女性のための、元気になれる俳句85 選・如月美樹 香水の中よりとどめさす言葉 檜 紀代

(2010.05.25)
 

「香水」は夏の季語。私は香水が好きで、いくつか持っている。しかし、仕事のときにつけているものを、リラックスしたい場面では使わない。その香りが、仕事のイメージと分かちがたいものになっているからだ。聞くところによると、嗅覚は人間の最も古い本能的な感覚らしい。
掲句、香水をつけていたのが自分自身か、第三者かで解釈が分かれるだろう。私は、自分であるという風に読みたい。これを言えば終わりだ、ということがわかっていても、このひとことをどうしても言わなければならない時があったのだ。相手と同じくらい自分自身も傷ついたことを、この香りをかぐたびに彼女は思い出すだろう。そして、傷の数だけ成長してきたのだということも。