アートニュース Fromミュージアムカフェ – 14 - 全国の美術館に眠る名品が大集合! 東京都美術館『美連協25周年記念 日本の美術館名品展』

(2009.05.14)

日本全国の公立美術館の収蔵品が上野に一堂に会する……公立美術館のネットワーク組織である「美術館連絡協議会」の創立25周年を記念して、加盟館から220点の名品が集まる展覧会を開催。これまで館の外に出たことのない作品から教科書に載っているあの名作まで、日本が誇る名品の数々が集結します。

エゴン・シーレ『カール・グリュンヴァルトの肖像』 1917年 豊田市美術館蔵

公立美術館は今回の展覧会でご紹介するような名品が眠る宝の山という側面もありますが、地域の人々にとってとても身近にアートに触れることのできる場所。子どもの頃、一番最初に「美術」という存在に出会った場所は、みんな公立美術館だったのではないでしょうか?
そんな公立美術館の名品が一堂に会する滅多にない貴重な展覧会が、美術館の総本山といってもいい上野で開かれるのです。今展には公立美術館が所蔵している国内外を問わない名作の数々が出品されています。その数220点の全てが「名作」といえる作品。どれも主役級の作品ばかりで、今回は脇役なしの展覧会といえます!

なかでも注目なのが新潟県立近代美術館・万代島美術館が所蔵する藤田嗣治(レオナール・フジタ)の《私の夢》。1947年に会場である東京都美術館の開館20周年記念展に出品された作品。約60年という月日が経ち、またここ東京都美術館で観ることができるのです。この作品にはフジタが得意とした裸婦とあわせて好んで描き続けたモチーフでもある猫が描かれています。フジタらしい色づかい、配置、ダイナミックな存在感に酔いしれることができます。

そして「日本にシーレの作品があったんだ!」と驚く人も多いかもしれない、エゴン・シーレ《カール・グリュンヴァルトの肖像》は豊田市美術館所蔵の作品です。シーレは20世紀初頭に28歳という若さで夭折したウィーン分離派の代表的画家。死の前年に描かれたこの肖像画からは、力強いメッセージが伝わってくる気迫が感じられます。
西洋絵画では他にミレー、ゴッホ、モネ、ピカソ、カンディンスキー、日本近・現代洋画からは浅井忠、黒田清輝、横山大観、梅原龍三郎などの作家作品が並び、さらにはジャコメッティ、高村光太郎らの彫刻で近代の美術動向を概ね俯瞰することのできる名品が揃っています。

まるで豪華な常設展を観ているような、贅沢な気分に浸れる展覧会です。
上野は今、『国宝 阿修羅展』『ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画』など行列必至の展覧会が開催中ですが、この展覧会はまだまだゆったりと観られるそうなので、行列になる前にぜひご覧になってください。

 

『美連協25周年記念 日本の美術館名品展』

期日:2009年4月25日(土)~7月5日(日)
会場:東京・東京都美術館
料金:1400円(一般)ほか
問い合わせ:ハローダイヤル  Tel.050-5542-8600

ジャン フランソワ・ミレー『ポーリーヌ・V・オノの肖像』 1841-42年頃 山梨県立美術館蔵
岡鹿之助『遊蝶花』 1951年
下関市立美術館蔵
竹内栖鳳『絵になる最初』1913年
京都市美術館蔵
川上澄生「初夏の風」 1926年
栃木県立美術館蔵