『誕生100周年 ローズオニール キューピー展』開催直前! キューピー愛好家・北川和夫氏にインタビュー!

(2009.11.20)

今年はキューピー誕生100周年ということで、松屋銀座本店で12月10日(木)~24日(木)に『誕生100周年 ローズオニール キューピー展』が開催されます。そこで私は、『キューピー展』で約400点のキューピーコレクションを展示するキューピー愛好家・北川和夫氏のもとを訪れ、キューピーの魅力や歴史、北川氏とキューピーの出会いについて伺いました。今回は北川氏のお話をふまえ、世界的キャラクタ“キューピー”の魅力についてご紹介したいと思います。

北川和夫氏を訪ねて『キューピーヴィレ スタジオ』へ。

11月某日、青山の『キューピーヴィレ スタジオ』で、私は静かに鳴るインターフォンを多少の緊張とともに聞いていました。これからお話を伺う北川和夫氏は、日本キューピーコレクタの第一人者です。暫くすると玄関扉が開きました。丁寧に招き入れられ、私は部屋の様子を見て驚きました。明るく柔らかな照明のもとで、たくさんのキューピーが愛らしい微笑みをそこかしこに振りまいていたのです。微笑みに満ちた部屋で北川氏は人懐っこい目をして、70歳になるとは思えない熱意と快活さで応じて下さいました。

 
北川氏とキューピーの出会い。

キューピーとの運命的な出会いは大阪の朝市でおとずれた、と北川氏は語ります。
その日、朝市を散策していた氏は一体のセルロイド製キューピーに目がとまりました。幼い頃家に飾っていたキューピー人形が脳裏に浮かび、不思議な引力に引きつけられるようにそのセルロイドキューピーを購入したのだといいます。これが40年以上続くコレクションの始まりとなったのです。

『オリジナルボックス入りスタンディングビスクキューピードール』ドイツ製1912年 ©Rose O’Neill Kewpie International

購入したキューピーが日本製であることを知って驚き、その後キューピー人形を買うようになった北川氏。そうすると戦前製造されたものや、大正時代のものまで出てきて、「キューピーはただ者ではない!」と感じ始めた北川氏は愛らしいキューピーの虜となり、本格的なコレクションが始まったのでした。

 
ジャパニーズ・キューピーとは?

キューピー愛好家となった北川氏は、世界中のキューピー愛好家が集まる会に出席し、自らのコレクションをスライドで紹介しました。この時、他国の愛好家たちは「ユニーク・ジャパニーズ・キューピー」といった表現をしたのだといいます。しかし、その周囲の反応に違和感を感じたため、よくよく話を聞いたり、調べたりするうちに≪ジャパニーズ・キューピー≫が海賊版キューピーを意味することが判明しました。それとともに、100年前誕生した元祖キューピーの歴史や、作者ローズ・オニールのことも分かってきたのです。それから北川氏は熱に浮かされたようにこの元祖キューピーに夢中になったとか。この元祖キューピーの歴史やローズ・オニールについては、今回の展覧会でじっくり知っていただきたいと思います。

しかし一方で、「ジャパニーズ・キューピーにはジャパニーズ・キューピーの魅力がある」とも考えていた北川氏は、その魅力を認めてもらおうと尽力なさいました。そして1996年にはローズオニールキューピージャパン(現ローズオニールキューピー・インターナショナル)がローズオニール財団(アメリカ)と日本のキューピー啓蒙活動をスタート。今展覧会でも、ローズオニール団体とドイツのオールドルフ市が協力者としてその名を連ねているのです。

『抱っこキューピー 昭和初期』 
©Rose O’Neill Kewpie International

日本人に愛され続けるキューピー。

日本でのキューピー人形の製造は1914年頃から始まりました。そして以後、現在に至るまで日本でのキューピー人気は衰えることなく続いています。それは、キューピーと別のキャラクタがフュージョン(融合)した「キュージョン」が国内で人気を博していることからも窺えます。

キューピーがこれほどまでに日本人に愛される理由を尋ねたところ、北川氏のお答えは「その性質が米のようなもの」だから。

キューピーはキューピッドから着想を得て生まれたキャラクターですが、明白な宗教性を持たず、どちらかといえば道徳や倫理観を大切にする存在。また、その姿はあくまでも愛らしく、強烈なインパクトを与えるものではありません。このさりげなさが、登場してはすぐに消えていく今日のキャラクタとは一線を画するものにしているというのです。

キュージョン ©Rose O’Neill Kewpie International、 ©タツノコプロ 、©高橋留美子 / 小学館、©水木プロ、©さいとう・たかを / さいとう・プロ/リイド社

展覧会にむけて。

キューピーのことを語る北川氏の表情は、終始幸せそうでした。40年間もキューピーを愛し、見つめてきたからでしょうか、その微笑みがキューピーのものとそっくりに思えてきました。

最後に北川氏は次のように言いました。
「今回の展覧会はちょうどクリスマスシーズンに開かれます。そして会場は銀座。きっといつもより煌びやかなファッションをした人たちが多く会場を訪れるでしょう。だけどこの会場内ではそうした表面的な考えを捨てて、子どもの気持ちでキューピーたちを見てもらいたい。キューピーには人を幸せにする力がある。ぜひたくさんの人に会場を訪れていただきたい。」

展覧会では未発表のコレクションを40~50点展示予定とのこと。キューピーファンは必見です。そうでない方も、会場でキューピーの微笑みに癒されてはいかがでしょうか?

なお、現在松屋銀座本店ではクリスマスチャリティーバッジ(全5種)を販売中です。スワロフスキーを使用した限定バッジで、売り上げの一部がNGO団体「ルーム・トゥ・リード」に寄付されます。大変人気となっているようですので、是非欲しいという方はお早めに。

 

『誕生100年 ローズオニール キューピー展』

日時:2009年12月10日(木)~24日(木) 10:00~20:00
   〔18日(金)~23日(水・祝)は21:00閉場、最終日17:00閉場。入場は閉場の30分前迄〕
会場:松屋銀座8階 大催場
料金:一般 700円、高大生 500円、中学生以下無料
   前売 一般500円、高大生300円
   〔チケットぴあ(Pコード688-914)、ローソンチケット(Lコード32047)で販売〕
主催:読売新聞社
企画制作:東映
特別協力:北川和夫キューピーコレクション、㈱ローズオニールキューピー・インターナショナル
協力:ローズオニール財団(アメリカ)、オールドルフ市(ドイツ)

問い合わせ:松屋銀座 Tel. 03-3567-1211(代表)