女性のための、元気になれる俳句76 選・如月美樹 冬終る封筒の中空色に 有馬朗人

(2010.02.09)
 

暦の上ではもう春なのだけれど、あえてこの句を選んでみた。というのも、つい先日、いただきものをした時、真っ白な紙袋の中が鮮やかな空色だったことがちょっとうれしかったからだ。白い袋は中も白、となんとなく思いこんでいる気持ちを、ひらりとかわしてくれた。私のお気に入りのアメリカ『クレイン』社の封筒にも、中が赤、青、緑、またアンティークな花の絵などのものがある。外に少しその色が透けて見えるのがいい。冬の印象はモノクロ、それも白のイメージが強い。掲句、その白から、かすかに空色が透けて見えたのだ。春が近いよ、そろそろ冬の終わりだよ、と。掲句初出『天為』(1987)。