Shibuya Tourbillon ~16~ 寺山修司、ホドロフスキー、ダガタ。 すべては繋がっている。そしてメッセージは……。

(2014.04.19)
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『ジャパン・アヴァンギャルド アングラ演劇傑作ポスター展』より。演劇実験室・天井桟敷 1967
『天井桟敷定期会員募集』横尾忠則、演劇実験室・天井桟敷 1968『星の王子さま』宇野亜喜良
『シブヤ・トゥルビヨン』は東京・渋谷のギャラリー『アツコバルー arts drinks talk』、ライブハウス『サラヴァ東京』のオーナー アツコ・バルーさんが綴るコラム。燃えるアヴァンギャルド魂でパリ支店『Galerie Atsuko Barouh』オープン。東京では『ジャパン・アヴァンギャルド アングラ演劇傑作ポスター展』開催、来たるべくアントワーヌ・ダガタ、そしてなんとホドロフスキー原画展開催の大ニュース!
奥座敷で燃え続けるアヴァンギャルドの精神。
『ジャパン・アヴァンギャルド アングラ演劇傑作ポスター展』を4月23日よりポスターハリスギャラリーと共同で開催します。

渋谷の駅の周辺を大雑把に消費の街と侮蔑を込めて言ってしまうと、駅から『Bunkamura』に向かって居酒屋の呼び込みや、マル9から出てくる中国の観光客や、つけまつげの家出娘たちにぶつからないように必死で上ってきて、消費大国のゲート、ドンキとH&Mを突破するとそこはオクシブ。個人商店が並ぶ渋谷の奥座敷。『Bunkamura』、『松濤美術館』、『アップリンク』、『ポスターハリスギャラリー』、そして『サラヴァ東京』、『アツコバルー arts drinks talk』などの文化の保護者たちが点在する。奥座敷同志、ポスターハリスと一緒に展覧会を開くのは土地の特色をアピールするためにも良いことである。『アップリンク』の頭首、浅井隆は天井桟敷の舞台監督だったし、『渋谷パルコ』では昨年、寺山没後30年のイベントがなされた。奥座敷とアングラ演劇の縁は深いのである。

ポスターハリスギャラリー&アツコバルー arts drinks talk
『ジャパン・アヴァンギャルド
アングラ演劇傑作ポスター展』

会期:2014年04月23日(水)~5月19日(月)
料金:一般 1000円、 学生 800円(2会場共通・アツコバルーにてワンドリンク付)

会場はふたつ 
ポスターハリスギャラリー 東京都渋谷区道玄坂2-26-18 朝香ビル103号
TEL : 03-5456-7218
時間:13:00-19:00

『アツコバルー arts drinks talk』
営業時間:水~土 14:00 ~ 21:00 、日~火 11:00 ~18:00
休館 : 5月13日 (火)

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『ジャパン・アヴァンギャルドアングラ演劇傑作ポスター展』より。劇団状況劇場 1967『ジョン・シルバー 新宿恋しや夜鳴き篇』 横尾忠則
テント芝居とポスターグラフィックは
共犯関係。

「……60年代から70年代の東京、世界の若者の既成の秩序に対する異議申し立てに同調するように、日本の演劇界でも新劇とはまるで異質な世界を創造することを目指した「アングラ演劇 (小劇場運動)」が勢いを持ち、寺山修司、唐十郎、鈴木忠志、佐藤信、串田和美らが、それまでにない実験的な舞台を繰り広げていきました。この時代、舞台と相乗効果をもたらすユニークなビジュアル表現で観客の心を揺さぶったのが天井棧敷、状況劇場、黒テント、自由劇場、大駱駝艦などの「劇団の旗印」として登場したポスターの数々です。ある意味でこのポスターがアングラ演劇の先導的役割を果たし、時代を挑発し、現在はその象徴として存在しています。横尾忠則をはじめとして、粟津潔、赤瀬川原平、宇野亜喜良、金子國義、篠原勝之、平野甲賀、及部克人、串田光弘、及川正通、榎本了壱、花輪和一、林静一、合田佐和子、戸田ツトムなど……」(アツコバルーHPより抜粋)

まさに垂涎のポスターが、100m離れた2つの場所で所狭しと展示される。トークもすごいのでお見逃しなく。

2014年5月2日(金) 佐藤信(演出家/「座・高円寺」芸術監督)×及部克人(武蔵野美術大学名誉教授)

トークショーは19:30~、料金は2000円
詳細についてはこちら。

カルトの帝王ホドロフスキーを
君は知っているか?

