新しい家に引っ越しました。以前（2009年1月22日）このコラムで「あなたの星空のつくり方。」と題して、
筆者が中古住宅を改造して当時住んでいた『ミルキーウェイ・ハウス』を紹介したのですが、今度は画家である家内がデザインした新築の「フランス民家風カフェの家」です。当初の完成見学会には、5日間開催のあいだに工務店の顧客やご近所さん総計100名以上が詰めかけ、ご要望に応えて2回ほど追加展示会が開催されました。地元では話題の建物ですので、「フランス民家風（プロヴァンス風）」や「カフェ風」の家に興味がある方々のために、簡単にご紹介しましょう。

筆者自身と二人の娘が食品アレルギー持ちであるため、ベニヤ板や壁紙など有機化合物を含む加工製品は用いずに、表面材は自然素材で作りました。スイス漆喰と煉瓦タイルの内外壁面、壁面のステンドグラスやステンドグラスをあしらった照明、ロートアイアンの手摺や小物、ロートアルミの花籠と面格子・玄関灯・門灯、煉瓦と石のポーチ、コンクリート枕木フェンス、漆喰仕上げの玄関袖壁、ウリン材のウッドデッキ、ピンコロ石による花壇などで、家の内外装や庭を構成してあります。

フランス田舎屋風とするなら、本来は、斜度が高い屋根、石造りの壁に漆喰仕上げ、両開きフランス窓となる筈ですが、建築基準や防災基準が厳しい日本のこと、斜度は低い屋根だが屋根裏部屋の窓付き、屋内は耐火石膏ボードと屋外はサイディングの上に漆喰仕上げ、縦長の両引き窓といった仕様となりました。天井も、フランス田舎屋なら防腐塗装された太い棟木が入る筈ですが、天然素材の無垢の木材による軸組で2階の床板がそのまま1階の天井となる「現し天井」としました。ログハウスみたいで、なかなか気持ち良いです。

窓枠等を取り寄せたTOEXからは、インテリア空間の間取り造りの考え方を、エクステリア空間にも取り入れ、敷地も含めた空間の潜在価値と可能性を最大限に引き出すという新しい空間コンセプト「LDK+G」（G=Garden）の提案がありました。

それを受け、LDKの外にガラス張りガーデンルームや東屋を付設することも検討しましたが、掃除が面倒になると考え、結果はLDKの掃出し窓2面の周りにL字型にメンテナンス・フリーなウリン材のウッドデッキを設置することにしました。こうすると、子供達がそのまま走りだしてシャボン玉吹いたりなどできるのです。

シンプルで素朴な中に、用の美を最大限に発揮する形で各部材を活かしていくことは、素材への深い理解をベースに頭脳内でこれらの構成ができてはじめて実現できる難易度が高い作業ですが、家内のデザインを忠実に図面に起し建築してくださった、メーカー様や工務店様に感謝です。