まったく異次元の様でありながら誰もが必ず見たことのあるような夢の世界にトリップさせてくれる作品たち。ただ、きれい、美しいというだけでなく、脳内の思わぬところが刺激される毒気のようなものもあり、つい迷い込んでしまう櫻田宗久の作品。

櫻田さんはで祐真朋樹さんにスカウトされて『POPEYE』でデビュー後、ファッションモデルとして活躍、カリスマ的な存在でした。モデルの仕事を通して写真に興味を持ち、モデル仲間の市川市川実和子・実日子姉妹などをモチーフに作品撮りをするようになります。’96年青山のギャラリー『ロケット』で初個展。’00年より写真を加工したスタイルの作品をコンスタントに発表。イラストレーター宇野亜喜良さんが世の中に広めたい異能のアーティストたちを紹介する連載『AQUIRAX CONTACT ぼくが誘惑された表現者たち』でもとりあげられた話題の写真作家です。

『ポスターハリス・ギャラリー』の代表、 笹目浩之は、もともと寺山修司の追悼公演のポスターを貼る仕事をしていたことから演劇公演のポスター貼り、PR、プロデュースまで手掛ける『ポスターハリス・カンパニー』を設立しました。三沢市寺山修司記念館にも深くかかわっています。寺山さんにゆかりの深い宇野亜喜良さんがおすすめしているということで、ポスターハリス・ギャラリーは、ずっと櫻田さんに注目してきました。

櫻田さんは写真家活動とともに歌手としても活動していて、97年にはソロデュー、01年には、吉川ひなのさんと音楽ユニット『☆Spica☆』を結成、『We Love ☆Spica☆』などのアルバムを発表しています。

2年前の個展では、吉川ひなのさんをモチーフのポップなコラージュ作品が中心でしたが、櫻田さんの新作が観たいという純粋な思いから今回の個展をお願いしました。今回モチーフはシャンソン歌手のソワレさんや子供の姿が登場します。カメラで撮影、加工したプリント作品です。

作品だけでなく、日常のあらゆることに真摯に向きあっているからこそ、震災以降の心境の変化が作品に如実に表れるアーティストだと思います。アーティストという以前にひとりの人間として、この時期だからこその櫻田宗久の表現する作品をぜひご覧いただき、感じていただきたいです。

また『ポスターハリス・ギャラリー』では、櫻田さんが敬愛してやまない寺山修司の作品『あゝ、荒野』をテーマにした森山大道さんの写真展を2011年11月17日（木）〜11月30日（水）開催中です。（※ 21日（月）、28日（月）休廊 、入場料：300円）こちらもチェックしてみてください。