ちょっきんきりえ展 vol.5 映画の影響で生まれる新作きりえ展に注目。

(2010.10.25)

 
人がにっこりする絵をテーマに、音楽を聴きながら、
「ちょっきんきりえ」を楽しくつくっているYUYAと申します。
5回目の新作展は、おなじみ世田谷の『天童木工PLY』で開催。
ぼくの「ちょっきんきりえ」に加えて
音楽文筆家の吉本宏氏による会場の音楽選曲、
さらに今回は、人気モデルの雅子氏によるエッセイも加えた
三人によるトライアングル・コラボレーション。お楽しみに!

 

「NEMUKE」A4サイズ。眠気・ねむけ・ネムケ・NE-MU-KE。フランス映画『トラフィック』(監督:ジャック・タチ)を観ていたとき、おじさんたちが自分の車の運転席で次々と連鎖反応のようにアクビをするシーン。眠気の正体とは一体何なのか!! こんな、憎たらしい顔をしているかもしれない、なんてさ。©YUYA

 

今回のテーマは「映画の影響」。

映画に詳しい雅子氏が、まず10本の映画をセレクト。その10本を観て、ぼくがきりえ作品を制作。ただし、映画のシーンなどを説明的に絵にしたものではありません。映画から「影響」を受けた絵です。観終わったあとの気分や思い描いた色合い、出て来たモチーフから連想したもの、思ったことからの連想など。さまざまなイメージの絵が生まれました。

雅子氏も、それぞれの映画から影響を受けた、軽やかなエッセイを書きました。映画音楽に造詣が深い吉本氏もこれらの映画の影響を受けた選曲をお届け。人によってさまざまな印象の違いがある映画というものを通じて、三人がそれぞれに映画からの影響をもとに表現し、それを集合させる今回の展示。楽しい連鎖反応が期待できそう。

展示のときに、ぼくがよく聞かれること。
「ちょっきんきりえ、どうやって作っているのですか?」
そこで、今回は作っている過程をちょっとお見せしてしまおうと思います。ぼくの自宅のアトリエにて暑すぎる夏の日に撮影。

まず、モチーフや何を描こうかを考えてスケッチ。描いているといろいろ思いつき、始めに思い付いたイメージがだんだんと変わって行く。
だいたいの構図が決まったら、切ってモチーフをつくって行く。細かい線などを切るときはカッターを使い、外形の曲線を切ったり、わざとざっくりとしたあたたかいラインを出したいときはハサミを使う。
切り抜いて、謎のカタチができたところ。
最初に頭の中で考えていたイメージを、この段階で実際に突き合わせて組み立てていく。ここで、イメージしていたものと実際のイメージが違い、やっぱり合わないな、ということもしばしば。その場合は考え直す。
同じカタチを作るときは、先に切り抜いたものをサンプルに、外形ラインをなぞって、そのラインを切る。描いたラインをひとつひとつ切るときに微妙なズレが生まれる。それが手づくり感の良さだと思っている。
切り抜いてみたところ。
配置してみる。このレイアウト作業が重要。余白、間。これで絵のたたずまいがすべて決まるのだから。
途中、またスケッチをして切り抜いての作業を行ったり来たり。
どのペンで描くか?などいろいろ試し、決まったら本番ではない紙に描いてみて、試してから本番を描く。
実際に顔を描いて置いてみた。
細部の微妙なレイアウトのバランスを調整。
全体が見えてきた!
文字(コトバ)を入れることが多いのもぼくの作品の特徴のひとつ。今回は英字スタンプで。
文字についても、どこに入れるのが最適か、いろいろ試してみる。
結局、ひとつのコトバを切り離してこんな風にレイアウトしよう。

こうしてできあがったとき、夜中になっていることもしばしばです。
でも、自分の頭の中で思い浮かんだ絵を展示した会場で、
みなさんといろいろなお話ができることは、とても楽しいことなのです。
ちょっきんきりえの制作風景、楽しんでもらえましたか?

 

ちょっきんきりえ展 vol.5 映画の影響
chokkin kirie influencia do cinema

きりえ:YUYA(chokkin kirie)
詳細は、著者プロフィールを見てください。

エッセイ:雅子(モデル)
東京生まれ。19歳でモデルデビュー。透明感のある美肌が有名で、幅広い層から人気を博す。多数の女性誌を中心に、CMや企業広告等で活躍。また映画に出演する他、雑誌、PR誌などでエッセイやコラム、映画評なども執筆する。近く、映画関連サイト(シネマカフェ)で、映画についてのブログをスタート。
◎オフィシャルブログ
モデル・雅子のL’histoire de Beaute
雅子の美しいおはなし

音楽選曲:吉本宏(Sweet Surprise)
音楽文筆家。SUBURBIA~カフェ・アプレミディプロダクツでの執筆や、usen for カフェ・アプレミディの選曲、CDのライナー・ノーツなどを手がけるほか、映画『This is BOSSA NOVA』パンフレットでのカルロス・リラへのインタビューなど、さまざまな音楽紹介を独自の文体で表現している。現在、アルゼンチンの音楽家カルロス・アギーレを中心にした世界の音楽を紹介する「bar buenos aires」を主宰。今夏にリリースされたカルロス・アギーレの初めての国内盤の解説も担当。また今までに60年代のイタリア映画のコンピレイションやライナー・ノーツを数多く手がけ、映画音楽にも造詣が深い。

開催情報
会期:2010年11月19日(金)〜12月5日(日)
開館時間:11:00〜20:00 ※11月24日(水)は休業
会場:天童木工PLY併設展示室 
   東京都世田谷区深沢4-35-7 深沢ビル2F
お問い合わせ:天童木工PLY  Tel.03-5758-7111

筆者プロフィール

YUYA(ユウヤ)

きりえアーティスト/イラストレーター。武蔵野美術大学建築科卒業。2005年より独学で〈ちょっきんきりえ〉の制作を開始。2007年以降、現在までに10回以上の個展を各地で開催し、多くの来場者から好評を得ている。書籍の挿画、結婚式のウェルカムボード、パンフレットのイラストなど幅広く手がける。2010年ミッフィー誕生55周年記念「ゴーゴーミッフィー展」では国内外55人のアーティストに選ばれバースデーカード作品を出展中。〈人がにっこりする絵〉をテーマにし、好きな音楽を聴きながら、日々作品を制作している。
いままでの新作展
2007年10月「ちょっきんきりえ展」桜新町Oru.ギャラリー
2008年05月「ちょっきんきりえ展vol.2 絵+音楽+インテリア」天童木工PLY
2008年12月「ちょっきんきりえ展vol.3 おいしいコンポジション」天童木工PLY
2009年10月「ちょっきんきりえ展vol.4 Abeceda26」天童木工PLY
◎オフィシャルブログ ちょっきんきりえの部屋