女性のための、元気になれる俳句72 選・如月美樹 ストーヴに椅子ひきよせて読む書かな 杉田久女

(2009.12.25)
 

久女の読書の句は多いが、この句からも伺えるように、かなり勉強熱心だったらしい。私も、今ほど家中があたたかくなかった子どもの頃は、ストーブの側に張り付いていたものだ。夢中で漫画を読んでいた。かけたやかんの中の沸騰したお湯がシュンシュンと音を立てていたことを、その時の空気とともに思い出す。
この句は夜の景のような気がする。夫も子どももいた久女にとっては、自分自身に帰ることのできる大切な時間だったに違いない。私もテレビを消して、パソコンを閉じて、こんな時間を持ちたくなった。『杉田久女句集』(1952)。