アートニュース Fromミュージアムカフェ – 21 - 真筆と確認されている写楽の肉筆画が世界初の一般公開『写楽 幻の肉筆画』好評開催中!

(2009.07.09)

ギリシャ・コルフ島にある国立コルフ・アジア美術館には、ウィーン駐在ギリシャ大使のグレゴリオス・マノス氏が、 19 世紀末から 20 世紀初頭にかけて、ジャポニズムに沸くパリとウィーンで購入した 1 万点以上におよぶ美術が所蔵されています。

東洲斎写楽「四代目松本幸四郎の加古川本蔵と松本米三郎の小浪」
寛政7年(1795) ギリシャ国立コルフ・アジア美術館

約100年の間、ほとんど人の目に触れることがなかったそのコレクションですが、昨年7月に日本の研究者による大々的な学術調査が行われ、謎の浮世絵師、東洲斎写楽による肉筆扇面画が発見されました。これは写楽が版画での活動を終えた後の1795年に描かれたものとみられ、従来の写楽研究に大きな影響を与える大発見となりました。

ギリシャに眠る秘宝の全貌が明らかになり、こうしてその調査の成果を紹介する展覧会が開催されることになったのです。
その膨大なコレクションから浮世絵、絵画など約 120 件が出品されています。

グレゴリオス・マノス氏は自分の私財を投げ打って、日本美術にのめりこんでいったそうです。借金まみれの中、この国立コルフ・アジア美術館で作品の調査にあたりながら余生を過ごしました。この美術館のマノス・コレクションには彼の強い思いが宿っているのかもしれません。


写楽のほかにも、名だたる浮世絵師の作品が展示されています。
喜多川歌麿、北斎などの浮世絵版画のほか、江戸城本丸にあったといわれる狩野探幽の屏風の摸本(原寸大)なども。
狩野派の屏風がまず会場の一番最初に陣取っています。豪華にお出迎えしてくれる屏風は迫力がありますよ!
さらに後半、北斎の「百物語」のシリーズが展示されています。こちらは夏らしい、幽霊など怪談をテーマに描かれたもの。この季節にピッタリの作品です。

真筆と確認されている写楽の肉筆画が一般に公開されるのは、世界で初めてのこと。この機会をお見逃しなく!

 

『日本・ギリシャ修好110 周年記念特別展「写楽 幻の肉筆画」ギリシャに眠る日本美術~マノスコレクションより』

期日:2009年7月4日(土)~9月6日
会場:東京・江戸東京博物館
料金:1,300円(一般)ほか
問い合わせ:江戸東京博物館 Tel.03-3626-9974

http://sharaku.exh.jp/

喜多川歌麿『歌撰恋之部 深く忍恋』
寛政5~6年(1793~1794)頃 ギリシャ国立コルフ・アジア美術館
狩野派『帝鑑図屏風』
ギリシャ国立コルフ・アジア美術館
鈴木春重(司馬江漢)『朝顔』
明和7年(1770)頃 ギリシャ国立コルフ・アジア美術館