アートニュース Fromミュージアムカフェ – 23 - 早くも今年ナンバー1展覧会の呼び声高し! 東京オペラシティアートギャラリー『鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人』

(2009.07.29)

現在国内外から高い注目を集めるアーティスト・鴻池朋子。
初の大規模な個展となる今回は、「地球の中心への旅」をテーマに会場を地球の内部として構成し、観客一人一人が「インタートラベラー」となって、鴻池さんが描き出す壮大な「神話」を体験します。
想像力を刺激する、鴻池さんの奏でる世界へご案内!

『シラ―谷の者、野の者』(部分)
墨、胡粉、金箔、雲肌麻紙
182.0x1632.0cm
2009
撮影:宮島径
Ⓒ KONOIKE Tomoko
Courtesy: Mizuma Art Gallery

鴻池朋子さんは1960年、秋田県生まれ芸大卒業後、玩具や雑貨の企画デザインに長年携わっていたという経歴の持ち主です。この仕事で培われた感覚は制作活動の重要な核となっているそう。1997年より作品を発表し、その壮大な世界観が注目されていました。そして2005年、4章からなる巨大絵画の物語シリーズを東京都現代美術館、森美術館(東京)、大原美術館(倉敷)などで発表。「物語」という鴻池さんならではの仕掛けを通して、時間という壮大なテーマを表現しているこのシリーズは現代美術の世界で話題となったのです。

国内外で活躍の場を広げる鴻池さんの生み出す作品は、とてもユーモラスで愛着が沸いてくるキャラクター性が色濃く感じられます。白く顔のない「みみお」などのオリジナリティ溢れる作品は今展でも見どころのひとつ。彼女の作り出す世界には「幻想的」や「不思議」といった単語が似合いますが、本人の頭の中はもっとリアル。作品を通して相手が実感する感覚をシュミレーションして「仕掛け」を作る。そんな創作センスで生み出された作品たちなのだそう。

今回は「地球の中心への旅」がテーマ。ギャラリーの中に一歩足を踏み入れると、そこは既に地球の中。地球の中心とは、一体……? 鴻池さんは人間の心を地球というひとつの惑星としてとらえ、その未知なる場所への旅という物語を展開していきます。観賞する全員が想像力の旅人(トラベラー)となって、自分の心という目的地を目指して会場を進んでいく、という一風変わった構成になっています。

1点の幅が6メートルを超える巨大な絵画4点からなる「物語シリーズ」の全4章(2004~06)をはじめ、アニメーションや絵本原画、ドローイング、彫刻など様々な表現を通して観る側に訴えかける作品を制作。そんな代表作はもちろん、新作の襖絵『シラ ─ 谷の者 野の者』の初公開も話題となっています。そしてクライマックスでは新作のインスタレーションが待っています。再び日常に戻るとき、ひとつの「経験」が増え、心の中に新しい何かが生まれている、そんな時間を味わうことができる展覧会。

展覧会を旅に見立て、旅の主人公は観客のみなさん。豊かな想像力を持った「インタートラベラー」という観客ひとりひとりが心の中で感じたことが、この展覧会の結末なのかもしれません。

開催館の東京オペラシティアートギャラリーは今年で開館10周年。それを記念して、オープン記念日である9月9日はどなたも入場無料というビッグサービスもありますよ!

 

<詳細>

『鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人』
期日:2009年7月18日~9月27日
会場:東京・東京オペラシティアートギャラリー
料金:1000円(一般)ほか
問い合わせ:東京オペラシティアートギャラリー 03-5353-0756

http://www.operacity.jp/ag/

『mimio――Odyssey』
DVD
11’30”
2005
Ⓒ KONOIKE Tomoko
Courtesy: Mizuma Art Gallery
『バージニア―束縛と解放の飛行』
ミクストメディア
280.0×370.0x200.0cm
2007
撮影:中道淳(Nacasa & Partners)
Ⓒ KONOIKE Tomoko
Courtesy: Mizuma Art Gallery