紹介するコーナーも。