深瀬鋭一郎のあーとdeロハス上海万博彫刻プロジェクト!

(2010.11.09)

今年5月から開催していた上海万博が先日10月末をもって閉幕しました。大阪万博の記録を破る7200万人の観客が入場したそうです。筆者達は、万博公園の彫刻作品のひとつとして、美術家の藤井浩一朗さんによる彫刻作品『父子情』を展示するとともに、『未来にツナガル街、人、友情』をテーマに、中国の青年節(5月4 曰)に彫刻作品『父子情』の序幕式と関連イペントを実施してきました。そのプログラムの一部は、同じ曰時に束京渋谷で『創造公園渋谷Art Re-PublicTokyo : Shibuya』の会場でも開催されました。上海万博会場外でもいくつかの関連イベントを実施しました。
(助成:国際交流基金、財団法人朝日新聞文化財団 後援:在上海日本国総領事館、財団法人日中経済協会上海事務所)

藤井浩一朗『父子情』
photo / Yukinori Tokoro

上海万博公園のうち、後灘公園に永久設置される彫刻作品『父子情』は、長江を父、黄浦江を子に見立て、その流域に育まれた上海市について『川沿いの都市─上海 生命のつながり』(浦江城市一上海 生命的紐帯)をテーマに制作した高さ2mの透明アクリルによる彫刻作品です。よくみると2本の楕円柱によるコンポジション(構成)であることが判ります。

このような大きなアクリルを注型する技術は日本にしかない特殊なもので、人類の進歩と未来を展示する万博に相応しいものとして中国政府主催のコンペティションの結果、海外7カ国(日米英伊仏徳イスラエル)11作家12作品(中国の作家も含めた全体では、8カ国26作家27作品)のうちのひとつとして、永久設置が決まりました。周囲の光を取りこんで虹のような美しい光を放つことで人気を博し、上海万博機関誌日本版『2010上海EXPO』7月号の表紙写真(撮影 張穎)にも選定されました。

深瀬鋭一郎による除幕。
photo / Kenta Torimoto

除幕イベントの冒頭では、2010年上海万博公園彫刻プロジェクト曰本委員長 深瀬鋭一郎(筆者)が挨拶し、彫刻作品『父子情』にかけられていたライトブルーの幕を除幕しました。作品解説の後に、来賓挨拶があり、続いて以下の3つのイベントが開催されました。

水谷孝次『メリー・アンブレラ・プロジェクト』
photo / YukinoriTokoro

除幕のすぐ後、上海時間午後1時50分、日本時間午後2時50分に、水谷孝次などメリー・プロジェクトの皆さんで『メリー・アンブレラ・プロジェクト』を開催しました。地球上に生きる人々を幸せにしたいとの願いを込めて、四川、スマトラ、神戸など被災他で強く生きる子供たちの笑顔をプリントした100本の傘を一斉に開きました。同時刻に渋谷でも笑顔の傘を開きました。除幕式会場の他にも万博会場のあらゆる場所で笑顔の傘を開き、会場が「笑顔」でいっぱいになりました。(共催:MERRY PROJECT 協賛:azbilグループ 株式会社 山武 協力:中国紅十字会、曰本赤十字社)

新野圭二郎『ワールド・ハーモナイズ・プロジェクト』と『創造公園渋谷 Art-Re-Public Tokyo : Shibuya』
photo / YukinoriTokoro
『創造公園渋谷 Art-Re-Public Tokyo : Shibuya』

笑顔の傘を開いた後に、すべての国のすべての場所から鐘を鳴らし、世界中を共鳴させていく『ワールド・ハーモナイズ・プロジェクト』を実施しました。上海時間午後2時、日本時間午後3時から新野圭二郎さんがスピーチを行い、彫刻の除幕式に集まった観客と心を一つにしてともに鐘を鳴らしました。同時に東京・渋谷で行われたイベント『創造公園渋谷』内でも、午後3時に共鳴の鐘が鳴らされました。日本と中国の2都市を繋ぐ、国を超えた共鳴が実現しました。(協賛:シュハリ株式会社  協力:株式会社エルメカニクス)

