アートニュース Fromミュージアムカフェ – 4 - 国内外から大注目の韓国人現代美術家の新作が一堂に! 森アーツセンターギャラリー『全光榮展』開催中。

(2009.02.19)

この作品、一体何でできていると思いますか?

実は、素材は全て紙。韓紙(ハンジ)という、韓国古来の伝統技術によって作られる紙からできているんです。

森アーツセンターギャラリー(東京)で開催中の『全光榮展』は、韓国出身の現代美術作家・全光榮さん(1944~)の作り出す紙の造形美が堪能できる展覧会。地元・韓国をはじめ、アメリカ、イギリス、オーストラリアと世界各国で展覧会を開催し、注目を集めてきた全さんが満を持して日本初となる個展を開催しました。日本という土地には深い思い入れがあるそうで、「日本で展覧会を行なうのは、他の国々で成功をおさめてから」という強い希望をもっていたとのこと。

『Aggregation 06-MY020』2006年

韓紙を使った作品は小さな欠片の集合体で成り立っています。韓紙がくるまれた三角形の小片がキャンパスを埋め尽くしていきます。その制作手法は「包み」と「組み立て」が基本となっていて、シンプルかつ想像力をいかに具現化していくかという強い精神力がみなぎっています。

韓紙は作家自身のルーツと深く関わる素材ですが、そこから生まれる作品には郷愁のようなイメージはなく、斬新でダイナミックなものになっています。でもどこか暖かみを感じるのは、紙という身近な素材が発する存在感からかもしれません。

会場には静謐な平面作品や巨大な立体作品が悠々と展示されています。全さんの作り出す幻想的な展示空間に身を置くと、まるで韓紙の海の中を漂っているかのような感覚に……。

さらに、今回展示されている作品はほぼ新作! 世界からもその動向が注目されている気鋭の作家の新作揃いの展覧会、行かないわけにはいきません。
森アーツセンターギャラリーは平日も20時まで開館しているので、仕事帰りのリフレッシュにもオススメです。
 

『全光榮(チョン・クァンヨン)展』
期日:2009年2月14日(土)~3月15日(日)
会場:東京・森アーツセンターギャラリー
時間:10:00〜20:00(入場は19:30まで)
料金:1000円(一般)ほか
休み:会期中は無休
問い合わせ:ハローダイヤル Tel.03-5777-8600

『Aggregation 08-OC034 RED』2008年
来日中の全光榮さん レセプションにて。
全て新作という今展 幻想的な空間構成がなされている。