女性のための、元気になれる俳句20 選・如月美樹 〜この径は罠かも知れず曼珠沙華 植村通草〜

(2008.10.06)
   

 径は「みち」と読む。曼珠沙華は、いわゆるヒガンバナのこと。今、いろんな場所で赤い花を目にする時期だ。
 何もなかった場所に、突然、すっと茎がのびて炎のような花を咲かせるので、なにやら妖しい感じもする。実際、この花を気味が悪いといって嫌う人も多いらしい。墓地の近くによく咲いているからかもしれない。
 道沿いにぽつりぽつりと咲いている曼珠沙華を、どこかこの世でない場所への道案内のような気がすると常々思っていたら、こんな句に出合った。
 作者は、罠かもしれない、と感じたというのだ。それもおもしろい。罠と知りながら、だまされてみるのもまた一興。