(写真右)『創造公園渋谷 Art-Re-Public Tokyo : Shibuya』とは、渋谷の丸井シティからタワーレコードまで続く110メートルx27メートルの巨大なエリアが『車両通行止め』となり、このスペースを利用して様々なアーティストによるパフォーマンスが行われたプログラムです。その会場で、上海での開催と同時刻、同時開催のアナウンスとともに、笑顔の傘が花ひらき、幸せの鈴の音色が渋谷の街に響きわたりました。(主催:Art Re-public Tokyo 株式会社シブヤテレビジョン 共催:渋谷区公園通商店街進行組合『フラワーフェスティバル』)

遠藤一郎『向未来』
photo / Yukinori Tokoro

そして、除幕イベントのフィナーレとして、『未来美術家』を名乗る遠藤一郎さんが、背中に『向未来』と描いた青い作業服姿で現れ、未来へ向けた人類全員の頑張りに対して渾身のエールを送りました。遠藤一郎のリードのもと除幕式会場は150名に上る観客・スタッフによる『向未来』(シャン ウェイ ライ)の大合唱で満たされました。

日中アーティスト+上海の大学生『未来龍上海大空凧』共同制作+凧揚げワークショップ
photo / Yukinori Tokoro
photo / Yukinori Tokoro
photo / Yukinori Tokoro

その2日前、5月2日には、上海のギャラリー『Office339』で、復旦大学など上海の大学生40名と、遠藤-郎をはじめとする日中のアーティスト十数名が50枚の凧に各々の夢を描き、それをつなげて長さ50m超の長大な連凧『未来龍上海大空凧』を仕立てました。上海万博マスコット『海宝』(ハイパオ)君が設置されている華東師範大学の校庭に持っていき、アーティストと大学生が凧を持って全速力で走って上海の空に揚げました。日中が協力して『夢は自分たちの力であげる』ことを体感するイベントとなりました。

日中アーティスト+上海の大学生『ワールド・ハーモナイズ・プロジェクト』共同制作ワークショップ
photo / Yukinori Tokoro

『未来龍上海大空凧』の制作に併せて、上海の大学生達と日中のアーティストで、Office339での『ワールド・ハーモナイズ・プロジェクト』の展示作品を共同制作しました。プロジェクトに共感した人達が、参加意思を表明するペーパーと鐘に署名し、それらが展示作品になりました。署名後に参加者で鐘を共に鳴り響かせ、国や人種を超えた目に見えない絆やつながりを体感しました。この作品は、開催中の新野圭二郎+N studio 展覧会『Proposals for allmankind』で展示中です。

新野圭二郎+N studio 『Proposals for allmankind』

会場:東京都中央区日本橋大伝馬町13-1村上ビル
日程:2010年10月29日(金)~11月7日(日) 12時~22時
http://www.centraleasttokyo.com/10/event/新野圭二郎+nstudio展覧会/

The Foundry Gallery『New Japanese Sculptures』
photo / Haruka lto

上海市内の3つのギャラリー『Office339』、『同時代画廊』、『The FoundryGallery』では、5月6日~6月6日にかけ、本プログラムの全体像を紹介する展示を行いました。彫刻作品≪父子情≫の制作工程や設置にかかる記録写真、作品誕生にまつわるエスキースであるオブジェやコンセプト・ドローイング、凧上げに使用した連凧『未来龍上海大空凧』、『メリー・アンブレラ・プロジェクト』の笑顔の傘、『ワールド・ハーモナイズ・プロジェクト』のサイン・ペーパーや鐘を展示しました。これらイベントの模様は、写真家の所幸則さんがドキュメントしています。

もっとも、残念ながら、9月7日に尖閣諸島沖で漁船と自衛艦の衝突事件が発生した後にイベント1件を中止せざるを得ませんでした。9~10月には中国各地で反日デモが行われ、一部日系企業や商店が襲撃されました。中国1万人観光団が来日を中止し、SMAPの上海コンサートも中止、日中友好会館主催の日本青年上海万博訪問団の訪問延期など、日中親善のため頑張った自分としては大変に残念な事態となりました。

なお、来る11月11日から11月16日にかけ、銀座K’s Galleryにて藤井浩一朗『上海万博彫刻展示の報告』展を開催します。

深瀬や藤井もオープニングや土・日など、できるだけ会場にいるようにしますので、皆様、是非ともご観覧ください!

藤井浩一朗『上海万博彫刻展示の報告』展

会場:東京都中央区銀座1-5-1第三太陽ビル6F
会期:2010年11月11日(木)〜16日(火)
Tel. 03-5159-0809
月~木12:00~19:00、金~20:00、土日11:30~17:30、
会期中無休 

http://ks-g.cool.ne.jp