アートニュース Fromミュージアムカフェ – 29 - 恵比寿にリニューアルオープンした山種美術館! 日本画のための専門美術館、様々な名画を堪能できます!

(2009.10.15)

恵比寿の渋谷橋の交差点から坂を上り下りしていると、次第に右側に見えてくるモダンな建物。閑静な文教地区に移転した山種美術館です。同館は1966年に日本初の日本画専門の美術館として日本橋兜町に開館しました。

速水御舟 『翠苔緑芝』 1928(昭和3)年 山種美術館蔵

開館から40年以上、多くの名作を紹介してきた同館。この新しい空間でも、日本画をより一層魅力的に紹介してくれることに間違いありません。さらにミュージアムショップやカフェなど新たな施設も完備。
ミュージアムショップでは素材選びから厳選したオリジナル商品を展開。一筆箋や絵ハガキなどはお手ごろ価格のものと、高品質な、いわば特別なときのための商品と2種類を展開しているそうです。「絵を観たときの感動をそのまま持ち帰ってもらいたい」という美術館の想いが具現化されたグッズは、日本画の雰囲気をそのまま再現したものばかり。贈り物としても喜ばれそうです。
カフェは展覧会の入館料がなくても利用ができます。作品をテーマにした和菓子などのメニューを楽しむことができます。もちろん展覧会を観たあと、その余韻に浸れる空間です。
そして今回新たに作られた常設展示室にも注目。“日本画が主役”という美術館のこだわりが感じられるその空間は、あえて天井を低くして絵画との一体感を味わうことができます。その都度同館所蔵の名品が飾られる予定で、特別展とは別の世界が堪能できます。
さらにエントランスを飾る日本画家・加山又造の陶板壁画作品も目を引きます。

11月29日までは新美術館開館記念特別展『速水御舟―日本画への挑戦―』を開催中です。本展は同館が所蔵する120点の御舟作品を全て見せようという試み。
有名な代表作をはじめ、スケッチなども展示します。また今回が初公開となる《婦女群像(未完)》は、未完の大作。最晩年に描かれたとされ、亡くなる前年に制作された実在する6名の女性が描かれています。御舟の急逝により、完成しませんでしたが、人物群像という新しい挑戦がうかがえる貴重な作品です。
「幻の作家」と言われていた御舟ですが、同館は“御舟美術館”と呼ばれるほど、その作品を多く所蔵し、また名作に触れる機会を提供してきてくれました。御舟の画風の変遷をたどる構成や人となりがうかがえる欧州を訪れた際の日記の展示など、同館だからこそ実現した展覧会でもあります。

速水御舟を皮切りに、東山魁夷、大観と栖風、奥村土牛などの展覧会が控えています。日本画を気軽に楽しみ、美術との距離をもっと近づけることができる美術館にぜひ足を運んでみてください。

写真はクリックで拡大します 速水御舟『炎舞』 1925(大正14)年 重要文化財 山種美術館蔵
速水御舟『婦女群像(大下図)』 1934(昭和9)年 個人蔵

 

『速水御舟―日本画への挑戦―』

期日:2009年10月1日(金)~11月29日(日)
会場:東京・山種美術館
料金:1,200円(一般)ほか
問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600

http://www.yamatane-museum.or.jp/