女性のための、元気になれる俳句61 選・如月美樹 水引草目が合ひて猫立停る 石田波郷

(2009.09.28)
 

水引草は、むちのような細長い花穂に、小粒の赤い花を点々とつける。花を上から見ると赤、下から見ると白で、ご祝儀袋などに使う水引に似ているからこの名があるとか。私の家の近所にもたくさん咲いている。電信柱の下や、よそのお宅の庭先など、点在している感じである。
この花を眺めていたら、ゆらりと揺れて、猫が現れた。歩いている猫と目が合うと、彼らはそのままの姿勢で立ち止まる。足を片方あげたままだったりしてなかなか素敵だ。このとき、それが自分の家の飼い猫だったときは、目を合わせてはいけない。もし目が合ってしまったら、知らんふりして通り過ぎるのが礼儀なのだ、と大島弓子さんの漫画『綿の国星』で猫たちが話していた。
それから、私はその礼儀を律儀に守っている。