リブロ・トリニティ – 18 - 『フライパンで和食』野永喜三夫 著

(2010.06.23)
~著者+編集者+書店スタッフ3人が一体となり、力を合わせて完成した本を紹介するコーナーが「リブロ・トリニティ」です~

野永喜三夫 著

『フライパンで和食』

『フライパンで和食』野永喜三夫 著
『フライパンで和食』1,470円(税込み)


■ 著者より

野永喜三夫(のなが・きみお)

日本橋 ゆかり

東京都出身。『日本橋 ゆかり』三代目若主人。京都『菊乃井』にて修業。2002年『料理の鉄人 JAPAN CUP』(フジテレビ)で総合優勝。2003年ニューヨーク・タイムズ紙に日本を代表する若手料理人の一人として紹介される。現在は三代目として腕をふるいながら、江戸野菜の普及に尽くすなど、地産地消に取り組む。雑誌やテレビに登場するほか、日本のみならず海外でも講演・講習活動を積極的に行なっている。愛娘の誕生を機にオーガニック野菜や、素材選び、農作物の商品開発などに一層熱心に取り組み、食育にも力をいれている。
http://www.nihonbashi-yukari.com/

「和食meets洋食Tools」のユニークな邂逅。

『ニュースステーション』(テレビ朝日)のウェザーキャスターで新米主婦だった乾貴美子さんに和食の基本を教えるというコーナー「教えて! 料理の基本」を連載していました。コーナー担当の編集者、浅井さんがフライパンを和食に使っているのを面白がってくれたのが「フライパンで和食」のはじまりです。

和食のレシピの本というと料理研究家による手順や理論にこだわった格調高すぎる本が多いですが、フライパンならどの家にもあり、みなさん使い慣れている。フライパンで和食料理デビュー、なら気張らず気軽に和食作りに親しめるはずです。これは面白い! ということで、コーナーが始まる際、仲良しで兄さんのように慕っている洋食の老舗『たいめいけん』3代目の茂出木浩司さんに相談しました。

フライパンで作る和食の連載を始めるのだが、道具や調味料も本当によいもの、本物を紹介したい。洋食の老舗『たいめいけん』さんではどこのフライパンを使っているのか? 

そこで教えていただいたのが東京・合羽橋の「中尾アルミ製作所」のキングフロンフライパンでした。『たいめいけん』だけでなく『帝国ホテル』『ホテルニューオータニ』のレストランでも使用されているという由緒正しきフライパン。熱伝導率が高いので料理が手際よくできます。底の深いものと浅いものがありますが、深いものですと煮物もできます。「和食meets洋食Tools」のユニークな邂逅になっていると思います。

今の日本の若者はきちっと和食を勉強したいという人が増えているといいます、さらに和食=Japanese Cookingはヘルシーな料理法として日本だけでなく世界でも注目を浴びています。表紙にある「FRYPAN in JAPAN」というコピーは、編集の浅井さんはじめいつもお世話になっている料理本翻訳家の方、みんなで知恵を絞って考えました。

電子レンジを活用して、できるだけ時間をかけないでできる料理の本などが人気ですが、手間を省いて時間を短縮するには、やっぱり料理の基本を知っているべきです。この本ではポイントを外さないで、手間を省けます。ぜひ和食作りに挑戦してみてください。

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■書店スタッフより

ジュンク堂書店新宿店 実用書担当樽井恭子(たるい・きょうこ)

新宿店で実用書担当になって早4年が経ちました。20代から30代の女性がメインの客層です。高感度なお客様に刺激され、棚作りに流行と変化を加えるよう、日々精進しています。最近人気があるのはスチームケース「ルクエ」のレシピ本。タジンの次は「ルクエ」がきそうです。私自身も食エッセイが大好きで、幸田文、辰巳浜子、阿部なを、吉田健一、池波正太郎などなど昭和の名文に惚れています。

フライパンで手軽にできる和食レシピの本。

最近発売された料理に関する実用書、本は健康指向が顕著になっているようです。マクロビオテック、野菜料理、免疫力を高める食べ物など。料理以外でもオレンジページ『免疫力を上げる「食」の本』が昨冬から春にかけて売れていました。ベターホーム社の『自炊本』など一人暮らし向けの料理本が年齢、男女問わず売れてきているのも特徴です。

『フライパンで和食』もおうちで手軽にできる和食レシピの本、ということでその流れのひとつといえるでしょう。20代から30代の女性を中心に売れています。

『フライパンで和食』は黒い表紙なので専門的な本かと思い、手にとってタイトルを見たら「フライパン」と書いてあったのでびっくりしました。確かに良く見るとお魚が入っているお鍋はフライパンでした! サプライズです!

ページをめくると調理法ごとにプロならではの料理のコツがたくさん載っています。

例えば、「煮魚は一度湯通しして、水から煮る」や「含め煮は冷める時に味がしみていくものなので一度さましてから再加熱する手間をかける」など。これで少しはプロの味に近づけるかも。

そして、何よりも盛り付けが素晴しいのです。家庭料理とは思えない完成度の高さです。盛りつける量とバランスが大切なのでしょうね、きっと。

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■編集者より

文化出版局 書籍編集部二課浅井 香織(あさい・かおり)

『ハイミセス』『ミマン』を経て、2003年『ミセス』編集部に。主に料理や暮し回り、旅の企画などを担当し、2009年書籍編集部へ。現在は料理の実用書を中心に担当。家庭では毎朝息子たちのお弁当を作る、正真正銘のフライパンママ。さらに楽をしたいので、人気の「ルクエ」を使うべきか使わざるべきか……熟考中です。

茹でる、煮る、焼く、炒める、揚げる、蒸す……あらゆる調理をフライパンで。

日本橋・ゆかりの野永喜三夫さんの料理連載を三年間、担当させていただきました。1年目は、新米主婦だった乾貴美子さんに野永さんが和食の基本を教える「教えて! 料理の基本」の連載。翌年にはフレンチレストラン「ル・ブルギニオン」の菊地美升さんとの「和洋往復おかずの基本レッスン」がスタート。野永さんと菊地さんが掛け合いで料理を披露する内容でしたが、二年間にわたる人気連載となりました。

野永さんがフライパンを使うのは“わかりやすく和食の基本を伝えたい”という熱意からです。それが読者にも伝わって人気企画となり、書籍化にもつながったといえるでしょう。なお、本書は『ミセス』の連載をもとに、一部新たに撮影を加え、再構成したものです。

連載中、印象的だったのは、魚を煮たり焼いたり、豚汁やあんかけうどん、茶碗蒸しに至るまで、フッ素樹脂加工のフライパン1つで作っていたことです。

フッ素樹脂加工のフライパンは茹でる、煮る、焼く、炒める、揚げる、蒸す……とあらゆる調理に対応できて、洗うのも簡単。すぐに次の調理にかかれる効率のよさも魅力です。手際よく料理をしている野永さんの姿を見て、フライパンの万能性がわかったのです。

私も野永さんおすすめの「中尾アルミ製作所」のキングフロンフライパンを使っています。道具がいいと料理の仕上がりが断然違いますね。

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