女性のための、元気になれる俳句23 選・如月美樹 ゆく秋の廻れよ電子レンジの皿 池田澄子

(2008.10.27)
 

 暦の上ではもう晩秋。冬も近い。今年は残暑の時期が長かっただけに、あまり実感がわいてこないが、「ゆく秋」という季語はちょうど今頃使う言葉だ。
 さて掲句。理屈ではなく感覚で詠んでいる句なので、感じるしかない。考えてみたのだが、この句の見どころ(読みどころ)は、「廻れよ」だと思う。電子レンジの皿、どうぞ勝手に廻ってたら、というちょっとだけ突き放した視点。しかし、そこになんだか、日常生活への愛も感じてしまうのだ。掲句初出『いつしか人に生まれて』(1993)。