女性のための、元気になれる俳句12 選・如月美樹 〜新涼やたしなまねども洋酒の香 中村汀女〜

(2008.08.11)
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 暦の上ではもう秋。秋になって感じる、それまでとは違う涼感をいう季語が「新涼」である。いかにもさわやかで、私の好きな季語のひとつだ。
 掲句、お酒を飲まない作者に、洋酒がふわりと香ったという。来客の帰った後に食卓を片付けている時か。あるいは外出先の店での出来事か。いずれにしても、暑さだけにとらわれていた夏には気にも留めなかったことである。
 この句が発表されたのは40年前。洋酒の香りにふと気がつくことで秋の訪れを感じる、という感性が今でも新鮮だ。掲句初出『紅白梅』(1968)。(如月美樹)。