アートニュース Fromミュージアムカフェ – 16 - 世界的建築家・安藤忠雄の地元・大阪で開催される展覧会!テーマは<水>。

(2009.05.28)

世界的建築家である安藤忠雄さんの地元・大阪で開催される展覧会のテーマは<水>。安藤建築を読み解く一つのキーワードでもある<水>にちなんだ2大プロジェクトを模型、映像、ドローイングなどで紹介していきます。大阪の街と人を元気にする、安藤さんの建築への想いが感じ取れる展覧会です。

桜の通り抜け拡張提案
Sketch of “Association for the Heisei-Era Allry of Cherry Blossoms Campaign” (C)TADAO ANDO

安藤さんの作り出すコンクリート打ち放しやその幾何学的な建築は、住宅や公共施設など様々な用途に斬新な雰囲気を生み出していきました。地元である大阪には「光の教会」や「住吉の長屋」などの代表作がたくさんあり、近年の建築ブームからその建築物をめぐるコースなども雑誌などで紹介されています。

また美術館や博物館などの大規模建築でも多くの事例があり、今展を開催するサントリーミュージアム[天保山]もそのひとつ。海外での活躍も目覚しく、イアリア・トレヴィソの「FABRICA(ベネトン・アートスクール)」やアメリカのピューリッツァー美術館、フォートワース現代美術館などがあります。

今展はそんな安藤建築の中でも<水>をテーマに2つのプロジェクトについて様々な関連資料で紹介していく展覧会。安藤さんの魅力を本人設計の美術館で楽しめるというのは、とても貴重な機会です。紹介する2つのうちのひとつは、現在進行中の“水都復活”をかけた大阪都市再生プロジェクト。「官ではない、民の力で水の都を取り戻し、水際から明日の大阪を創っていく」という安藤さんの大阪再生の提案から、様々な動きが生まれています。旧淀川沿い、造幣局の桜並木を東西に引き伸ばしてつくる“世界最長の桜の通り抜け”は、その完成予定のドローイングからも素晴らしい風景の誕生を予感させます。
そしてもうひとつは海外のプロジェクト。イタリア・ベニスでは2006年に「パラッツォ・グラッシ」、そして今年6月に完成する「プンタ・デラ・ドガーナ」のふたつの安藤建築が誕生します。歴史あるベニスという都市は別名“水の都”。水上のアートネットワークを作り上げたその建築に至るまでのプロセスなどを紹介します。さらに現在計画中の「テアトリーノ」の計画の全貌が垣間見える模型やスケッチなども展示。<水>をテーマにその建築のエッセンスを感じ取ることができます。

数多い建築事例を<水>をキーワードに代表作なども映像や模型で展示しています。現在進行中の「アブダビ海洋博物館」といった最新事例もいち早く紹介。安藤建築と水との関わりを示す事例の多さもさることながら、その建築の多様さにも驚かされます。地元・大阪の復興を願う安藤さんの熱い想いが詰まった展覧会です。

 

『安藤忠雄建築展 2009 対決。水の都 大阪VSベニス 水がつなぐ建築と街・全プロジェクト』

期日:2009年5月23日(土)~7月12日(日)
会場:大阪・サントリーミュージアム[天保山]
料金:900円(一般)ほか
問い合わせ:サントリーミュージアム[天保山] 06-6577-0001

アブダビ海洋博物館(アブダビ)
Photo by 大橋富夫
ベネッセハウス オーバル(直島)
中之島プロジェクトⅡ(大阪)