深瀬鋭一郎のあーとdeロハスLOHASな万博アート!

(2010.01.15)

昨年末に万博準備のため上海に行ってきました。今週の東京は1~8度の気温ですが、上海もちょうど同じぐらいです。12月27日は、雪に降られて一面の雪景色でした。

上海美術館から雪の人民公園を観る。

2010年上海国際博覧会(EXPO 2010 Shanghai, China)は、「より良い都市、より良い生活(Better City, Better Life)」をキャッチ・コピーとして、2010年5月1日から10月31日にかけての184日間、上海市の中心部、南浦大橋から盧浦大橋までの黄浦江両岸で行われます。会場面積は328ヘクタールと、記憶に新しい2005年に愛知県で行われた「愛・地球博」の2倍にあたります。192カ国、48国際機関が参加し、入場者数の目標は1日あたり40万人、計7000万人。これまで最大であった1970年大阪万博の6400万人を上回る史上最大の国際博覧会を目指しています。
 

上海世博会事務協調局。
世界15都市の取組を紹介するベストシティ実践区。

「最近、上海万博の話がよく出てくるけど、「あーとdeロハス」と関係あるの?」と疑問をお持ちの読者も多いでしょうから説明しておきますと、上海万博のテーマは、現在、世界の大きな課題のひとつとなっている「健康で持続可能な生活(LOHAS)と開発を両立する都市政策」であり「自然環境と共生する都市」なのです。ひとことで言えば、共生(coexistence)と持続可能性(sustainability)です。都市政策には公園緑地政策も含まれますから、憩いの場である公園に、親しみやすい彫刻作品(パブリック・アート)を設置することは、生活環境の改善を通じたLOHAS対策の一環として位置付けられるわけです。

 
筆者が日本委員長を務める「中国2010年上海世博会园区沿江景観帯雕塑作品工程」、すなわち上海万博会場の中央を流れる黄浦江沿いのグリーンベルトに彫刻作品を26体設置する作業とその関連イベントの企画・運営に携わっているのは、こうした理由からです。すなわち、河という自然環境と共生し、持続可能性向上に寄与するアートを実現したいという思いです。日本からは、藤井浩一朗さんの「父子情」という高さ2mの透明アクリル作品を、中国パビリオンの近くの黄浦江沿いに出展します。万博終了後にこの場所は公園となり、作品はそこで半永久的に設置される予定です。

藤井浩一朗『父子情』

年末に見た上海は建設ラッシュで大変な状態でした。地面はボコボコで、街中が埃っぽいです。工事現場だらけの中、現場のフェンスが万博の看板兼用になっているので、街中が万博の看板だらけです。繁華街には大規模なEXPOグッズのショップも出現していたので、筆者もマスコット「海宝」(ハイパオ)君のピン・バッジを買ってきました。万博予定地では、着工が早かった主要国のパビリオンや、ベストシティ実践区はかなり出来上がってきていますが、建設が間に合うのか不安になるほど更地が多い状況です。現地の人たちは、「(これから)死人が出るほどの突貫工事になるのではないか」と言っていました。

外灘より浦東新区を望む(フェンスに注目!)

筆者の頭の中が上海万博一色になってきているので、これからも「あーとdeロハス」では万博関係のコラムが多くなってしまいそうです。次回は上海の最新アートスポットをいくつか紹介したいと思いますので、どうぞお楽しみに。
 

繁華街南京東路の土産物店。
建物が少ない世博会園区。