アートニュース Fromミュージアムカフェ – 11 - Bunkamuraザ・ミュージアム『国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア』 多くの人を魅了してきた“ロシアのモナリザ”が来日中!

(2009.04.09)

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の『国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア』は、ロシア美術の殿堂であるモスクワの国立トレチャコフ美術館から選りすぐりの逸品を集めた展覧会。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシア美術の珠玉の絵画作品が一堂に介する貴重な機会です。

なかでも、「国立トレチャコフ美術館を訪れた人々は、みなこの絵の前でため息をつく」といわれている作品がイワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』。

イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』 1883年 油彩・キャンヴァス
©The State Tretyakov Gallery 

10万点を超える同美術館所蔵品の中で最も人気が高く、絵葉書の売り上げも他を寄せ付けないこの作品。別名“ロシアのモナリザ”と呼ばれているほどの名作です。ペテルブルクを舞台に描かれた女性……憂いのある表情からは悩みと苦しみ、そしてそこはかとない強さが伝わってきます。邦題では『忘れえぬ女』ですが、原題を直訳すると『見知らぬ女』。通りすがりの女性だったのでしょうか、この女性の魅力に惹きつけられ筆を走らせるイワン・クラムスコイが想像できるような傑作です。

38作家による75点のうち、50点以上が日本初出品。国立トレチャコフ美術館は、創始者パーヴェル・トレチャコフが生涯をかけて取り組んだ「ロシアの芸術家によるロシア美術のための美術館」。ロシア革命後は国に移管され、現在では年間約133万人が訪れています。19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシア美術を、代表的な作家のレーピン、クラムスコイ、シーシキンなどの作品で展観できる今展は、ロシア美術に詳しくなくてもヨーロッパ絵画の影響が見られたり、ロシア文学との繋がりを感じることができたりと多角的に楽しめます。

チェーホフ、トルストイ、ツルゲーネフ……日本でもおなじみの文豪の肖像画も見もの! 美術の枠にとどまらないロシア芸術の流れを堪能することができます!

 

『国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア』
期日:2009年4月4日(土)~6月7日(日)
会場:東京・Bunkamuraザ・ミュージアム
料金:1400円(一般)ほか
問い合わせ:Bunkamuraザ・ミュージアム
Tel. 03-3477-9413

イリヤ・レーピン『ピアニスト、ゾフィー・メンターの肖像』 1887年 油彩・キャンヴァス
©The State Tretyakov Gallery

ニコライ・ゲー『文豪トルストイの肖像』 1884年 油彩・キャンヴァス
©The State Tretyakov Gallery