私はホドロフスキー監督の映画『ホーリー・マウンテン』(’73)を見たときにこの人は神だと思った。

そして今年パリの映画館で新作『リアリティのダンス』(’13)を見たときにやはり神だと確信した。

こちら、ご本家、アヴァンギャルド。この85歳のシュールレアリズムの最後の生き残りは60年ごろにアンドレ・ブルトンやダリに出会っており、彼らは年老いておとなしくなってしまったのにがっかりして攻撃的なシュールレアリズムを取り戻す運動をフェルナンド・アラバールやローラン・トポルと始めた。彼の活動はあまりに激しく、多作、多岐に渡りメビウスの傑作コミック、アンカルの脚本家、タロット占い、役者、漫画家、映画監督などなど、現在でもツイッターにはそのフォロワーが100万人近くいる。アップリンクとパルコでこの夏リリースされるホドロフスキーの映画2本。先駆けて今月ご本人が来日する。『アップリンク』のサイトにて詳細はチェック。

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渋谷ではありませんが、池袋『新文芸坐』(東京都豊島区東池袋1-43-5 マルハン池袋ビル3F、03-3971-9422)にてホドロフスキー監督作品のオールナイト上映会が開催されます。『新作公開記念 世界の映画作家Vol. 151 アレハンドロ・ホドロフスキー 精神と映像の彼岸』上映前に、ホドロフスキー監督による舞台挨拶あり。2014年4月26日(土) 22:00よりオールナイト上映(5:00頃終了予定)『エル・トポ』(’69)、『ホーリー・マウンテン』(’78)、『サンタ・サングレ/聖なる血』(’89)の3本。入場料:当日2600円、前売・友の会2400円。写真は『ホーリー・マウンテン』より。
そのホドロフスキー、アツコバルーにて原画展。

私は『アップリンク』の浅井さんから紹介され、なんとホドロフスキーの原画展をすることになった。

2014年の1月にパリの家を訪問して「展覧会をさせてください。」と申し出たら快く「ぜひやってくれ、多くの人に見せたいんだ、売りたいしね。日本の人に自分の作品を買ってほしいね。」と言ってくれた。ファンの方たち、この機会にぜひ直筆のデッサン(マジ面白いです)、しかも買えるし、に触れていただきたい。詳細は追って『アツコバルー』のHPに発表していきます。

つまりすべては繋がっている、と感じる。

10代の私に強烈な刺激を与えてくれた寺山修司。しかしその源流にはホドロフスキーがいた。ホドロフスキーには仲間アラバール、トポルがいた、彼らはジャリやアントナン・アルトーに影響を受けた。もう一人、アルトーに影響を受けたのがアントワン・ダガタ。ダガタの展覧会は『アツコバルー arts drinks talk』にて5月23日から。つまりこの4月から7月の『ジャパン・アヴァンギャルド
アングラ演劇傑作ポスター展』、『ホドロフスキー原画展』、『アントワーヌ・ダガタ 「抗体」 展』の3つの展覧会はすべて繋がっているのである。なぜ私はこれらのアートに惹かれるのかということを考えると、寺山に刺激された私は「書を捨てて町に出る」ばかりかパリまで出て行って日本社会が教えてくれない大事な真実を掴みたいと願っていたら、ピエール・バルーとサラヴァに出会い、言葉と音楽による静かな挑発者たちを知ることになった。

メッセージは一つ、「自分の内なる声に耳を傾けよ。」そのことをいろいろな形で訴えてくれるアーチストを紹介していくのが私のミッションだと思う。

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『アツコバルー arts drinks talk』にて5月23日~『アントワーヌ・ダガタ 「抗体」 展』より。© Antoine d’Agata / Magnum Photos

追記 その1:たまちゃんの巻き寿司アートの本がでました~

去年の連休に巻き寿司ワークショップを開いてくれたたまちゃん。あれからノルウエーでデモンストレーションをしたりテレビに出たりの大活躍。とっても買いたくなるキュートでエッチな本が出ました。
『Smiling Sushi Roll (スマイリング スシ ロール) たまちゃんのにっこり寿司』(リトルモア刊)

追記 その2:パリのアンテナギャラリー、オープンしてきました!

昔はガラが悪い街で有名だったパリ北駅の周りは今だんだんと若い人たちの面白い店が開かれている。そこにできたのがアツコバルーのアンテナ。有名な写真家ピーター・クナップのスタジオだった場所で4mの天井高で146㎡。日本や世界の面白いアートやパフォーマンスをどんどん紹介していきます。これで日本とヨーロッパの自前のかけ橋ができた! 我こそはというアーチストはこぞってポートフォーリオを持っておいで。

オープン初日はこんな感じでした:『アツコバルー arts drinks talk』のFacebook

アツコさんのギャラリー『アツコバルー arts drinks talk』

TEL:03-6427-8048
所在地:東京都渋谷区松濤1-29-1 クロスロードビル 5F
営業時間:イベントによって異なるのでホームページで確認

入場料:500円(ワンドリンク付)