土屋孝元のお洒落奇譚。晴耕雨読の生活とは。

(2011.04.16)

桜が咲き、入学式の親子連れを見かけました。

目新しい中学校の制服を着た少年、少女は、まだまだ制服に着られているようで、心なしか落ち着かない様子です。お父さん、お母さん達も、ちょっとおめかししていて微笑ましい、遥か昔の中学入学の自分の姿を見るようで、感慨深いものです。

入学式の日に桜がちょうど見頃なのは何年ぶりだろう……? ここ最近、桜の事をすっかり忘れていた日々でしたから、なんだか、魚の骨が喉に閊えた様な妙な感じで毎日を過ごしているからでしょうか。被災地の事や原発、夏の電力不足の事……。

それでも、山川草木(この表現は日本独自のもので「山川草木悉皆成仏」から由来する自然総てに神や仏が宿る思想です。八百万の神にも通じます)には春はやって来て、木々は芽吹き始め、春の草花は咲き、水もぬるむ季節というか手に冷たくは感じなくなり、庭仕事も溜まってきました。

クリスマスローズはまだまだ元気に花が咲いています。寒いほど元気に咲き、暖かさには弱いのです。白いオリエンタシス(白花はやや弱く、株があまり増えません)はとくに綺麗です。今年は珍しくフェチダス(クリスマスローズの原種に近いものです)の花が咲きました。植え付けてから8年で3回目の花で、毎年はやはり難しいようですね。花後の肥料をあげないと来年また良い花が咲きません。イングリッシュローズは新芽が伸びてきています、少し間引きしておかないと病気や虫が付きやすくなります。

燕子花(カキツバタ)や菖蒲(アヤメ)、ヒヤシンス、水仙には緩効性肥料をあげておきます。5月に綺麗な花を咲かせるためにと、ヒヤシンス、水仙は来年の花のために。球根を秋に掘り上げると園芸書にはありますが、僕はそのままにしています。それでもきちんと季節には花が咲きますね。雑草や、鳥が運んできたこぼれ種の芽吹きの草取りをします。

スズランや海老根(伯母からもらったものですが、野生の蘭の種類で昔からの園芸品種です)、十二単(十二単ジュウニヒトエはグランドカバーに適していて庭全体に広がり、綺麗な紫色の紫蘇に似た花を咲かせてくれます)の成長を助けるため。

とくに十二単、これが庭をカバーしてくれ、夏の雑草を防いでくれています。皐月は、まだ、新芽が出ません。新芽はとくに虫が好むので、少し早めに木酢液(木酢液とは、木炭を作る時に蒸留して出来る液体で、これを希釈して使います。虫が嫌う匂いです)で消毒を。冬が寒かったせいか、紋白蝶(この紋白蝶の幼虫は食欲旺盛で若葉や新芽を食べ尽くし、花芽がなくなり、花が咲かなくなるのです)など見かけません。

薔薇達にもアブラムシはまだのようです。花芽が付いた頃には、毎朝、手でアブラムシを取る作業が始まります。毎朝、水をあげてから、クレマチスモンタナ(クレマチスは特に水を好みます、花芽がある時には水切れが一番心配です)の花の数を数えて、もう、30も40も咲くかなとか、心待ちにしています。クレマチスは秋から冬にかけて枯れた弦になりますが、これを切ってしまうと春に花が咲きません、この枯れた弦に翌年花芽を持つからです。冬の間、ここは我慢のしどころですね。

晴耕雨読の生活とは、よく言ったもので、春になると庭の手入れがいろいろと始まりますが、その手入れも楽しみのひとつです。花達は手入れをしてあげるとその分だけ答えてくれて 綺麗な花や葉をつけて楽しませてくれますから。